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忍殺と短歌について書いた散文です。
アイエエエエ! ニンジャスレイヤーの漫画版を、まとめて全部読んだ。 ネオサイタマの死神ことニンジャスレイヤーが「ニンジャ、殺すべし」と戦い続ける復讐譚であると書けば、だいたい全部説明した感がある物語だ。 この物語(日本語訳版)の最大の魅力は、マルノウチスゴイタカイビルでマイコロイドやオイランロイドなどが働いている、サイバーパンクな世界観、そして地の文でもセリフでも駆使される日本語に巧妙に翻訳された「忍殺語」の独特なアトモスフィアである。 後者に限って言えば、思い出されるのは、かの伝説の老師「オオシバ・ルー」が創始した「ヤブからスティック」に代表される「ルー語」だろうと思う。 やや強引だが、ここでこれを短歌に引き寄せて考えてみたい。 短歌って、どうしても「うまいこと言うたもん勝ち」なところがある文芸ではないかと思う。最低でも「ヤブからスティック」ぐらいは言わないと、短歌として成立しないと言ってもオーバーワードではない。 「ルー語」の特徴は、中学生が耳で聞いても一発で絶対にわかる平明さにあると思う。一方で「忍殺語」の特徴は、「コーボー・ミス」とか「マッポーめいたアトモスフィア」とか「チャメシ・インシデント」とか「ローソク・ビフォア・ザ・ウィンド」とか、とにかく高校生や大学生や僕が喜びそうなアトモスフィアにある。アトモスフィアもインシデントも中学では習わない。忍殺において「ヤブからスティック」はむしろ興醒めなのだ。だから「ルー語」と「忍殺語」は、似て非なるものだ。 方法論は共通だが目指している方向が違うからだ。僕の短歌は、「うまいこと言うてるけど絶対に伝わる平明さ」を目指しているから「ルー語」だ。しかし歌詠みの世界では「ルー語」は子供だましで面白くなくて「忍殺語」はとても面白いということになっていないか。 そんなの、ドングリのコンペティションだと言われるかもしれないけれど、本当にそうだろうか。僕は「うまいことを言うけど絶対に伝わる平明さ」のタツジンを目指しているのに、たとえば批評会や歌会で「読みの力」がスゴイ級だとタツジンであって、「読みの力」を引き出すような、ちょっと腰を据えて考えてやっと意味がわかるような「忍殺語」の短歌が作れるとタツジンだというアトモスフィアがあることに僕は強い違和感を感じる。てゆうかはっきり言うと「けっ、何が読みの力ねん」くらいに思ってる。 さらに書くと、「ルー語」はお笑いの世界では「くすぐり」にしか使えないし、忍殺は僕はジッサイ好きだし熱狂的なファンがいるけど、メジャーにはならない。方法論において両者は同じで、そして絶対的ではない便法の一つでしかないのだ。 オタッシャで!!
忍殺と短歌について書いた散文です。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1143.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-02-14
コメント日時 2018-02-14
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
結論を言いますと面白かった!です。詩情や散文が内容だけに万人向けなパッケージではないけど。忍殺はおバカB級作品を敢えて壮大に創り上げた一部の方々、僕も含む、には堪らない作品でしたね。 それがルーさんに飛び、 短歌の世界へ波及していく流れはうまいなぁ、と読まされました。 最後の、オタッシャで、は来るかな、来るかな、の期待半分ででも笑える。 詩情を感じるか、と言われたら短歌への皮肉な眼差しをルー語、忍殺語にすることでくるんだ点でしょうか。
0現代の短歌について無知なんですがコメントさせてもらいます。 「忍殺語」のほうが意味は分かりにくいけど耳には馴染みやすいんじゃないでしょうか。 マッポーめいたアトモスフィア、とか。 そういうのに神秘性みたいなものを感じるんじゃないですかね。 おもしろく読ませていただきました。
0どうも、「ルー」です。なんつて。 ルー大柴、いま、知っているひとって若い方、どのくらいいるんでしょうね。 そこに「老師」もってくるというあたりが既になつおさんです。 わかりやすいけれど、うまくやる、というのは、剣道でいうと技の妙と思うのだけど、それをやるのは修練の成果として、読むのはプラス経験量に裏打ちされた勘というか察知力ですよね。じゃあ、それを引き出すとしたら何だろうと考えました。そしたら、いままでの修練で得た技術や経験によって無意識下に集積されたバリエーションパターン(の引き出し)にひっかかるか、もしくは、くすぐるかする挙動かな、と思いました。 ということで強引に「くすぐり」につなげてみました。ニンニン。
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