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電気に縛られて
馬鹿な兄は 呑みながら話した 馬鹿な兄は 電気が嫌いだと言う 電気を作る仕事をしてたと言うのに 馬鹿な兄は 電気が無くなる日がきっと来ると言う 私達が生まれる遙か前から 電気が消滅した歴史など無いのに 馬鹿な兄は 山奥に一人で暮らしている 自らの足と手と知識で生活し 時代錯誤を体現した日常を送っている その癖に私の家まで迷わずに来れたらしい 馬鹿な兄は 自分が自然と神様の力で生きていると言う 雄大な自然と孤独な生活の中で 頭がトチ狂ったのかと心配になったが 私がそう思った事に気づいたのか 私の頭を叩(はた)いてきた 兄は 電気と縁のない生活がしたいと話した 田舎の山から私の家までどうやって来たのだ その服もあなたの愛用のハンカチも どんな環境でどのようにして作られたか 想像がつかないのか 兄はまた私の頭を叩こうとした 兄は 酔っぱらって豪語した もし電気が使えない時が来たら 俺は山の上からてんやわんやする街を見下ろして 喚く人々を笑いながら生きるのだと もし電気が使えない時なんて来なかったとしても その時は人々のいつも通りの生活を見下ろして 安心しながら寝床につくのだと 兄は 炬燵に入ったまま寝てしまった 起こそうとして叩いた頬は随分と暖まっていた テレビから明日は大雪という予報が聞こえてくる 起こすのを諦めて私は食器を洗う 風呂に入って湯に浸かり風呂上がりに髪を乾かす 部屋に戻ると兄は顔に新聞を乗せて寝ていた 天井の明かりが眩しかったのだろうか 私はふと、新聞の上から兄の鼻をつまんでみた
電気に縛られて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 879.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-02-22
コメント日時 2018-02-24
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
中程さん 自分の最初の作品の最初の感想、すごくうれしいです。ありがとうございます。 ところで、この詩にはちょっと掛けてるところがあるんですけど、お気づきでしょうか?
0馬鹿な兄よりも、兄への思いの方が多い所。段々と一言から、二言と増えていく表現が素敵だともいました
0貴音さん 感想ありがとうございます。素敵って言われると照れちゃいます。 野暮かもしれませんけど書きたくてたまらないのでちょっと説明を。 この行を重ねていく形なんですけど、タイトルを1行目として9行で終わってて10行までないんですよね。 タイトルに対して、10がない、自由がない、ってことで駄洒落みたいに掛けてみました。
0おおお!脱帽です!恥ずかしながら気づけませんでした… 私には思い付かない形です! 改めて読み直します。詩が広がりました
0はじめまして。 最後の新聞の上から鼻をつまむ描写がとても好きです。 自由がない、気がつかなかったです。たのしい!
0こういう形の詩、自分でも好きなんですけど書けたのはこれだけなんですよね・・・まだこれからいっぱい作りたいです
0こうだたけみさん 感想ありがとうございます。仕掛けに偏らせずに、目に浮かんで心を宥めたりするような描写にも今後力を入れたいところです。 詩を読んで笑っちゃうようなのが自分の目指すところの一つです。
0「馬鹿な兄」がこれほど繰り返されると、ふと「汚れっちまった悲しみに」を思い出します。今日も風さえ吹きすぎるだったかうろ覚えですが、表記なども。呑みながら話したり、電気が嫌い。電気を作る仕事をしているのに。山奥に一人で暮らしている。自然と神の力で生きている。電気とは縁のない生活をしたいなど、彼のキャラクターがよく分かる描写だと思いました。
0エイクピアさん 感想ありがとうございます。この詩は特に何かを参考にしたわけではないですが、先哲の作品に通じるところが微かにでもあるとしたら嬉しい限りです。 あの飲んだくれてる彼は若干諦観の念を持っているのかもしれません。
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