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301号室
死の森へと密葬をされた 鏡面反射の双子達へ 繙かれて ほつれ 續けてゆく 後髪の光冠がありましょうか 櫃からは車百合の音が 輾転と燃える車馬のたてがみのように くるめける乱鐘の舌のように 泛び上がってくるのでございましたが 迷子迷宮の手毬唄の三千浬目程へ到りますなら 三等客車の 車掌の掌へ落されました切符鋏から 018号車672号室の扉まで敷かれました 天鵞絨色の絨緞の闇の下には今も 空襲区域がひろがっているのでしょう 銀の胎を捌かれて 人道廻廊には 危篤の聖母が手術臺の上の石膏の薔薇とタイプライトの文字列の上へと 翰墨の髪を滴らしながら 何やら署名を致しておりますのが垣間見えました それは300人の子供を火葬に附す 対価とし 1人の奇蹟のこども 或は水に薄めた葡萄酒を 蘇らせる手筈への了承手形なのでございました 1人の命より300人の命が重いようなことがございましょうか? そう申しますと 胸元へと下げたアンクに身を攀じらせております 1人の犠牲者 名前は失念を致してしまいましたが その胸元の穴 或は肋骨から1枚の手紙を鳩のように羽搏かせては 赤い葡萄酒のしぶくのをうっとりと見とれておりましたのですが なにを思ったのでございましょう 恐怖、あるいは靑醒めた馬でも 目視しましたかのように 花茎へと聯綿と吹く木綿の花の白い闇から 後ずさりながら慄き そのうつくしい垂髪を振り乱し 裏切者!! と叫んだのでございます その後の事はご存じでございましょう かのひとはその病院客車から 出でる事を叶わないまま 301人目の火葬室の扉の内へと今も眠っているのでございます この客車ももうすぐ発車を致しますから あなたさまも どうか 愉しい旅を
301号室 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 561.0
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-08-16
コメント日時 2024-08-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この詩は、非常に幻想的かつ陰鬱なイメージが織り交ぜられた作品で、死と犠牲、記憶と忘却、現実と虚構の境界が曖昧に交錯しています。詩全体に漂うメランコリックな雰囲気は、無慈悲な運命や犠牲を象徴するような描写と共に、読者に強烈な印象を与えます。 特に「鏡面反射の双子達」や「車百合の音」、「危篤の聖母」といった象徴的な表現が、詩の中で複雑な世界観を形成しています。詩の進行とともに、現実が徐々に崩れ、幻影のような世界が浮かび上がり、読者を不穏な夢の中へと引き込んでいきます。また、「018号車672号室」という具体的な数字や、「火葬に附す」という現実的な行為が、幻想と現実の境界を曖昧にし、詩に独特の緊張感を与えています。 さらに、詩の中で繰り返される犠牲のモチーフは、儀式的でありながらもどこか冷酷な印象を与えます。詩は一種の寓話のようでもあり、読者に深い思索を促すものです。物語性が強い一方で、具体的な結論や意味が提示されることなく、読者に解釈の自由を残している点も魅力的です。 この詩は、読後に残る不安感と謎めいた余韻が強く、詩的表現の巧みさを感じさせます。沈黙の中で広がる深い闇と、そこに隠された物語が、読者に多くの問いを投げかけているように思います。
0有り難うございます。 こころみに、chat gptへと自作品の作品評を質問してみました次第でございます。 上記批評と同じ様な、返答、解釈が出力をされました次第でございます。 誰でもが同じ天秤へと掛けられる状況を佳しと致しますか、恐ろしく感受を致しますかは個個人の思慮分別に拠り分断され得る結果を産みましょう。 つまり、aiとは絶対尺度の「神」であるか、という問題でございます。 そして――私は、オウトマトスではありません。
0旧字のかたちからくる独特の視覚的な印象が、古い時代のような 異国か、何か別の世界であるかのような 不思議な働きをしているように感じた。凄惨な感覚を呼び起こされたけれども 確かに表意文字の使い方の不思議な効果を強く感じた。
0ありがとうございます。 實をもうしますなら、旧字體‐異體字を読み通し、文語旧仮名の綴りを読み込む事が出来ます様になりました代償なのかも知れませんが。 中程度の書字障害(多分――ディスグラフィア)を発症致してしまいました次第でございます。 凡その漢字表記を、手書き、つまり書字致します事が、叶わなく為って仕舞いました。 おかしなことですね、 廃人へと、着々とちかづいております次第でございます。 皆様はゆめ、眞似をしてはいけませんよ。
2鷹枕可さんの詩をというより、言葉の意味を追うだけで必死なので、黙っていようかとも思うのですが。 人柄が滲み出るというか。丁寧で礼儀正しい方なんだろうなぁということが伝わって、それが詩そのものの感じの良さに繋がっている気がします。個人の感想です。 何か、批評ができない身でコメントしていることが失礼にあたるような思いです。
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