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夜の果て
雨天、午後、五時半 私はただ静寂の中を歩いていた 夜の帳、降りつつあるなかで 寂寞 僕の左手は君の右手を握りしめていました 暗闇が攻めてきますから 灯が僕の頼りでした 畑にぽつぽつと立つ街燈という灯が 菊を照らす電燈という灯が 僕の横に立つ君の息遣いという灯が 寂寞 夜の果て、街燈 光に照らされる、降り注ぐ線 差した傘が、線を遮る音を聞く 左手を伸ばしても、掴む右手はなく ただ静けさの中で私は歩き続ける 寂寞 僕は夜を怖がっていました 君はそんな僕に呆れつつ それでも笑って帰路を共にしてくれました たとえ夜の果てだろうと 来てくれたのでしょうか 寂寞 夜の果てに私はいる 君はいなかった 寂寞 「いつかは君一人で行かなくちゃいけないから」 寂寞 私は一人歩いていた 夜の果て 私の中で君の寂しげなあの声がずっと響く その声に私はずっと従ってきた けれども 星屑の涙 無色透明の水銀が 降り注ぐなか 暗闇が攻めてくるなか 僕の左手は君の右手に囚われたままだ この静寂の中で君の息遣いという灯もないのに 雨天、午後、六時
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夜の果て ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 344.4
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-10-11
コメント日時 2024-10-11
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
此の度は、歌誌「帆」自由詩掲載欄へとご投稿を賜りまして、允に有り難うございます。 未だ、ご応募受付開始よりは間がございます。 暫し、(凡そ、冬季‐年始頃に始動との計らいでございますから、その時分、迄。) お待ち下さりますと嬉しく存じ上げます。 御作を、拝読させて頂きました。 色々な、読みが出来得る事と存じ上げますが、評者は勝手に「銀河鉄道の夜」を彷彿と致してしまいました。 「僕」はジョバンニ、 「君」はカンパネルラ。 そう読解を致しますと全てを何故でしょうか、納得を致してしまいました次第でございます。 勿論、別の読み筋もございましょうし、別の意図に拠って起草された御作である可能性もございましょうけれども。 若し、それを――銀河鉄道の夜・借題を――射程に入れて草されましたならば。 之は中々、上質なのではないでしょうか。 次回作の程も、期待を致して居ります。 それでは、復のご挑戦をお待ち申し上げております。 此の度は、ご応募ご投稿を賜り、允に有り難うございました。
1君への信頼と、独りでも進むという事実が、美しく描かれていると思います。 「菊を照らす電燈という灯が」この行が、素晴らしく美しかったです。
1コメントありがとうございます! >若し、それを――銀河鉄道の夜・借題を――射程に入れて草されましたならば。 >之は中々、上質なのではないでしょうか。 う、うん! そうだよ!(目そらし) そ、そのつもりで作ったんだ(冷や汗だらだら) ……でも、そういう読み方もあるか。 確かに僕もその読み方はいいと思った。 (※おそらく宮沢賢治作品が無意識的に詩にも表出している可能性あり)
0コメントありがとうございます! けれども、一人で進むのにも寂寞がずっとついてきている……って感じでもある。
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