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仕事
仕事中 銃声が聞こえる 分厚い鉄板を強かに叩いたような砲撃が続き 近くの演習場に自衛隊員がいるとわかる 牛は一切動じることなく 目の前の配合飼料に夢中だ 昨日のスーパーにはオリーブグリーン色のトラックが停まり ジャージとスニーカーに迷彩服を羽織った隊員がいた 時に仮想の存在として扱われる自衛隊員が ビールを買い込みながら談笑していた 誰かは生きて働いているのだ この世のどこかで アメリカ産の配合飼料を北海道の片隅にまで運び 子牛たちは北欧からライセンス生産されたロボットからミルクを飲み 中東で産出された石油で日本や欧米製の車が右往左往している 肥育され屠畜された牛が 精肉されどこかの店で陳列されるだろう 砲撃が連続で続く どこかの牛舎の中で 牛を励ます様に世話を続けている人も この世にはいるのだ 本物の戦禍の音を聞きながら 血を吐く思いで 小銃を抱え走り続ける 日本と世界の人々も どんな気持ちであれ こんな音を聞き 銃の声を 生身の手から 張り上げる 目の前の牛たちは ひたすら配合飼料をがっつく 今この世にて 働く人々よ 「我らは何も持っていない 大いに楽しく生きていこう」 牛たちは地面に座り 反芻を始める 銃と砲の音は いつしか止んでいた 自衛隊員は見えない向こうで 次の訓練を始めている
仕事 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 367.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-24
コメント日時 2024-09-25
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
発砲音と農業生産の関係で言えば直接ウクライナが眼に止まりますね。破壊を目的とした軍備と衣食住の 生産性。この相対する二つの事柄も、国家防衛という観点に立てば必要不可欠な要素ではあるのだが、我々労働従事者や飼育される動物たちからみれば、、? ということでしょうね。 冒頭の 仕事中~は飛ばしたほうがいい。入れるのならば、中ほどの~砲撃が連続で続く~の前に持ってきたほうがいいと思います。 横書きでの改行を考えればここに置く意味も薄いからです。 タイトルの「仕事」も少し考えられるべきかな、とわたしなら思います。自衛隊員からすれば演習も仕事のうちでしょうが、この内容のことで多くが占められていますね。べつに生活に関わる農業(牧畜)と演習を対比させて考えなくとも、世界のあらゆる地域場所で「仕事」とは日常茶飯事に行われているからです。国土防衛と破壊。国土生産と農業(牧畜)。この二つが関連する、より意識した思考的なタイトルがほしかった。とわたしは思いました。
0元々自衛官として普通科連隊で対戦車ミサイルを扱っていたので、砲撃も仕事のひとつという認識がありました。 (ミサイル攻撃と砲撃は正確には別物ですが) とは言えそんな個人的事情は関係ないでしょうから、もう少し別な題名はないかと我ながら考えつつ、それでも結局しっくりいったのが「仕事」という題になってしまいました。 しかも今いる牧場が自衛隊時代によく訓練した場所からたまたま近いという。 かつていた場所から今の職場に銃声も砲撃も良く聞こえるのです。 どうしても仕事という言葉が頭から離れませんでした。
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