B-REVIEW poet……
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アイマスクハイパーループ
好きだから、いいや、失いたくなかったから、嫌われたくなかったから、僕は元々こういう人間だったと言い聞かせることもしたし、無理矢理合わせて歪なぴったりを作ったりもした。 本当の初めてはどれだけ在っただろう。 見て見ぬふりは習慣になった。 目を閉じていれば生きることは楽だと誰かが言っていた。恋は盲目だとも。 僕たちは自ら望んで目を瞑った。 確かに生き易かった。きっと大丈夫。 アイマスクをつけて眠るような、 そんな日々があった。 おやすみ。 隣に体温と愛の言葉と、 これが幸せだったらいいなと思った。 君と居た部屋で朝を待つ。 君はどうして泣いていたのだろう。 夢を見た。 36.5℃が一番暖かいことを思い出した。 おはよう。 今日もまた夏だ。眩しい。極彩色の朝。 誰かが置いていったアイマスクを使えない僕には耐えられそうもない。 カーテンは緑色がいい。 後で抜こうと思っていた棘が見当たらない。 身体に溶けてしまった様だ。 鈍い痛みだけが残る。 ゆっくりと身体を起こす。血が巡る。 少しだけ息苦しい。子どもの様に泣かなくなったのはいつからだっただろう。 現代人の99%は何かしらの精神疾患、異常、不調を抱えていると言う。随分と都合の良い割合だ。 能天気に、心の底から笑って幸せな日々を過ごしている人たちは1%、あるいはそれ以下しか居ないらしい。 本当は、混じり気の少ない純真な心と対面することが恐ろしかった。 理解したふり、割り切ったつもり、最後まで目を瞑ったまま、物質的なこの世界のせいにした。 大人に成ってしまった。揉まれて削られて、何とか欠片を掻き集めて形成した醜い僕の其れが、柔らかな君の心を潰してしまわない様に。 擦り減った靴底が何処へ行くか知っているかい? わかっていたけれど目を逸らした。それでも、 1%の夢を見たかった。縋ってしまった。 僕はやはり何かの病気なのだろう。 旧約聖書、レビ記16章、贖罪の日に行う儀式。 祈りについて考える。 何に何を祈るか、届くか届かないか、 祈りという行為それ自体の神聖さ。 生活の中の祈り。 祈ること。 祈るように。 深呼吸をする。脳に酸素を送る。 それだけで人間の身体は落ち着くらしい。 大きく吸ってゆっくりと吐く。 君の匂いがした。
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アイマスクハイパーループ ポイントセクション
作品データ
Ｐ Ｖ 数 ： 486.0
お気に入り数： 0
投票数 ： 0
ポイント数 ： 0
作成日時 2024-08-27
コメント日時 2024-08-29
| 項目 | 全期間(2024/09/19現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
此の度は、歌誌「帆」自由詩掲載欄へとご投稿を賜りまして、允に有り難うございます。 未だ、ご応募受付開始よりは間がございます。 暫し、(一からニヶ月程度、凡そ十月辺りを指標と致しまして)お待ち下さりますと嬉しく存じ上げます。 御作を拝読させて頂きました。 何と申しましても、旧約レビ記十六章を下敷きとなされていることへの言及が、 只ならぬ複層性を、一見日常的なる関係描写へと影響を及ぼしていらっしゃる箇所が美点である、と。 供犠(罪祭、燔祭)、乃ち呪術的儀式の強度とは、 繰り返し、再現性の慣例に拠って保証され得る(此れは現代科学実験‐法則の再現性にも通ずる処でございましょう)、 つまり、カインとアベルの物語を幾層にも亙りまして表象‐象徴化を施し続けておりますのが、旧約意識の特徴でございましょう (新約に於きましてのヨハネとイエスも然り)。 却説、要の詩文そのものへと着目を致しますならば、「病めるもの」と「病まざるもの」、「君」と「記述主体」、 それらが「潰される供犠」と「荒野へと追放される者」へと分別を出来ます様な心持が致します。 そして、さながら作中へ登場致します「アイマスク」が犠牲の目への覆い布を彷彿とせしめ、 何やら曲々しい、上手な道具立てと致しまして機能していらっしゃる様に感受をせられました。 一読致しますのみでしたならば、余り引っ掛かりはあらず、思索への入口の程を見過ごして仕舞いまいそうになりますけれども、 出典元と併読を致しますならば、中々に配視の行き届きになられました、一筋縄では解釈出来ません深みを包含をしていらっしゃられると、 得心を致しました次第でございます。 復、凝られた構造の御作を期待致しております。 それでは、復のご挑戦をお待ち申し上げております。 此の度は、ご応募ご投稿を賜り、允に有り難うございました。
1恋は盲目なところをアイマスクで表現しているところにセンスを感じます(*´ω｀*) 想い人を思う主人公のひたむきさ、応援したくなりますね★
1色々なところに気付いてくださってとても嬉しく思います。勉強になりました。 コメントありがとうございました。
0コメントありがとうございます。 初めての投稿でいまいち要領を得ていなかったのですが、温かい言葉をいただけてとても嬉しいです。
1歪な「ぴったり」。考えさせられます。習慣と化す見て見ぬふり。電車の中やバスの中、そして公道、記憶が回り出すようです。寝たり、朝を待ったり。緑色のカーテン。聖書のレビ記。人間の呼吸や君の匂いは自然からのプロテクトなのかもしれません。
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