子供の私がいる - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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子供の私がいる    

植物の影が 虫たち岩たちあらゆる影が 音のように山中でちょっとずつ 回転する それがちょうどいま顔に掛かりはじめる。 ショベル車が浅い渓谷に落ちている、 それを視ようと身を乗り出す。 樹脂の丸太の柵に手をついた脇に、 落ち葉だと思っていたのが おんぶした大きな蛙だったりする。 道はこんこんと湧く水に濡れ滑りやすく、 陽射しがてらてらとぬめる。 光は融けた枯れ葉をさらに あたたかくふやけさせる。 それらの延長線上をみな 受け入れていく。 すると 最後には私自身が、夢だとわかる。 あの、空気の冷たさや、 どこからか反響する伐採の機械の音。 昔に触れた幹の湿り気が 背中を流れる汗と似ていて 私も木だと そしてやはりこれは夢だと気付く 子供のままの私がそこに出現し、残る 町の私は夜の山を眺める そこにいるねと身を案じるも声は 送電線や鉄塔までしか届かない 暗闇の中、子供の私は夜明けを待っている。 とくりとあたたかな穴が胸元へ 人型に空いているのを知らないまま 大人の私は 明け方まで眠るのだろう。



子供の私がいる ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 13
P V 数 : 1362.9
お気に入り数: 2
投票数   : 5
ポイント数 : 0

作成日時 2024-10-03
コメント日時 2024-10-24
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/15現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
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閲覧指数:1362.9
2025/04/15 08時29分32秒現在
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    作品に書かれた推薦文

子供の私がいる コメントセクション

コメント数(13)
西山智
西山智
作品へ
(2024-10-03)

自然物に描写がやさしいかんじがして感心しました。

1
秋乃 夕陽
秋乃 夕陽
作品へ
(2024-10-03)

1、2連目までは山中での情景を描き、三連目で受け入れたとたんそれが夢だと気付く。 そして5連目で自分も木の一部となっていて、それも夢だと気付く。 夜の山を見つめながら身を案じる声は鉄塔や送電線といった近くにしか届かず、「暗闇の中、子供の私は夜明けを待っている」 終連につなぐこの運びがとても上手く表現されていて、終連の言葉が特に活かされていると思いました。

1
多宇加世
西山智さんへ
(2024-10-03)

こんにちは。嬉しいです。ありがとうございます。

0
多宇加世
秋乃 夕陽さんへ
(2024-10-03)

こんにちは。たくさん読み取っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。

1
秋乃 夕陽
秋乃 夕陽
多宇加世さんへ
(2024-10-03)

多宇加世さん、こちらこそありがとうございます。 もしよろしければ、私の詩もよろしくお願いします。

0
渡辺八畳
作品へ
(2024-10-05)

ビーレビには100を超える量の作品が毎月投稿されるから全作読むわけにもいかない。だからぱっと目についた文が惹かれるものである必要があるし、この詩はそれがあった。 他の詩とどう違うのかが言い表せ無いのが悔しい。

1
メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
作品へ
(2024-10-05)

ほどなく省かれていて、情景も行ったり来たりのS字カーブ。ぐるりと回って夢の中に落ち着きます。この文体の扱いがほどなくていいですね。ほどなくて、とは説明的にでもなくその景色に描かれる間もほどなくて、と解釈していただきたい。その文体に魅力を感じるのです。 ただやはりタイトルは惜しいと感じてしまう。子供の頃の夢にみた~というのは何度も文中に出てくるのでタイトルまで押しを付けることはないと思う。敢えて子供の頃の自分を比喩化させて「梟、蝙蝠、蔦etc.などと象徴化させてしまうとか、~明け方まで眠るだろう。から「おやすみなさい」でもいいのではないかと。笑。まあ、感じ方はいろいろですが。

1
多宇加世
渡辺八畳さんへ
(2024-10-05)

コメントありがとうございます。文に惹かれるというのが嬉しかったです。

0
多宇加世
メルモsアラガイsさんへ
(2024-10-05)

コメントありがとうございます。文体に魅力を感じると言っていただき、嬉しかったです。タイトルはたしかにと、自分でも感じていたところではあります。

0
1.5A
作品へ
(2024-10-05)

かつて人間も自然の一部だったということを、生い茂る夢の葉を介して見ているのかなと思いました。そして自然から離れてしまった人間がいて。 夜明けを待つ子供と明け方まで眠る大人が私の中でどんな意味を成すのか、そして最終連(とくりとあたたかな穴が胸元へ 人型に空いているのを知らないまま)で何を伝えたくて、どのようにこの作品を終わらせたかったのか、ということが分かりそうで分かりませんでした。 作品の持つ雰囲気、そこに存在する物語性はとても良いなと思いました。

1
多宇加世
1.5Aさんへ
(2024-10-06)

コメントありがとうございます。作品の持つ雰囲気、そこに存在する物語性を良いと言ってくださって嬉しいです。

1
熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
作品へ
(2024-10-23)

若かりし頃のみずみずしさを忘れないようにと、眠りの中にその山が残り続けている。生物たちの影が融け合うのに不気味な印象ではなく、その未知の世界への好奇心もそこにとどまっているようです。 そんな夢が、伐採され。現実から視ようとしても鉄塔などに阻まれていく。そこに「子供の私がいる」とは思えるのに、自分の胸に空いた穴に嵌めることはできない。大人のもどかしさ。 この観点以外だと、浅い渓谷に落ちていたショベル車はなんだろう、と気になってきます。「私」がその山に居場所を作るために使ってきたショベル車かな? と思うと、もう使われていないようで、切なくなってきます。 それぞれの表現、心地よかったです。

0
多宇加世
熊倉ミハイさんへ
(2024-10-24)

コメントありがとうございます。たくさん読み取っていただいて、嬉しいです。

0

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投稿作品数: 2