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凩馨
そしてとある広場にて/パノラマの群衆が/音のないパズルに到る/へだたりのない手が/みずたまりのホタルより/絵本のページととおく/ふところのうえで/ケムリを吐いています//ひずんだ心臓を濾過する/金糸雀と呼べ/虹彩に並べ/疲れ果てた処で/日没を手にした瞬間/白い旅をはじめたとき/秋はぶら下がりはじめていた//焼き立ての情報は擬似的な物語だから/カラメルがかかったポスターに表現され/採用された旗はリンゴに広がっていく/スタートした瞬間を一滴/パンの香りと評し/おだやかに傷ついて/風にのって、街中/このからだのシナモンの匂いがとれやしない//この街の人々は/しなびた舌が/(惜しくもない、辛いとはおもわない)/いつもより長く伸びている海面をみながら/傾斜を詰めた鍵一つ持って/ただ泣いた//沈むのを忘れたように/粒子の唇に触れるとき/失われたトマトが/眠るジェスチャーをする/触覚のない口が/うねうねと饒舌になる//振動する港までいけば/立ち去るがいい/迷路のない駅までゆけば/遠ざかるばかり//そのたましいとは。ビルの隙間から/オレンジから紫へと/ゆっくり/変わり続けます//おきあがる檸檬の感覚が/その太い陽は/腐らない蒼さの地図をひき/ちぎって/輪郭なき大窓にひかりがやどるから/(潮時をみて)/いろがみの夢が苔むした花をただ、しぶき/錆びた骨を嚥下したようです//多くを語らない/装飾のない抜け殻だから/時計塔の群れに/かざぐるまはちかく/おおぞらをまわり続けた/ここで/風を均す鐘は/頬をかすめるのだけれど/うすい微笑みをこなす/目覚めにはがし/その狐兎に/わかっているけれど、誰もが気にしないんだ//使い方も登録済みの幻灯機のネガだった/とある小さな街では/誰も帰りたがらない/つややかな流れ星に想えたから/見上げたら/無意味な掌で染み込む小舟は/ブイを通り過ぎ/黒煙が開くはなびらは/クシャクシャな顔だが/点描の猛虎は耳の中で/ねむたげな足取りで//あくせくと黄昏れている/Enter.↵
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凩馨 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 788.6
お気に入り数: 2
投票数 : 5
ポイント数 : 0
作成日時 2024-11-08
コメント日時 11 時間前
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
意味や繋がりを考えず汲み取ろうとせず音韻やふわぁっとしたfeelingで愉しめばよいかなースマホ画面で拝読拝見したンですが、これはパソコン画面で拝読拝見したほうがよかったのかも…縦長より横長のほうがズラズラズラズラっと(/含め)文字が並んでいくもんねー
0おー!A·O·I作品でダントツ好きですこれ。上手い。 リンゴに包丁を入れていくようなリズムでスラッシュが効果的に使われています。太い陽、錆びた骨を嚥下した、これぞA·O·Iといった大胆にして鋭敏なイメージ。見事ですね
0世の中には読解出来なくてもめちゃくちゃカッコいい詩があって、この作品はそういう詩としてイメージで楽しめました。あと、A・O・Iさんは作品に関して結構えげつないコメントされたりするのに創作に対する姿勢がブレないところがめっちゃカッコよいね。
0そうですねー一応PCを基準にして置いたつもりでしたが。どう感じるかは読み手さまごとに違いますから、元は空白、行替え、と連がありました。結局、斜線を入れることによって一文づつしっかり読ませることできるような気がしたのでこの形になりました。なにかしら興味をひいたのでしょうか?だと嬉しいですね。コメントありがとうございます!
0わーいぺえ太さんに褒められたーやったーありがとー!
0めちゃかっこいいありがとうございます。なにかしら楽しんでもらえれば作者として当然嬉しいものです。そしてあくまでわたしは作品をこの場においてますから、読み手自身も垣間見えるコメントは、作品を介し作者と読み手としてのコミュニケーションそのものです、そして作品にいただく一見解で。お読みくださりありがとうございます!です!
0確かに 普通にカッコいいです。 イメージの流れとしては、前半は、結構生命力がある言葉たちといいますか。「群衆」からそうですし、頻繁に現れる「リンゴ」、「パンの香り」、「焼きたて」などの表現に、漲る感覚がある。 そこから、AOIさんの手癖でしょうか、港や駅など、鍵を持ってどこかに旅に出る。しかし、地図を引きちぎったりして(正確にはひき/ちぎるですが)、夢、骨、と続いていきます。 その後半は幻想的というか。幻や目覚めなど、見上げた空に小舟が渡っているところなど、「銀河鉄道の夜」を連想するような。 しかし最後には怖い引力が働いていると思っていて。Enterなんですよね。ここまで、人間を監視するAI目線の詩だったよと、言われたような。 スラッシュって強い断絶だと思うんですよね。ピリオドや句読点は、本文を邪魔しないように、謙虚に文を区切っていきます。流れを大切にしているかのよう。それをAIは無視して、それぞれの情景や感情を一つ一つの情報として処理していくような。そんな怖さがある終わり方だと思いました。 そこも含めて、カッコいい、良い詩でした。
0具象と抽象のバランスの取り方が、比類なきスタイルを完成させているのでしょう。印象的には、具象が二割、抽象が八割と言ったところでしょうか。全体的に物語性を感じるけれども、具体的な物語の原型が前提としてあって、それを抽象的に打ち壊していくというよりも、やや抽象的なフレーズをまるで絵の具の色のように塗っていき、物語を完成させているような手法でしょうか。あるいは、一枚の抽象画を描いているのかもしれません。言葉の意味を追いかけていると躓いてしまうが、詩の中に入り、詩の中を生きてみると、どこかノスタルジックな幻想的な世界に迷い込むことになり、そうか、作者は混沌とした不条理な世界を抽象的に切り取っているのかもしれない、とふと思いました。実は比喩など一切使われておらず、ただその言葉の美しさに酔いながら彷徨すれば、それで良いような気もします。ただ、誤読であろうと深読みし、自分なりの意味を当て嵌めて楽しむのも一興ではあるとも思います。自分は直感で生きる人間のため、謎解きのような楽しみ方はしませんが。筆者は、この世は曖昧なものであると認識し、その曖昧さを掴もうとしているのではないでしょうか。面白かったです。何の意味もありませんが、気に入った詩句を列挙します。 >日没を手にした瞬間 >このからだのシナモンの匂いがとれやしない >傾斜を詰めた鍵一つ持って/ただ泣いた >おきあがる檸檬の感覚が >あくせくと黄昏れている このように、自分の好みを披露することは、同時に自分の感覚を露呈しているような気もします。少なくとも自分は、自分の感覚に基づいて創作を行っているのだから、単なる自分のスタイルの表明のようなものかもしれません。自分はやはり、幾らか抽象的な要素、矛盾する事柄等が入り交じりつつも、最終的には具体的な表現を好みます。しかしながら、自分の感覚から遠い表現も、読んでいて楽しいものです。
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