遠くなった雨に触れながら
靴をそろえる、わたしのあなたの
ばらばらなアシドリの来た道を
思う、虫も鳥もごみも集まる
いらなくなった、部屋の隅っこで
膝を抱えていたアシドリが
鼻をひくつかせて、裸足で
湿った空気を撫でまわし鼻歌になる
たくさんのひと、だれなんですか?
この今が、明日であり昨日であり
僕は火の降る夜道をしらないが
彼女や彼はしっていて、生きたのだ
わからなくていいんだって。
すり減り、踏み潰された踵が、
ひどく臭う、まだ新しい皮やゴム、
靴底に張りついたガムと埃とつめたい蟻、
踏み潰したもの乗り越えたもの
忘れてしまった、当たり前だろう
新たな靴がくる、また揃える、どれを
履いていけばいいのか、それとも裸足か
そもそも、何処へ行けばいいのか
ここがHOMEで終着点だと言われた
終の住処なのでしょう?と。でも、
いつだって定点にはいられないから、
(靴を揃えるなんて、まるで……?
違うよ。
アシドリの生態は
まだよく知られていない
だからこそ、
靴を揃え、ときに磨き、あらいながす
殴られたこともなじられたことも、忘れられることも
アシドリに宿る、命を、耕されている畑のわきから
眠りについた、たくさんの皺の深みへと潜っていく
あらゆる場所をぬけて飛ぶのでも落ちるのでもなく
背負いきれないものにふらつきながらゆくアシドリ
靴を濡らした尿の温みさへ大切なこともある
これでいいのだとどっちつかずでいることも
いまはわからなくてもいいんだよ
たっぷりねたら、いっておいで
ほら……きえろ、うせろいっちまえ
遥かさきで虹がかからなくても
アシドリはゆくのだから、
遠い雨に濡れた靴がもう渇いている
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 589.0
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作成日時 2024-10-06
コメント日時 2024-10-07
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
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閲覧指数:589.0
2024/11/21 22時53分20秒現在
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生々しい情景と、ほのかな優しさ、とでもいうべきなんだろうか。そんなのがあるような気がする。 >(靴を揃えるなんて、まるで……? ここを「)」で閉じないのが気になったが、これも一種の技法なんだろうか。
0あしどり。という意味がしっかりと置かれているにも関わらず、文面としてアシドリとカタカナで書かれる、と途端、言葉として文字を目で追いながら、なにか、知らぬ 鳥 の様 に、見えてきた。そのアシドリのゆくみちこそ、titleにある。流石うますぎる一票。
0事物の記述法が統一されていないところが気になってしまう。作者が飽きてしまったのか、将又ちがう視座を見つけてしまったのか。ただ最終点の決めは好いとおもいます。
0ん〜、意図的な技法以前かな。 三連までの語りの流れに疑問があらわれて、それをまた否定する。最近、詩を書いてると自分のなかで対話が始まることがあってそれを敢えて入れることで語りが単調にならないようにしてる感じかな。で、質問の"("を閉じないのは閉じると視覚的に余白や段落の拡がりを殺してしまうから、てのがありますかね。後は読み上げたときに閉じてる、と流れが停滞して朗読の呼吸に違和感があるからです。
0こういう駄洒落というか繰り返すことで違う印象が産まれて変化するのて好きなんですよね。去年だったかに読んだ歌人の方が書いた作品で、死ぬ前に願いを叶える?課、とりつくしま、だったかな。あんなふうな味わいがあればなどと思い書いてみました。
0統一してもいいんですが、なんか最近は敢えてズラしてみたらどうなる、とか色々試しています。推敲の参考にしてみます。
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