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嚥下嚥下
花溢れる春の中 道路を横断するモンシロチョウを ぶんぶん撥ね飛ばしながら 雨の土手の道 田んぼと川とを行き来する蛙たちを ぶちぶち踏み潰しながら 私は殺戮戦車さながらに通勤し、出掛けて、用事を済ませる こんな私の涙が、果たして涙たり得るだろうかって。 嬉々として小鼠を弄ぶ猫を見ながら 体いっぱい鼓動して恐怖に鳴く子鼠を見ながら 天井で木を齧る音にゲンナリしていた私は、罪悪感を感じながらも、傍観する こんな私の微笑みが、果たして微笑みたり得るだろうかって。 象が不意にした2キロのうんこで通りがかりの蝶が潰れたって 象が気にするもんか。 夜にはゴキブリを叩いて、 今度の日曜にはヘラクレスオオカブトをお金を払って見に行くんだ。 うちの子の手を引いてスーパーへ買い物へ行き よその子の死の報道BGMで夕飯を食べるんだ。 黒目のやさしさと白目の冷ややかさ 組み合わせで眼球ひとつ 大脳新皮質が愛を育んで、憎悪を膨らますように 慈悲も無慈悲もセットが人間、って、ことにして 飲み込んで、今日も笑って泣いている 微笑みには鼓動への愛情が けれど全ての鼓動への愛情ってわけにはいかない。 歩む足元を見ないように嚥下しながら 轍振り返ってたまに逆流性食道炎 行く先見やってたまに嘔吐 私は微笑んで、戦車しながら、猫の頭を撫でるよ。
嚥下嚥下 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 490.9
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-04-20
コメント日時 2024-04-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
暴力にもやわらかさみたいなのがあるんですね。結構やわらかい暴力に感じる。
1「慈悲も非慈悲もセットが人間」、ですね。 そうなんだけれども、何でしょう、この詩からは意図してあるいは意図せずに「よくない」ことを犯してしまう自分、理不尽さを許容する自分に対する後ろめたさ、恥ずかしさみたいなのを感じました。
1全ての生命が尊重されるべきですが、縁の近いものから救っていくしかない。 より苦痛の少ない方を。「選んでいる」。能天気ではいけない。苦しみの記憶が、 宇宙の秩序を乱さないように。自由意思を持つ人間は、その自由の使い方という、 倫理的な規範を厳しく問わねばならない。嚥下するべきものと、そうでないものは、 恐らく大人なら分かっている。そこからが、勝負なのですね。罪の深いものほど 苦しまねばならない、ということを思います。時には、極楽にいるような気分にもなる。 ひとつくらい、わがままを言ったっていいでしょう。
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