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働かせアリ
オレンジ色の絨毯に 黒くて細かい染み よく見ると 肉眼では見えないほどの ちっちゃなアリが きちんと行列を作りながら 蠢いている まるで私達のようだ Tさんが慌てて置いたプラスチックの 丸い容器の隙間から出たり入ったりしながら 必死に何かを運び出している 「容器の中の薬を持ち帰って共有すれば 巣穴にいるアリは全滅するよ」 そう言いながらTさんは 以前甘い蜜の入った容器に 黒い蟻がびっしりたかっていたこと 薬の容器を置いてからは綺麗さっぱり そのアリ達もいなくなったことを話した ああ、何も知らず 自分や仲間達が死ぬ恐ろしい薬を 巣に持ち帰る従順な働きアリ 女王アリに命じられるまま 毎日朝から晩まで休みなく働き続ける彼女らを 自らの境遇と重ねながら 感動の面持ちで見つめているうちに Tさんの手がニュッと伸びて あっという間にアリ達は 指先や手のひらで潰されて 動かぬ黒い点々となった
働かせアリ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 673.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-04-08
コメント日時 2024-05-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
情景が判り易く、 物悲しいシュール(超常的な?)場面 を明察に切り取っていると思う。 扱っているテーマ (コレは個人的なものになるが…) どうしようもない事に対して 眼に行っている事が シンパシーを感じる。
1ローゼ・ノイマン様、読んで頂きありがとうございます。 実際にあったこれらのこと、現実私たちにも起こりうる働く者の悲哀と重ね合わせてみました。 確かにシュールで物悲しく、どうしようもないことなんですよねぇ。 共感してくださり、ありがとうございます。
0働かせるアリが、女王アリなのですね。ずるがしこい人間に、騙されて全滅。良いアリだけが、生き残ればいいとは思うのですが。
1黒髪さん、私もそう思います。 しかし、実際観察してみると現実は厳しい。 アリも人間も働く者は皆厳しいですね。
1体制社会を風刺したブラックユーモア的な詩でしょうが、朗読の声質が合ってると思いました。もっと子供じみていてもいいですね。やはり朗読されるのはちょっと怖い。その表現者によって受け取りもずいぶん変わると思いましたよ。
1メルモsアラガイsさん、ありがとうございます。 もうホントに日常にあったことを自分の立場と重ねて描いただけなんですよ。 セリフの人物は実在するので、露見するとあまり良い顔はしないかな。 でも事実です。 朗読、難しいですよね。 もっと寓話的に読めば怖さは薄まるかも。
0蟻は効果的なモチーフを醸し出しますね。
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