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ヤング・ブラッド
音楽をぼんやり聴いていたら コースターズの面々がドアから 植木鉢の中から 冷蔵庫から現れて 私の前にすまして並びはじめた 目をぱちぱちくるくるさせていると リズム&ブルースのイントロが流れる カルルが歌い始める 「新しいものがなくなってしまったような気がする しかしそれは私の感性が古臭くなってしまったからもしれない」 ロビーがすかさず 「人間という生き物が大昔からこんな姿かたちをしている以上 考えていることや生み出すことに今も昔もないのかもしれないね」 フィリーとレナードがかわるがわる 「音楽に限って言えば 新鮮な気持ちを そう 新鮮な気持ちを もう何年も味わっていない もう何年も もう何年も」 なぜか部屋の窓が開いて 外からルドルフが元気に応えるのだ 「それは それは それは これまで無数の大人たちが 感じてきたことなのかもしれない もう新しいものはないな もうないね もうないね もうないね」 全員でユニゾンときた 「俺たちはこう言い返すよ お前たち年寄の感性なんか信じない これは俺たちの文化だ 年寄は旧式の装置を 壊れるたびに直しながら 一緒に錆びついていけばよい」 トイレから出てきた妻がアラベスクで 「すると すると すると 単に世代間の溝が いえ 断裂が はたまた断絶が 年表の上を平行移動しているだけなのかもね」 ご機嫌なドゥーワップの中 つい私も歌ってしまった 「音楽の最終形態や完成形は 永遠に現れないし 今あるともいえるし 過去に求めることもできるのさ そうさ そうさ そうさ」 コースターズの面々は粋なハーモニー 「人間に完成形があるのかどうか 向こう三軒両隣の間でさえ 平穏でいられるかどうか怪しいのに 今が人間の完成形とは甚だ疑わしいよ」 なぜか飼い猫が二本足でムーンウォークをしながら 「もうそんな醜態がずっと続いていて 君もその延長線上にぶら下がっている以上 偉そうなことは言えないよ 言えないよ 言えないったら」 ドゥーワップなら大体三分で終わるから 時間になったら雑にフェイドアウト 全てが普段通り 空虚な白々しい休日の午後 気分を落ち着かせニュースを観る あ、そうなの、 この人、二メートル半もあるの、すごいねえ 最近の若い人は背が高いねえ
ヤング・ブラッド ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 497.1
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-08-01
コメント日時 2024-08-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
所々に出てくる音楽用語や登場人物が歌う表現などから、ワンシーンが頭の中で映像化されて楽しみながら読めました(*´ω`*) モダンな雰囲気の中にたくさんのキャラクターがいて楽しいですね★
1奇想と言うか好きなタイプの詩です。 作中に出てくる登場人物は、実在のコースターズのグループメンバーか? 構成とアイデア、練られてますね。 音楽を聴いてインスピレーションを受け、素朴なアイデアから豊かな世界が広がる見本のような一作。今の時代に生きるメッセージ性も添えながら、ドゥーワップにおけるリフレインを使った言葉遊びを添えるなど、巧みな演出です。傑作と言って良いでしょう。
1田代ひなの様 コメントありがとうございます(^-^) そうですね、映像的な感じはしますね。楽しく読んでいただきうれしいです。 またよろしくお願いします(^O^)
0万太郎様 コメントありがとうございます(^O^)/ コースターズのメンバーの名前をもじっています。 最初はこの詩の「歌詞」にあたる部分しかなかったんです。急にドゥーワップが始まったら面白いだろうなと思いまして、ミュージカル的な部分を付け足しました。 「巧みな演出」と言って下さり恐縮です。 またよろしくお願いします(#^.^#)
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