余器用な男 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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余器用な男    

1 アマゾンのジャングルの奥にある街で、 マンホールを開き足を運ぶ、房つきの私。 切れかけて腐る電灯に、 少年の頃の蛾がディープキスしている下水道! 甲斐性な味つけだね、と飛んでいるみたいだ。 夜の街を転がる車はあまりにも、 無害で素敵でヘッドライトが萎れていた。 電柱に、青ざめた火の硬い縄で縛りつけられている一人の少女。 鬱々と、目元に沿ってラベンダーが植えられている。 植えられていた!  歩き去る街の人々に尋ねても、 勘違いだと、少女の存在を消してくる。 やがて夜明けが来るだろうけど、 この街の嘘はどこまで流れる?  パーティー場閉館のお知らせ、 「まだ血の色は赤色でした」と、 どろどろ押し寄せるプラスチックメン。 予報では、灼熱の雨が降り出して、 私も君も溶けてしまうから、助けを呼ぶよ。 おおい! おおい! おおい! おおい! おおい! おおい! 2 道端に落ちてる犬の糞みたい 憐れで汚いブスオトコかな 今にも消えそう ブスオトコ 定規より、法律よりも、真っ直ぐに 孤独が私の背を引きちぎる 地獄と地獄から引っ張ってる 両脚は向かいの歩道のベンチ下 雨宿りしてバスを待ってる 私の根を奪った裏切り者 太陽も雪も落ち葉も虫たちも 喉が枯れたか、命枯れたか 物語を持ち寄らなくなった 電柱のカテーテルだけをブッ刺して 血を鉄と本当に思う日々 サラサラザラザラ流れる音を、最後にあいつは奪おうとした…… 3 やめなさい その水は毒です 見なさい ラベンダーが痙攣を起こしている 君はどこから来たんだね おや、分からないのかい うむ、うむ、 一言多いな、君はなんだか やがて夜明けがくる それまで天使たちの家にいなさい あそこほど青い空を淹れてくれるカフェはない なに? この子に恵みを分けてやれ? それは駄目だ。リズムが崩れる 嫉妬の滲んだ髪が艶を取り戻してしまう 折角美を忘れて生きてきた、我々を殺す気か ああそうか、勝手にしたまえ ここのにわか雨でじきに君も焼き切れる まるで愛など、有害物質の澱だとでもいうように 1 おお…… 楽園か? はたまたここは、楽園か? 指紋が全てほどけて朝の香



余器用な男 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 6
P V 数 : 754.6
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2024-07-10
コメント日時 2024-07-10
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/15現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
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構成00
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閲覧指数:754.6
2025/04/15 02時47分56秒現在
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    作品に書かれた推薦文

余器用な男 コメントセクション

コメント数(6)
メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
作品へ
(2024-07-10)

即興かな?もしそうなら僕も何度か試してみたことある。一応テーマらしきものは決めておいて、どれだけ意識的に言葉をつないで、というよりは担ぎ出せるのか。そのうち無意識的に降りてくれば最高じゃん!なんてめちゃくちゃに書いて載せたら、(?えーと、わからない。また読んで解いてみたい)とかおっしゃる人がコメントくれたりして、おいおい止めておきなさい。とか思ったんだけど、黙ってましたね。そのまま何か有るように思わせときたかった。笑。 これもそのような感じはしますね。「余器用な男」一応タイトルもある。余器用?てことは器用過ぎるってこと。男は器用よりも器量。って言ったのはデスノートでの夜神月。?、漫画見ないのでよくわからない。どちらかといえばわたしは不器用なほうですね。なので、その様な趣向の即興で書いててもやっぱり立ち止まって後を追ってしまいます。つまり言葉がもつれたり重くなったりでつい考えてしまう。皆さんも経験は有ると思う。熊倉さんはどうか知らないが、日頃思いついた言葉の切れ端をストックしています。そろそろ書きたくなればその貯めて置いた言葉たちを引っ張り出して詩に混ぜたりします。でもこれが一度仕上げた詩となるとそうはいかない。出来上がった詩として貯め置くことはなかなかできないですね。それならば一度掲載させて、気に入らなければ後で推敲手直しをする。そのパターンのほうが多いのではないでしょうか。出来上がった詩を何日も手もとには置いておけない。明日の朝、眺めるとがっかりして飽きてしまうことのほうが多いから。  即興という点ではラジオのパーソナリティやTVの司会者なんて器用ですよね。人を前にして話す仕事。素人ではなかなか言葉も出てこない。特にあのお笑いビッグスリーのアドリブは凄い。リスペクトされるはずです。 と、余談が長くなりましたが、この詩、大きくは1~3で分けられてますね。しかしよく見れば背景とか時間とかが同時につながって見えてくる。ということは共有する空間での出来事を、意識的に三者三様と即興の形態で変えて詩に興しているのでは?という見方もできるのですが、果たしてどうでしょう。内容から読み解くなんて野暮なことはもちろんできません。読解力もありません。笑。タイトルの意。なんでしょうね。余器用な男。余り器用過ぎてもなあ。てことで憶測終わりにします。

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熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
メルモsアラガイsさんへ
(2024-07-10)

コメントありがとうございます。 う~ん、「即興」とは何か。難しいですね。「即興」の意味を色々調べて気になったのは、「何も準備せずに」とか、「型にとらわれずに」とかでしょうか。一応、「型」を準備して書いた詩ではありますね。 メルモさんが言うような「共有する空間での出来事」の他に、ある強いルールを設けて書きました。 でも、即興と言えば即興かもしれません。ジャズの演奏にたとえると、「いや、「楽器を使う。何分の演奏にする。低音高音のパートは区別する」という型だけは守ってるけど、あとは即興だなあ」というような詩に近いです。 しかししかし、「詩を貯める」ことの話でいくと、この詩はここに出るまで半年ぐらい手元にありました。「直すところあるかな?」と何度も読んでみては、「直すところ無いなあ」と、少し手直しはしたりしましたけど、ほぼ原型ですね。自分には少し色褪せた写真のように見えますが、書きたいことは書けた、という感じの詩です。 「余器用」。色々な解釈があると思われますが、私はどちらかというと「不器用」寄りのニュアンスだと思います。

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メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
作品へ
(2024-07-10)

あ~そちらのほうが強かったのですね。うむ、出来上がった詩をそのまま寝かせておける。というのは実は羨ましいことで、それだけテーマがしっかりとある。ということなんですね。図面を引くように思考を構造的に組み立てる緻密さもみえて、理論派なんだな熊倉さん。わかりました。これだけ解説してもらえば創作家個人の個性を垣間見ることにもつながる。ありがとう。

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佐々木春
佐々木春
作品へ
(2024-07-10)

詩を読み解くちからがないので感想というか印象になってしまうのですが、とても綿密に(計算されて?)書かれているのと、情報(あまり詩的ではない表現ですみません…詩的ではない人間だからこその一つの観点として)が盛りだくさんな感じがしました。あと、あえてそうしているのかもしれませんが、レトロな表現が多く、感嘆詞を使いながらも決定的な表現を避けているような気もして、全体的にぼんやり不思議な雰囲気の作品だなと思いました。

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熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
佐々木春さんへ
(2024-07-10)

コメントありがとうございます。 佐々木さんが「詩的ではない人間」……(!?) まあ、自分のことを詩人と言えるか、という懐疑の精神は大切ですね。誰も使わない観点を持てるのは、詩人からしたら羨ましいと思いますよ。突き詰めたら面白そうです。 レトロな表現、不思議な雰囲気……そうですね。この詩における「時代」、「場所」、という設定は打ち壊そうと試みていますね。 そういえば、月初めから順に読んでいるので、まだ佐々木さんの「リボルバー」を読めていません。なんだか今作評判そうなので、期待してます。読みに行きますね。

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佐々木春
佐々木春
熊倉ミハイさんへ
(2024-07-10)

自分ではあまり情緒のない人間だと思っています…基本的に物事を定量的に考えてしまいがちな… 「定規より、法律よりも、真っ直ぐに/孤独が私の背を引きちぎる/地獄と地獄から引っ張ってる」のところ、よいなと思いました。(法律はそんなに真っ直ぐではなき気もしましたが、それはそれとして) 詩を貯めるってすごいと思います。わたしもそうやってしっかり書いて慌てず寝かせて見直してみるっていうのが目標です。 リボルバー、ありがとうございます。遠慮ない率直なご意見、お願いします。

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投稿作品数: 2