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傾奇
出かけようとすれば 大抵は横なぐりの雨だった 傘を盾のように胸の前で差して 斜に構えている日々 クッションのせいで僕は いつも寝違えていた 首を前後に振り今日も カクカクとニワトリ歩きの出勤だ おっとっとっと 片足飛びの曲がり角で 出会い頭にしゃっくりまでしながら すり足で帰宅すれば 僕が日夜せっせと尖らせておいた 皮肉という皮肉の角を アイロンで伸ばしている嫁 「おかえり」と振り返りざま 僕の寄り目につっぱり棒をかますけど じゃれつく茶々丸の S字フックみたいなステップのために たやすくずり落ちるのだ そんなもの ダメにするクッションへと体ごとさ 冷えた焼きそばをすする傍ら たまにはオシャレして外食したいと 目を三角にする嫁 僕はまた傘を盾のようにして 斜に構えなければならなくなった たゆみない水掛け論で 我が家の床はそのうち抜けるだろう 感情のパッキンが劣化しているね 破れたクッションからは羽毛が舞い 僕は両手のひらをめいっぱい開き 見得をきるポーズを決めた よーっ! 皮肉と猫が飛んで 嫁の拍手 そして 頭にかぶった焼きそばの かき分けたところから寄り目
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傾奇 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 554.4
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 2
作成日時 2024-11-04
コメント日時 10 分前
項目 | 全期間(2024/11/15現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
中心に置かれた目線から動きがあっていいですね。家庭内闘争が見えてくる様子で、逆に私なんかほのぼのとした実感を感じてきます。タイトルがちょっとお堅いな。横なぐりの雨のように、機敏性のある動作も見えてくるので、何かないのかなあ、と、いう感想も。
1これを読まされているアラガイさんの顔を想像し、一人ほくそ笑みながら書いていました。そういう事にだけは惜しみなくエネルギーを費やせる変態ですが、これぞポエマー体質といえるのかもしれません。 タイトルがお堅い…もっと遊べってことでしょうか。もっと攻めたタイトルにすべきだったでしょうか。迷いに迷ったあげく結局これになりました。タイトルは最初から決まってるパターンと最後に付けるパターンとありますが、感触的に、後者がどうも自分は失敗しやすいようです。難しいですね。 アラガイさんが投げてくれるヒント、可能性を取りこぼさないようにしっかりと拾っていかねばと思います。いつもありがとうございます
0傾奇(カブキ)の行動が反映されているんだなというのはわかる。相変わらず言葉のセンスが良すぎる。でも家庭内ホニャホニャなイメージしかないので、どの印象も打ち消してしまう。なにをどう受け取ればいいのか迷いどころ。カブキに沿ったところをいっそきちんと書いてしまって、場面として気づかせるようなおかしさを出せばいいのかもね(おせっかいだったらまた叱ってくださいねーーwww
1なるほどです。大変勉強になります。難しいものですね。 歌舞伎の知識が浅いためにこのようにしか表現できませんでした。参考にとYouTube等で実際の舞台を観ながら書いたんですが、やはりそんな付け焼き刃程度のものでは作品上でもうまく扱いきれませんね。 おせっかいじゃないです。A·O·Iさんのアドバイスは、読んで速攻盗んでやろうと思いましたね。それぐらい鋭かったです。自作に疑いを持たなければこれ以上進歩しませんし、鼻をへし折ってもらってちょうどいいはずです今の私は。自分に疑問符を投げかけながら引き続き推敲に励みます
0面白かったです。特に最終連の勢いは凄いですね。ただ、メルモさんとAOIさんが指摘されているように、「家庭のひととき」に収まっていたり、傾奇という題材の熟成など、思っていることは言われてしまった… 歌舞伎について、少し調べた程度ですが寄り目(睨み?)について。見た者の災厄を払うという神性がある、とも言われているそうですが、「天も地も見ている」といわれる、寄り目している側の性質が面白いなと。 遠近感は両目で真っ直ぐ見れば確保されるもので、いわゆる「地上」を正確に見る目の状態ですね。西洋的。逆に寄り目は周りの視界はぼやけ、いわば聴覚を研いで空間を把握する、俯瞰する、「天」からの目の状態かと。 羽毛(鳥の視点を纏った!と思いました)という単語も出てきたので、詩全体で、何か上記の文化的思考を継いでいたり新説が見えたり、しないかな、と考えてみましたが、つかめず。(私の思考不足もありますが) このワードセンスに深みがより加われば、誰も追いつけなくなるなと思いました。
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