幼虫期間を寝過ごして
ずるずると抜け出したゾートロープ
知らない街の牛丼屋で見た
首都高ジャンクション
レタスの内葉のように入り組んだ
あの世界線で
僕は転生しているはずだったのに
今頃
月はただただ夜のために
蛾の肌質で
すす臭い揺らめきを見据えていた
ボロボロの絵本を腹巻きに差し
はなたれ小僧は母の布団へ
一等好きなイモ虫シリーズの
一等好きな三巻
じぶんの居場所を確認したくて
まだ眠りたくなくて
こくりこくりと舟を漕ぎながら
垂れ落ちるばかりのまぶたを
めいっぱい開き
同じ本
同じページを
読んでくれと何度もせがみ
そう
夜な夜なせがみながら
温かな母の隣で
いつしか寝息を立てていたように
僕は静かに暮らしてきただろう
同じ絵本の中を
くる日もくる日もこくりこくりと
そして何度めかの朝
カーテンを一枚
あと一枚
窓もめくるめく日々にやがて
まぶたと開いて
盗めなかった夜の
ぶち抜けなかった鬼葉へと今
まさに手を伸ばし
回転ドラムのスリットを覗き込んだら
ああ
ピンク色に染まるレタスから虫
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 369.2
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-11-01
コメント日時 2024-11-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:369.2
2024/11/22 00時21分27秒現在
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ぼくは母親の愛情がなく育ちましたのですが、お気持ちはわかるような気がしました。
1ゾートローブ(回転のぞき絵/回転する円筒の中にスリットがあり、その内側に連続した絵が描かれている装置で、スリット越しに中の絵を見ることで、絵が動いているように見える視覚効果を生み出す古いアニメーション装置の一つ)の姿を思い浮かべ、夜盗虫の性質を理解し(ヤトウガ/夜間に活動し、幼虫が農作物などを食い荒らす害虫)鬼葉(捨てられてしまう外葉)に手を伸ばす。レタスの内側にいるということをまず踏まえて、勝手に読解した。最終連「ピンク色に染まるレタスから虫」わたしはこれを朝焼けと読んだが、この部分だけ外側からのアングルでおもしろいとおもった。幼い頃読んだ本の同じページを繰り返す、ゾートロープとして書かれ、夜盗虫の僕がまぶたをひらき、朝に迎う。1行毎にだいぶ意味が詰まっているので、だから難しい、ざっと読んでみてそれら知らない単語も出てくるので簡単には読み解けなかった。成長物語としては理解は難しく、言葉足らずだが、これが絵本の1ページであるからありだと思った。
1お読みくださりありがとうございます。
0ご明察恐れ入ります。思い起こせばA·O·Iさんは、いつも厳しめにバッサリ切り込んでくるけど、やはり対象の本質や弱点を的確に抑えている方でした。 朝焼けのイメージは素晴らしいですね。さすがは視覚派!レタスの中は暗いけど、いずれ羽ばたくところもまた夜で暗い。抜け出せない夜の無限ループのようなイメージで書きましたが、もうひとひねり欲しいところですかね。盗ませるべきは朝だったのか…うーん。 毎回読者からの率直な意見を求めているにも関わらず、至らない点を指摘されてゴネたり、書き換えられてスネたりと素直に聞き入れる耳を持とうとしませんでした自分は。先日A·O·Iさんから「偶然に頼らずに詩作に励んだほうがいい」と言われ、目が覚めるような思いでした。推敲不足は自覚していたので痛いところを突かれたんですね実際。今回も頑張って書いたけど、推敲の余地はまだまだあると思います。いつもためになるコメントをありがとうございます。
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