放たれた熱が、有限な顔をして。
はだける言語におくされ、塞がれた遮断器に
吹き込まれるような とおとびが、溺れ、
これだ、手脚も雨音がつくりだし
鳴き砂のようで美しい。静態の橙へ戻す
浅し死体が顔をだす通学路や
茅花流しの けもの道 のちにちに
おろそかな目にみえて失った大河よ
うずたかくのしかかる霧雨だけだ。
すべては散策路の砂利道を看板通りに行く
眠れない泉のように、月ない予熱も
いしころ ひとつひとつ。
管理区域は枯れることのない奇術が苔生すから
くすんだ永遠と坂道にあり
恍惚に 明け暮れる 昏々と
憧れていることが あるのだから
さめざめとした黒い影に、
コンパスと生まれては、
花深い跨線橋へ向かって平地を巡業する
子供っぽい。海原の凪だけが知る
導かれたのかも知れない。
姿を隠すもの思慕のこと。
吹き抜ける理性と良識を見分けられない。
追い越していく。もう山頂は朧げで、
堪え難く持ちこたえられなくなる。
泣きたくなるほどだらしない天の川の
出入り口は 死ぬ前に、
たそがれを海岸線と 浮腫んだ夏に向かう、
あいつを遮らんとする皮肉を沈黙に――水に戻して
無駄な妄想を喰らい その向こう岸まで
ながれぼしを追って 「生きられるの。」
膨張した希求にある しゃがみこむ姿。
丹青の捨て鉢だ。
咀嚼する汐時に
微細な魚の鱗であろうとして。
籠の鳥、と口走る。
鈍いろの銀貨だったろ
誰そ彼と のぞんでいる。つかの間の先を言いがかり
わずかに噛み殺せず かすめていく 激痛なり、
耐え難い重荷に折り重なって 潜り続ける。
ベランダでうずくまる人魚の泡もまた
透き通ったしじまに夢想する。
残光を残す花弁を掴めるか
だれもかれも そうであろう として
その睫には、あおいゆきが。わたしを包みこむという
思わしくない として もどかしく
くすぶっている。晴れるとも降る ともしれない こころが、
くもゐ くものゐ
こうかいはくめい
粉々によりすがる
捨て石の情景模型に
「無邪気だ」と わたしは。
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 722.6
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-12
コメント日時 2024-05-14
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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可読性 | 0 | 0 |
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音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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2024/11/21 22時56分49秒現在
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くもゐ、くものゐ。古文の意、旧字体できましたか。読み取るもやさしくはないその望郷を、われ望むくもゐ、かしこあれ。東日本大震災から能登半島地震が過りますね。何故かわからない。読んでいくと、調子が西洋式に流れます。式は古風でも詠みは和歌調子ではないですね。最近シュスタコヴィッチのJAZZ組曲2番ワルツをよく聴いているのですが、ぴったりきましたね。詠んでいるとワルツがここちよく流れてきました。それはこの曲が持つ哀愁、悲哀感がこの詩に重なってきたからでしょうね。秀作です。
0こちらにもコメントありがとうございます。AOIです。これはできる形を再現することを思って書いたものなのですが、どうやら書けそうだったので、もう飽きちゃって(ひどい)この詩をもっと惹かせる(それはできてないかも知れないが)と同時にちょっとルビで遊んでみたかったのもあって、最終的にこういった感じになりました。秀作と言っていただきありがとうございます!うれしい!
0家の近くに河川敷があるのですが、そこを思い出しました。 そこではいつも清涼な空気が流れていて、行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらずという雰囲気があります。 短い詩を折り重ねて一つの作品にしている印象を受けました。 (もちろんそういう詩だということではなく、多層的に見えるということです) 連と連の間のタイトルのような文が、うまく連と連をつなげていると思います。 >あいつを遮らんとする皮肉を沈黙に――水に戻して ここがいいなと思いました。 エヴァンゲリオンで人がパシャッと水になるシーンがあるんですけど、それを思い起こす感じで、皮肉がパシャッと水になるような感じがしますね。 >籠の鳥、と口走る。 ここなのですが、籠の鳥だと籠の中の鳥という意味性が強く出すぎてしまうんじゃないかなと思いました。 作者さんがここで籠の中の鳥というイメージを出したかったなら、それでいいとも思います。 >あおいゆき ここ、個人的にけっこう好きです。 なぜかあおいうさぎが思い浮かびます。 最後が「。」で締められているのも、この作品において効果的に思いました。 くものゐは、雲の意ということではないかもしれませんが、風と共に、言葉が移り変わる雲のような作品だと思いました。
0確か蜘蛛の囲は季語から取った記憶がありますけど、書き進めていくうちにその季節的なものも、蜘蛛の糸的なものもどっか行っちゃいましたね。籠の鳥に関してはその名残です。タイトルを早めに決めていたので、どう読まれてもいいものとは思っていて、結局ずいぶん方向が変わったので、雰囲気的なものを感じていただければと思って投稿しました。連と連の間のルビ機能つかったとこは、結構前の書き方で普通の大きさの文字でよくしていたのですが、タイトルとも連とも気にもかからなかったようなので、まあふとルビ使ってみたかった、というあそび閃きみたいなもんです。かたち的にもうまく行ったようで良かったです。トビラさま丁寧な読みありがとうございました。
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