別枠表示
せめて君の涙が
少女のようで母のようでもあった君の 名を呼んでくれる折のたおやかな声色 湧き出づる泉のようにこの胸に永遠(とわ)で ずっとずっと君は静かに歩んでたんだ あの華奢な肩と小さな小さな胸を運んで 砂金みたいな夢の欠片を振り撒きながら あの日、故郷には夢が降りしきっていた 君は凍てつく波止場で1人安らぎを抱かえ佇んでいる あの人魚みたいな腰つきで海原を誘惑するように 哀しいくらいに優美に僕の視線はかわされた 開かれた扉の向こう、遥か君は小さく 銀のシャワーだけが時を刻むなか 亜麻色の瞳は新しくも懐かしい空を見ていた 故郷を愛するがために君は、故郷を発って 舟の上君が風雪を穿ちながら 流砂のように涙を故郷へとたなびかせると 大地に辿り着いた水色の涙はひらひらと舞った せめて君の涙が欲しいと手を伸ばす 水色の蝶が掌をすり抜けるなか 悪戯みたいに君の声だけが木霊し続けていた
せめて君の涙が ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1431.2
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2024-06-30
コメント日時 2024-07-11
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
優しい抒情詩でいいなと思いました。
1黄金のようにロマンティックです。情景が映写されているような感覚になりました。
1ありがとうごさいます。 この詩は、前の職場で一緒だった女性を思い出しながら書いたものです。現実には少し話をした程度だったのですが、胸の内では彼女とのロマンスに酔ってました(笑) 辛いことがあった折など、何度慰められたか分かりません。ちょっと抜けているけれど、とても柔らかい優しさのある女(ひと)―それが彼女でしたので、"優しい抒情詩"とのお言葉、嬉しかったです。その一方で、見向きもされない哀しさもひしひしと感じていました。 そんな彼女への想いを結晶させたいとずっと思っていたのですが、彼女の故郷への愛の前に僕の愛は逸らされてしまうという、ある種、現実との相似形とでも言うべきものを描けたことで、哀しい現実も少しは救われたのかなと思います。
0ありがとうございます。そこまで褒めていただき恐縮です。 でもほんとう、"黄金のようにロマンティック"と表現していただけたこと、嬉しかったです。というのも僕自身、侘しさや空虚といったものと相性のよい哀しみという情を、ある種絢爛に表現できたことに、えもいえぬ悦びを感じていたからです。それは誇張でもなんでもなく、僕は他でもなく、どこまでも優美なものに全身が包まれるような、そんな哀しみをこそ感じていた次第です。 実はそんな哀しみを感じたのは彼女が初めてなのですが、それは彼女が僕の理想の女性そのものだったからかもしれないと、そんなことを思いました。
1ありがとうございます。コメントがないことの意味は、正直分かりかねたのですが(汗)、静けさというものが作品全体の重要なテーマであり、またラストシーンも、彼女の声が響くことでかえって静寂が強調されているとも読めると思うので、そんな作品世界にふさわしいコメントをしてくださったのかなと、勝手に思わせていただくことにします(笑) 彼女はほんとにほんとうにしとやかな女(ひと)で、彼女が歩いてくるだけで、僕はまるで世界が銀世界に変わったかのように錯覚したものでした。そんなわけでこの詩の故郷は、舞台装置というよりは、僕の体験した世界そのものという感覚で描きました。
1拝見しました。コメント読めばリアル失恋のを詠んだ詩のようですが、少し比喩表現がオーバーランしちゃってますね。~湧き出づる泉のように~砂金みたいな~あの人魚みたいな~銀のシャワーだけがetc.これだけ比喩を使ってしまうとリアルその気持ちは暈かされて薄くなってしまうと思いますよ。恋の詩。素直でもいい。それほど複雑な技術に溺れる必要はないと思います。
1なるほど、そう読まれましたか(!) 僕としては、どの比喩にも必然性を感じながら書いたつもりなので、そう評されるのは意外でした。 ただ正直譲れない気持ちもあり(汗)とくに"砂金みたいな"という比喩はこの作品の肝だと考えていたりします。静かに歩みながら、砂金みたいな夢のかけらを(しっとりと)振り撒いてゆく―このイメージのいわば発展(=完成)として、空から壮麗に夢としての雪が降る(舞い落ちる雪に彼女は夢を託している)というシーンがある…そんな流れに、いわば賭けたつもりでした。 自然に振り撒いてしまう(零れてしまう)ほどの、内から溢れ出るほどに強い夢なのだけど、しかしそこは彼女のこと、その溢れ出し方も高貴そのもの―というわけです。 そして、夢であれ涙であれ、ともにそんな彼女の胸の内の高貴な発露であることに変わりはないという意味で、"「砂」金"と"流「砂」"を照応させてみました。あと細かいことかもしれませんが、そんな内→外、という流れから、今度は雪(外)を見ることで遥かなる夢が胸(内)に流れ込んでくる、という対比も楽しんでほしいですね(笑) "湧き出づる泉のように"は、彼女の瑞々しさを込めたつもりです。しかしここには同時に、えもいえぬ哀しさもまた漂っているーそんな印象を与える効果もあります。というのもラストシーンまで読んだ読み手は、もしかしたら「僕」は強がっていたのかな?と思うことになるだろうからです。というか僕としては、思ってください!、って祈りたい気分なんです(笑)
0そうです。人間そう簡単に譲ってはいけない。後で後悔します。 そのまま書き続けてください。ですが、いつか気付くとわたしは確信を持って言える。それはたぶんわたしのほうが人生と詩に於いては経験も長いからであろう。と感じるからです。お好きな詩の評論読んでますか?これは大事。楽器と同じで一段一段と上達しながら、ある日突然二段。これに痺れますよ。笑。上から目線の意見をしました。申し訳ないです。成長されること期待しております。
1砂金にしても湧き出るいずみにしても、これを伝えたい!というあなたのおもうイメージを熱くそこまで長く語れるのだから。~ように、みたいにという直喩で終わらせずに、それを詩として書き増やすなり言い換えるなり整えれば、より思いは伝わるのではないでしょうか。そういった推敲し詩に取り込んでいけばより自分の詩の強みにつながると思います ついでに私は砂金というと一攫千金みたいなイメージになりましたけどね。金砂でいいんじゃねえのかなとおもいました
1暖かい励ましのお言葉、感謝いたします! いえいえ、正直に思うところを語ってくださり、単純に自分以外の視点を感じることができただけでもありがたかったです。 なるほど、楽器ですか…ただ詩は方向性も自分で見出していかなければいけないところに、独特の難しさがあるような気がいたします。同じところをグルグル回っている気がすることもあります。ですがとりあえず(いま37なのですが)50(歳)までは精進してみようと、ちょうど最近決めたところだったんです(笑) 作品だけでなく評論も、というのは、やはり作品を深く読み込むためには必要なのでしょうね。とりあえず、(理解できる作品は正直少ない自分ではあるのですが)みなさんのコメントを精読する癖をつけようかなと思いました。 励みになります♪
0実は砂金と金砂で迷ったのですが、なんとなくで砂金にした、という経緯があります(笑)考えてみれば、金の砂は砂に力点がある一方で、砂の金だと金が強調されたニュアンスがあるようです。1つ1つの言葉の持つイメージをよく考えてから書く癖を、徹底したいと思いました。 それにしても、自分では選び抜いた言葉を使ったつもりですが、メルモsアラガイsさんしかり、A・O・Iさんしかり、つまるところ安易だとの感想を抱かれたということを、重く受け止めたいと思います。 僕はリズムとイメージを大切にして書(描)きたいので、なるだけ短い表現でと思っていたのですが、それにしても膨らませ方が足りなかったのかもしれない…そんなことを思いました。あるいは短いなら短いで、より洗練された比喩を、ということですよね。 根が単純な人間で素朴な比喩がしっくりするということもあり、自分的には、そんな自分をありのままに出せた気がする詩ということで、この詩をやはりほんとうに気に入っているのですが(笑)、こういうスタンス(?)の作品ばかり書くのもな、やっぱりもっと言葉の冒険したいなー、とも感じていたので、背中を押していただけたようでうれしいです。 引き続き詩を書いていく中で、言葉とイメージやテンポ(音楽性)の兼ね合いというか、その塩梅みたいなものを追求していければと思います。
0みなさんのように技術的なコメントはできないのですが、はちみつさんの彼女へのとても強い思いが伝わってくる作品でした。こんな風に思えるってすごいと思います。ここからは個人的な感想ですが、はちみつさんの強い思いとは裏腹に彼女がどんな人なのかっていうのがほとんどわからないので、そこらへんも読みたいなと思いました。
1ありがとうございます、そう言ってくださり本当にうれしいです。というのもつまるところ、それこそが僕の1番伝えたかったことだからです(笑) おっしゃるとおり今回は、彼女の人となりについては、想像させると言えば聞こえはいいものの、つまるところ読み手に丸投げした格好ですよね。僕としては何よりも、幻想的で神秘的ですらあるような作品世界を―ひいては彼女を―強調したかったということがありましたが、そんな僕の中ではあるいは、具体的であることと幻想的であることは対立し合う2つである―そんな等式が存在していたのかもしれません。それは安易な思い込みだったのかもしれない。 とはいえ、2つのあいだに一筋縄ではいかない緊張があることは確かだと思います。A・O・Iさんへの返信で書かせてもらったことと似たような話になるのですが、作品を具体的かつ幻想的に構築するための諸々の塩梅というものについて、考え続けていければと思います。 しつこいようですが(笑)、とはいえこの作品はこの作品で、僕はやはりとても気に入っています。カチッとした1つの幻想に、彼女への想いというものをいわば託し切ることができた気がしているからです。その気持ちの部分を評価いただけたこと、光栄です。
0