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常温の飲むヨーグルト
常温の飲むヨーグルト 昨日とて 毎週同じ日に路上では3人組がひらひらフリルで踊っている 誰も足を止めない ただ視界にはしっかり入っていて 時を教えてくれる 哀れみを覚えるように その日の街の人たちと目が合い 顔を覚えた 交わらない人たち センターのブスがショートカットになり ヘアバンドをしている 彼女はヘッドギアを付け 火曜日のアバズレとなった 同じ場所、同じ時間で 殴られ屋をやっている 幾つかのグローブ オンス違いで料金が異なる 同じラジカセで 一人は音楽を流し 一人は集金をする そうしてその中央で ブスは男や女に殴られている ろくな防御も知らず 涙を流し ヘッドギアを脱いでお礼を言う 顔を知るものは彼女にチップを渡す そうしてブスはまた涙を流し こんなことを抜かしやがる 「昔からありがとうございます」 変わり者じゃない ヒネクレ者だ 怒ってるんじゃない 考え事をしているだけ 胃の調子が悪いだけ ただそれだけ キミは酔っ払っている俺が好きなんだろ 本当は黙っていたいんだ そんな俺の荒れた手に 黙ってクリームを塗ってくれた その手にグローブを嵌める やるせなさが存在している ブスの涙目が嫌だ 女を殴るのか否か 薄いグローブに大金を叩いた ブスの怯えてる目が嫌だ 怖くて怖くてたまらない顔 何もかもが嫌だ 俺は耳元で囁いた 「同じ金で抱かれるのとどっちがいい」 ブスは目を見開いた その顔はやっぱり嫌で 躊躇なく拳を顔に叩き込んだ 俺はもう悪者だった それでも気が晴れていた ブスはヘッドギアを外し、鼻血を流しながらお礼を言った 聞き入れることが出来た 俺も礼を言った 彼女の家へ行くことはもうなかった それが今の俺であり 数え年で歳を重ねる
常温の飲むヨーグルト ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 824.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-02-02
コメント日時 2018-02-12
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
はじめまして貴音です。 Breviewに参加して 好きな詩を書かれる方と出合う事が出来たのですが その中でも一番宮田様の詩が好きです。 上手い感想を述べる事が出来ないので ずっとコメントは控えてたのですが やっぱり伝えたいなと思ったので書かせて頂きました。 今後もご活躍を楽しみにしています。 失礼します。
0花緒さんのコメントにほぼ同意ですね・・・たとえば二連目を、 〈毎週路上で3人組がひらひら/誰も足を止めない/顔を覚えた/交わらない人たち〉 思い切ってこのくらいまでカットしてみても良いかもしれません。 ベッキーが「キックボクシング」を無理やりやらされて、痛めつけられるのを皆が見て笑っている、少し前に問題となったシーンを思い出しました。 芸能界に復帰する、芸能界で生き残る、ため・・・であったのかどうか、わかりませんが・・・自ら叩かれ役、殴られ役を買って出る。それを皆が取り巻いて、娯楽として(気晴らしとして)眺めている。殴る側は心理的な痛みを、殴られる側は身体的な痛みを覚え・・・同じ痛みでも、それは決して交わることがない。見ている観客はなおさら。 様々な事柄の寓意として、鮮烈に訴えて来るものがあると思いました。
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