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酩酊
目を閉じれば爛々と気泡が 牧歌のようにはじけ飛ぶ 余りに軽いヘリウム、阿修羅もしかめっ面 ああ、明日の僕は如何するの きっとこの世で一番大きい質量の心臓が 腹をえぐって股を抜け、 ブラジルまで通り抜けちゃうよ そんなこと考えてもしょうがないか じゃあ、この夜は君の狂ったダンスを思い出そう 深夜の公園、一人の老人の前で スマホの歌で踊ったあの泡 楽しかったね、蝉が馬鹿みたいにヘッドスピンしてさ 烏がすごい汚い声で鳴いてた 僕は気泡がはじける度思い出す 何の歌だったかな、近所迷惑だったかな、とか 別に気にしてはいないけど考えてみる その度あの気泡が 新しく、褪せて生まれるみたいだよ 君のシャボン玉とクッキーみたいな匂い、 たまにシシャモみたいな匂い 夢は雄弁に語るよ、タンスにしまわれたタンゴ 心は浮袋、時々錨 僕をどこかへ連れてくよ 嫌だな、私の豊穣なる胃袋 君も思わない? 時々真っ白な蝋人形になりたいって 君は思わないかもね、思わないでほしいな ああ、なんでこんなこと歌う指なのかな 分かる? 時々、僕の指はひとりでに動くみたいなんだ 世界がぐるぐる回って、もうセロトニン大量洪水みたいなときにさ すごいスピードで世界中の歯に挟まった小松菜のテーマみたいなのを踊るんだ 僕はおかしいかな? それとも指のダンスは本当の僕? ああ、僕の疑問符をビックリマークに変える魔術師 トンボ玉みたいな、せっけんみたいな君 もう、君と同じ空気の薄さを罵倒できないんだね さっき泡に腐った酔芙蓉が映ったんだ だからわかるんだ いや、知っていたのかな 落ちる花びらの中で明瞭に感じるのは真実 君はだんだん違う匂いになっちゃうんだね それとも 君は人魚姫みたいに消えてゆく? ああ、やっぱり小松菜の匂い もうそれでもいいや 髪梳きなんていらないから僕を水死体にしてくれ
酩酊 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 312.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-04-29
コメント日時 2024-04-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
最後に出て来る水死体。どうしても太宰治を思い出していしまうのですが、指のダンスや鳥の汚い鳴き方など、タンスに仕舞われたタンゴと言うのもありました。君の匂いに対する言及。それらが混然と一体なってこの詩を構成していると思いました。リーダブルな詩だとも思いましった。
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