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断絶の向こうへと
絵画のような作品だ。それも抒情的で、神秘的でさえあるような。 「海底と星が、やさしく喋って」「宇宙は暗い、袋みたいだ」との描写は、優しく包むようでありながらも、どこまでも高貴で厳かな、そんな母なる世界が活写されている。 「深夜に生きる、泣く蛇がいて」とは、まるでシャガール絵画のようで、作品に切なくも愛らしいアクセントを添えている。 しかしそれに続く、「鏡の中にも、ない切なさの」「夢幻の罪が、転がる、転がる」は、ほかでもなく詩という形式においてしかなしえない表現にほかならない。 それにしても、「鏡の中にもない切なさ」とは、どれくらい切ないのか。「夢幻の罪」が「転がる」とき、"僕"の胸中に去来する罪業はいかなるものなのか。 淡々とした筆致で底なしの詩情が仄めかされるところにこそ、「蛇雲の舞」という表現に象徴されるこの作品の凄みがある。 "みんな"と同じ世界にいながら、"僕"はたった1人で違う情景を見て佇んでいる。それでも大好きな人を想うとき、断絶の向こうへと糸を、か細くも力強い魂の糸を、その胸へと繋ぎたいと願う…。 孤独と愛の狭間で震える、"僕"のその熱い心拍に、しばしこの身を浸したくなった。
断絶の向こうへと ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 561.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2024-01-26
コメント日時 2024-01-26
批評で投票するにチェックを入れたら、5も投票したことになってしまった!(笑)花澤さん、驚かせてしまったら申し訳ないです(汗)まさかそんな仕組みだとは知らなかったもので…そもそもコメントにて投票していたからには、批評で投票にチェックすること自体がおかしかったのだと、そう反省している次第です。
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