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地縛霊と楓の木
いつか かならず むかえにくる 楓の木の下であなたを待って 待って 待ち続け 雨が降り 新緑に移り変わり 時に雷が落ち 木は枯れて 私は透明になって 俯いて ない足の代わりに見えた地面に 新しい芽が出たことに気づき 僅かな期待にささやかな願いを 重ねて大事に見守って いつかまた大樹になって 紅く色付いた時に きっと あなたは私を迎えに来てくれる 私の名前を呼んでくれる 私の顔を 目を見て はにかみ 私の頬に手を当てて答えをくれる そう信じて 信じ続けて 何千年 春も 夏も 秋も 冬も 陽が昇って落ちる くらいにしか 感じられなくなっても希望はまだ もうどこへも行かないのではなく 行けない 縛られてしまったの 新しい楓の木は 約束の木より立派に 育ちはしたけどおかしいの まるで照れたあなたみたいに 真っ赤な紅葉をいつも魅せてくださるの 辺り一面が白く染まる中で一際目立つ 綺麗な綺麗な楓の木 それを見かけて狐が通って仰った 待ち人は生まれ変わってあの世にいない 君はもう待たなくてもいいんだよ そう言われたって諦めきれない あなたのように偶然来るかもしれない 前世を頼りに来るかもしれない 八つ当たりにも程がある 生きてた時から溜めてた違う堪えてた 涙が溢れて言葉にならない声とともに 当たらない腕で何度も何度も木を叩いた すると落ち葉が私の涙袋にのっかった こいつとも長い付き合いだ 慰めなんかいらない だけれど 気づけば 落ち着いていた 狐がまた口を開いた まだ続きがあるんだと お前の尋ね人は木霊となった 年がら年中 絶やさず紅に染まる 地縛霊に取り憑かれた木にな ちょうどここら辺にあるんだと 狐は煙にまみれて姿を消した 僅かに口角が上がっていたのは気のせいか 耳を木に当ててもたれかかる なにも聞こえやしない けれどなんとなく あの人と同じ温もりがあったことに いまさら いまさら気づいて また泣けてきた 今度は笑いながら 君はそういう奴だったね
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地縛霊と楓の木 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 235.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-11-19
コメント日時 2024-11-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
此の度は、歌誌「帆」自由詩掲載欄へとご投稿を賜りまして、允に有り難うございます。 未だ、ご応募受付開始よりは間がございます。 暫し、(凡そ、冬季=年始頃に始動との計らいでございますから、その時分迄。) お待ち下さりますと嬉しく存じ上げます。 御作を、拝読させて頂きました。 行別けをなされていらっっしゃいますが、本質的には物語=散文詩の体裁を具有していらっしゃられる。 基礎力はお有りになられる、とは感受を致しましたが、要の文体の力=飛躍力、想像の幅、即ち好奇心への刺激の能力に於きまして、 些か弱いのでは、と思いました次第でございます。 誰でもが可読である様な詩‐物語‐散文‐作品に於きましては、何処まで突飛な異物を――自然体の侭に――織り込みうるか、とう箇所に実力が表れるのでは、 と存じ上げます。 構成力は佳し、而して構成的調和へと著しい不調和を内在をした、つまりは振れ幅を獲得なされることが、 詩、と致しましての質を向上せしめるのではないでしょうか。 或は、象徴言語の骨子に拠って記述をなされる、という方法もございましょう。此方は、各詩人に拠っては向き不向きがございましょうが。 未だ未だ、研鑽の余地がおありになられると存じ上げます。 出来得れば、ですが。卓越した別時代の詩人の修辞から学ぶ等、種々の発展の為の行動をなされることを推奨を致します。 それでは、復のご挑戦をお待ち申し上げております。 此の度は、ご応募ご投稿を賜り、允に有り難うございました。
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