ぶち切れて掃除するぞという冬の朝
煙草やめつづける彼岸花咲きつづける
髪の毛が白髪に変わる冬である
水を飲んで熱との中立を保つ体
とんと世に疎く晴れ切った空
母のお腹を痛めないで生まれてきました
首が痛く横に倒せばバチッと鳴った
朝寝して一人のたりののたり
宇宙へと胡坐をかいて坐っていた
どんな空もあってやさしいひとりぼっち
*
ものを捨てきる、こころは捨てない
コーヒー買いにそっと水たまり残る上を
前から走ってくる顔が真剣でした
玉子かけご飯に聖性
自戒
濁ったわたしから水のようなわたしへ来年は
おじさんたちが夜勤してきれいになる道
雨ン中不燃ゴミ出しにゆく
段々もろくなってゆく自分励ます
あっさり寒くなりお地蔵さんの水代えた
みんな働きに出てゆく往来に立つ
*
痛み自体となって冬の陽のした歩いた
病院番号待ち五十番、今三十番
体に悪いと知りつつ煙草喫っているわたしもな
書く事が好きで〇とする冬の夕べ
花はなし霙もなくて風が吹く
病院の画像データ真っ黒な喉
窓に映った自分の顔をしっかり眺めて
今日はどんな一日一日は旅
眠り足らないか蒲団恋しくある
初氷億年胸にながれる水の
*
年賀状書くに字がにょろにょろ
面白い季語だとおもう姫はじめ
わたしの自由律俳句妻に笑われている
あの山がはっきりみえて立ちつくす
結局一人取りに行ったクリスマスケーキ
幼少のころ思いだすクリスマス
何もない事面白いぞクリスマス
昼寝より目覚めて食べる冷凍パスタ
夢の残滓の悪い心象
カーテン開けて硝子に映った自分見ている
*
とりあえず諦めてゆく青い空
ぼうとしてこれも幸福とする
底冷えの部屋立ってスマフォと睨めっこ
妻がめちゃくちゃ肩叩いてくる
夢も夢も雑炊とする冬の今朝
風の中を歩いたこころ透きとおった
深夜一時に起きて一人
炬燵にて姿勢を正し考えてゆく
ウォーキング後の煙草へんな味がする
依存症治らない煙草買いに出る
*
雲一つない年の瀬寒椿
年末原稿納めて仕事納め
元日
いい事もわるい事もこの一年のはじまり
午前六時外のくらがりを覗いておる
わたしに歯があるしあわせを噛みしめる
新年にして憂鬱な空珍しくも
どうしようもなさを書きつける
書き尽くした、よい加減のかたさの枕
帰りきて洗顔、この髭をそりゃなきゃいかんなと
冷気が怖ろしくある書斎におる
*
正月旅行
本日の熱海の夜をおもっている
新年の海変わらずのたりのたりだろうか
オーシャンビュー太陽光わっと入って
良い湯のなんべんでも浴びる
冬薔薇ふわっと隣の庭にととまる
蜜柑五つころがっている木目
愚夫としてトイレの電気点けっぱなし
松過ぎの雲一つなし茶色い山
ぬるいうつつを一人で歩む
夢へ出る舟として木製のベッドへ
*
ぼろぼろの人としてわたくし
よい朝にめぐまれる一人として立つ
病人にして気のふれていた去年の夏
炊かれた米はないコンビニへ行く
ふっとしぐれるやっとしぐれた
どこを歩いているんでしょう朝焼け
草萌える川辺を手入れしている人がいた
お寺の敷地おじいさんが掃きつくす
どこへ向かっているのか夕暮れ
やっと起きたやっと起きられた寒い朝
*
肉まんをふたりで分ける
それらしい事書いて本日の日記とする
なにとなく家の明かりに安心
妻が活躍してくれて守られているわが身
光りに照らされて闇の橙の木
よく深呼吸するなり自分のできる事を
暗くなる事自分を励ましつづける
いい事がありますようにじっと耐える
本読むかどんな本でも宜しい
山頭火全句集めくってもめくっても山頭火
*
能登をおもい雪が気にかかる
米食べるあたらしい朝
雲はみな安らかながれ南無阿弥陀仏
コンビニ灰皿前ひとり火を見つめる
米を食べよう玉子を落とそう醤油を垂らそう
悪夢だった去年をおもい枯野に立つ
情けない兄でごめんね妹よ
雨に濡れつつ原付バイクは黙る
冬の朝の道コーヒー下げて帰ること
実家から原付で米貰ってきた
*
歩けどもこころに痛み
投げ出したペンをとりペンを見つめる
冬薔薇ひらききって注ぐひかり
だんだんと軽くしてゆくこの人生
朝から文字書いて〇である
この一日も旅として歩いてゆくわたくし
あさやけに山の影
どうしようもないわたし米を見つめている
今日も黙って掃除する
さみしくも林を通る
*
わたしの月夜
なにとなく色々あって皿うどん
ともかくも草に一粒しずくかな
いもうとの事おもえば辛い春立ったよ
やっと澄み切った坊主頭だ
煙草喫ってしまってノートに書きつけて
今写します妻の笑顔が残ります
もくもくの雲ごうごうと風
うたごころない鳥もあり雀の子
澄んで向こうに青い山
*
あの山の方へ今日は歩く
休んで梢の雀みておる
今日も歩こう雀の子落ちあっている道である
鳩が竹にぶつかって飛ぶ
なにかとらわれている変な日である
白雲ぷかぷか煙草ぷかぷか
やさしいタクシーの走りに眠たくなってしまう
雨あがりの道とおくに雲ながれておる
こころ磨きたい梅の花散るでもなく
一人さびしくなれば紅茶を飲みつつ漢詩を読む
*
山に風、業深くなる
キャベツ切る音がする今日も暮れきるよ
濁った水を橋にて渡る
雨打つつづく心を穿つ
春の雨のひとつぶや遠野物語
祈りのように煙が一本立っていた
菜の花をパリパリ食べてこの晩過ごす
立ち小便してくさはらのくさひかる
タオに背かず雨ふれよ清めよ
自戒
リセットとここに決意の句を書き置く
*
本当はこころが怖い花散らす風
過去追うな未来願うな水仙の花
爽やかな風吹く道をゆったり行こう
変わらない風景はさびしい
救われない過去という荷物未来という荷物
橙の木の橙ついばみ小鳥去る
お寺で祈っているとき無であった
夜の外へ、風吹く音も年老いた
過去を呪ったときもあったが春の今だ
どんな気もして変わってゆく空
悪人のわたしが励むくらしかな
日記よみかえすときにふるえる菜の花畑眺めつつ
もくもくの雲そこらぶらぶら
もくもくの春の空見上げて歩む
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 622.0
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-03-08
コメント日時 2024-03-13
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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2024/11/23 18時45分20秒現在
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ごめんなさい。以前も書き間違えたけれど、今回もいろいろ書き間違えてます。 敢えて、指摘しないけれど。
0奥様との思い出や自身の生活を季節の流れに乗せて表現することで、まるで映像を見ているかのように感じました。自由律俳句興味が湧いてきました★
1煙草と縁を断ち切らないお人だな。ん十年(35年は越えてるよ)吸い続けてきたわたしも何年か前にようやく断ち切れた。それは不味い薄い後味のない加熱にしましたよ。そのほうが絶対にいい。第一廻りにも迷惑をかけない。一度んヶ月間止めてあの臭いを嗅いでみればいい。肺が壊れるのがわかります。ということで感想は乾燥してしまいました。申し訳ないです。
1おはようございます。 気にかかる句、ほっとけない句など、多々ありますが、文章が長くなるのは、僕も読む人も、誰も得しないので、5つだけ、感想を残していきたいと思います。 前から走ってくる顔が真剣でした 当人と前から走ってくる人としては、かなりシリアスな場面なのかもしれないな、と思うのですが、俯瞰して書いてしまうと、どこかコミカルに感じてしまう角度があります。 切羽詰まった場面かもしれないのですが、個人的にそう読み取りました。 視点が近ければ、また違う書き方になったのかもしれません。 わたしの自由律俳句妻に笑われている そういうものなのかもしれませんが、わかっていても、哀しみ、哀愁を感じずにはいられませんでした。 ふと、昔、付き合っていた彼女がビジュアル系バンドが好きで、僕は54ー71やボアダムス、メルトバナナが好きだったな、という事を思い出しました。 どこを歩いているんでしょう朝焼け 「どこへ向かっているのか夕暮れ」という句もあるのですが、どちらかといえば、この句の方が共感できるような気がしました。 朝焼け、を見る時間帯の方が指標は定まっていない、いい意味でも、悪い意味でも、まっさらな面持ちのような気がします。 夕暮れ、の時間帯は、生活の雑味が混じり、「どこへ」という漠然性を感じる事なく、我々は定食を喰っているのではないだろうか。 そう思うと、朝焼けの句の方にふらっと身を委ねてしまうのだろうか、と、 そう思いました。 雨に濡れつつ原付バイクは黙る 原付バイクはしゃべりません。 しかし、こいつ黙っているな。と、雨の降る中、思う。 僕みたいな者がこういう事を書くのはおこがましいと思うのですが、こういった部分に、自由律俳句の醍醐味があるのではないかと思います。 こういった部分に魅了されているのではないかと。 この、寂しい憐憫を、「やさしさ」だと思うと、僕はなぜだか、人生をぶん殴りたくなるような気持ちになりました。 なにかとらわれている変な日である 言いようのない不安にとりつかれるなんて、しょっちゅうです。 共感します。 誰もが書けるようで、誰もが書ける句だと思います。 この言葉に悪意を込めたつもりは毛頭ございません。 人間であるならば、誰もが引きずっている言葉は、蓋をしているくらいでは、こぼれ落ちてしまうのは、自然じゃないかと思いました。 なんだかんだで、長々と書いてしまいました。すいません。 ありえない誤読、多分な失礼がございましたら、申し訳ございません。 作品、ありがとうございました。
1破調には破調にふさわしい人生と暮らしがあるとおもっている。酔いどれた山頭火然り、病に伏す放哉然り。半端な健康人として田中教平氏にはもっと堕落と破滅を味わい、その文学を豊かにしてもらいたい。
2こんばんは。 感想、評、ありがとうございます。 自由律俳句に、興味が湧いてきたとの事、孤立無援、今流行している「大喜利自由律俳句」 ではなくて、まあ、それはそれで面白いのですが、生活を基盤としつつ、浪漫もある 種田山頭火さんという俳人がいるのですが、彼につらなる自由律俳句を この2024年にしているという。 ですが、自分で良い趣味だと思ってます。 スマフォのメモで事足りますし。自分の暮らしとか気持ちをただ書けばいいので。 興味があればいろいろ調べてもいいと思いますが副次的なものだと思っています。 自分の事について端的に書く、というのは生活に於いても贅沢な時間と言えるのでは ないでしょうか☆彡
1アラガイsさん、コメントありがとうございます。 そーですね、実は加熱式煙草のグローハイパーを買ってきたのですよ。 肺のダメージっていうのかな、そういうのは全然感じませんね。 一酸化炭素の数値を試しに測定してもらったんですけれど、3、で ほぼ、非喫煙者と同じレベルでした。 でも、加熱式になっても煙草はどこまでも付きまとってきて やらしい感じですね。 それでも加熱式にした事は結構でかい事件だったような今気がしています。 重ねてありがとうございます。
0わー!気持ちのこもったコメントありがとうございます。 僕は沢山、句を書いていますが、挙げて下さった句は全部僕のお気に入りの句ですね。 僕は原付バイクに乗るのですが、家に屋根のあるバイク置き場がないのです。 原付バイクは雨に濡れても、どこまでも律儀に黙っています。 でも、それはバイクに仮託した、ある人間性の一個の表現だったんだな、 と評を読ませていただき思いました。 何かそれを思うだけで、めちゃくちゃ胸が引き裂かれるような思いにもなりました。 感謝☆彡
1中田さん、こんばんは! コメントありがとうございます。 ちょっと僕は山頭火、放哉に対するコンプレックスみたいなものがありまして その、堕落するにしても、それは「機にふれる」じゃないですけれど きっと、そうならざるを得なくて堕落してしまったんであって そもそも二人が、そういう生き方を選択しようとした、というよりかは それあらなくちゃならなかった、から、堕落したんだと思うのですね。 僕は、結構、清算主義者ですし、過去に捉われないという点で あんまり「機にふれる」事のないタイプだと思うのですね。 ですから、山頭火、放哉にコンプレックスがあって。 中田さんは山頭火全句集を読んだ事がある方なので 僕の句が、山頭火の仕事の、なんだろう、手癖を真似てやってるって 全部わかっちゃうな、と思うのですね。 ただ、しんじつ、あるがままの、中途半端な僕、私を詠おうということですね。 しかし、堕落については考えてみますね。ありがとうございます☆彡
0返信ありがとうございます★ "自分の事について端的に書く、というのは生活に於いても贅沢な時間と言えるのではないでしょうか☆彡" そうですね〜(. ❛ ᴗ ❛.) 自分の気持ちを好きなように表現出来る時間は、心の健康にもなるし、ありがたいものですよね( ◜‿◝ )♡ 俳人に種田山頭火という方がいらっしゃるんですね!調べてみたいと思います(・∀・)
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