みどり色のアブサンソーダに
氷が一つ落とされて
僕の周りだけ
かすかに気温が下がったよう
吐息は
蚊遣りブタのくゆる煙を
もてあそび
部屋の四隅までゆきわたる波紋
うわの空の君が
束ねた妄想をホチキスで留め
冊子にしてよこす
「愛してる」
夢ばかりみていたね
やっぱりどこにもいなかったんだ
僕ら
君からのラブレター
それは
上手に愛をなぞった作品だった
宛て名の文字は
陽炎のようにひん曲がっていたけど
そこがなんとも君らしかったよ
ホチキスの芯ね
途中から外して読んだんだ
すごくページがめくりにくくてさ
あれ
一向に醒めるばかりの胸
しゅわしゅわと炭酸の伝うごと
独りがしみて
無心に空けていくグラスは
からだが君を求めるときの素直さで
僕を責め立てた
上手な愛とかよく出来た物語なんか
ほんとは簡単で
僕が欲しかったのは
ただの
へたくそな君だよ
草いきれに
わななくセミの灼けつくうねりを
ホチキスで留め
また一つ落とす風鈴の音
作品データ
コメント数 : 17
P V 数 : 1322.6
お気に入り数: 2
投票数 : 3
ポイント数 : 110
作成日時 2024-08-01
コメント日時 2024-08-20
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 20 | 20 |
前衛性 | 7 | 7 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 15 | 15 |
技巧 | 25 | 25 |
音韻 | 18 | 18 |
構成 | 20 | 20 |
総合ポイント | 110 | 110 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 20 | 20 |
前衛性 | 7 | 7 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 15 | 15 |
技巧 | 25 | 25 |
音韻 | 18 | 18 |
構成 | 20 | 20 |
総合 | 110 | 110 |
閲覧指数:1322.6
2024/11/21 23時08分06秒現在
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愛に饒舌さや型などいらないというテーマ。ホチキスの芯の表現が良いですね。ホチキスは、冊子をその順番でしかまとめられないし、金属だからチカチカして、お行儀よくて、なんとも「思いやってる」感を出してしまう、煩わしいものなのかもしれません。 上手く見せようとして凝り固まる言葉たちに対して、名前だけが「陽炎」のようにゆらめいている所が、「君」らしさ。掴めそうにない、掴めないものへの感情が「愛」なのかもしれません。 ホチキスが、「読み返しづらくなるもの」であるなら、最終連のホチキス留めは、夏を忘れ去っていく行為(読み返さない)のように思えました。 良い詩です。
1夏の情景。強い愛情が、展開されていきますね。「やっぱりどこにもいなかったんだ、僕ら」 こんなフレーズが素晴らしい。ブタの蚊取り線香が、いい情景を作っていると思います。 一つの情景を切り取って、愛は決して軽々しくない。この世に生きて、確かに主張を されているあなたがたの一人一人が、自分の力を尽くしたんだと分かります。
1ホチキスの表現がとても良いと思いました。「愛」という言葉が使われていても、直接的なありきたりな表現には見えなくて、何かに包まれているような深いものを感じました。 >へたくそな君 この言葉がとても印象的で、素直になるってどういうことなのか考えさせられました。
コメントありがとうございます。 まず、ミハイさんの感性が素晴らしいです。作品がかすむほどの圧倒的センス。その泉のように湧き出るアイデア、マジでちょっと拝借したい。 物書きの恋あるあるじゃないけど、やっぱり愛の言葉までポエムにしちゃったら大概こけるんですよね。妙に理想化された恋を演じ合う、あの白々しさ。痒いですよね。 ある日作家志望の恋人からもらった自作小説、これが理想の恋愛像を詰め込んだような内容だったんです。複雑な気持ちになりました私。郵送だったんですがシワくちゃの茶封筒、宛て名の独特な文字や癖のあるホチキスの留め方(心配性な性格が表れたような2点留め)、内容よりそっちのほうが見てて楽しかったんですよね。なんでかな。やがて互いの配慮要員も創作に出尽くし恋は終わるのだった…。 ホチキスの意図は実はあまりなく…たぶん、うまく狙えてない。
1コメントありがとうございます。 蚊取り線香ってたき火とか野焼きの匂いに似ていて好きです。いぶした草みたいな匂い。 黒髪さんの言葉がしみるんです今。仕事や親の介護で疲れてるのもあるかな。 なんだか黒髪さんを見ていると、自分は間違ってたのかもしれないって気になるんです。いや、間違ってるんですけどね確実に。個人的な話してすみません。
1陽炎の意味だけでみると、初連と最終連(ホチキスいらない)だけで事足りる、どころか それだけで陽炎らしさがうまい。お話のどこが必要なのか吟味したほうがいい。うまく括って纏めたように見えているだけ、騙されないゾ☆
1コメントありがとうございます。 項目別に採点して頂けたのは初めてで、とても嬉しかったです。評価が数値で見えるのが新鮮で楽しかったです。大変勉強になります。掲示板にはこんな機能もあるんですね。 「愛」、便利な言葉ですね。困ったらとりあえずこの言葉に逃げがちだけど、実は扱いが難しい言葉ですね。罠ですね。 「へたくそな君」、素直にこれは語彙の限界でした!それ以外なかった。
0やっぱり鋭いんだな☆ まだまだ自分は創作という立ち位置から作品を見ることができていない、その自覚はあります。 思い込みは往々にして私らの筆にイタズラをします。この作品もいろいろ甘いと思う。 ただ、一つ言い訳をさせてください。ホチキスはいります。とじてフリーズするイメージだから
0それって思い出を閉じ込めてるイメージですかね。じゃあもっとホチキスじみたとこ出したほうがいい。意味的に近いものを重ねるとか。動を置くのではなくて、停を見せたほうがいい。そもそも思い出だと思われないこれでは。(そういう意図ですよね?
1青春と恋愛が織り混ざる綺麗な作品だと思いました★ ホチキスに纏めた君との思い出が鮮やかに脳内で再現されます((*´ω`*)
0コメントありがとうございます。 自分的には、風鈴が涼を呼び「停」を演出したつもりなんですラストで。 思い出を留めるというアイデアは面白いですね。また違った可能性が見えてきますね。 うーん。自分はエゴを捨てきれなかったのかもしれません。「ホチキス」は君のシンボルだったので書きたかったんですが、無理やりな展開になっていたのかな…。 私はまだまだ素人だねッ☆
0コメントありがとうございます。 そう、青春も恋愛もポエムの外にあるのだ★
1よみかえしてみたのだけど、分かれていることによって時や場面を切り替えてるように見えてしまう。これ最終連の前だけ空行が必要な感じがする。あと含みを与えるためなのか単語として区切ってしまっているのも(僕ら/それは/あれ/ざっと/ただの)すっと読ませて理解に落とし込んだほうが良い気がする。そして『風鈴が涼を呼び「停」を演出した』とある最終連の末尾に余韻を落とすかんじにする。わたしだったら「また一つ落とす風鈴の陽炎」で〆るかな。 印象として恋愛の一場面がはっきりと見えすぎてしまうので陽炎といったゆらぎみたいな感情が、薄く、確かに受け取ろうと思えば出来るのだが、『「ホチキス」は君のシンボル』といわれても、わたしにはピンとこなかった。ただホチキスに引っかかるだけ、うまく使えてないと感じましたが。みなさんそこが気に入ってるようなので感性の違いなのでしょうね。
1コメントありがとうございます。 大胆!空行は最終連の前だけですか?思ってもみなかったです。自分にはない発想で面白いです。はえ〜。言われてみれば、空行にはそれほどこだわっていなかったです。結構おざなりな空行をしがちなのかもしれませんいつも。確かに改行も、理解に落とし込む目的の改行ではないです。 それにしても洞察力、分析力がすごいですね。丸裸にされた気分です。これから、投稿する前にA・O・Iチェックを依頼したいぐらいです(有料?)。 皆さんから頂いたコメントを読んで、ホチキスの解釈にもそれぞれ個性が見えて面白いなと思いました。作者としては、「そんなとこちゃんとしなくていいから別に」のホチキスでした。
0言葉遊びに終始し、深みを感じさせない。
0ポルチオに言われたかねえよ
0やはり私には縦文字表記にはなじみません。
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