若者らの風 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

若者らの風    

「今度、誰遊びに誘う?」 A君が、切り出した。 「誰でもいいけど、強いて言うなら、」 B君、腕を組み、 「空かなぁ」 「空⁉︎」 驚くCちゃん。 「あいつは優しいんだよ。今朝なんかも、雲でケーキなんか作ってくれて。美味くて天に抱きついちゃった。どういたしましての、風も吹いてくれたんだ」 二人は、不満げ。 「あいつ、すぐ夕焼け色に怒るから嫌だ」 「私も。暗い時に、ぽっかりした月で見つめてくるのが怖い」 「なんだよ、駄目かよ」 A君が遮る。 「それよりも、雲で思い出した。クモだ。あいつはどうかな」 「毒グモ?」 B君の少し震える声。 「分からない。あいつの気分次第では、たまに連れてくる時あるけど」 「私、毒大好き!」 はしゃぐCちゃんに、B君は顔をしかめる。 「おいおい、じゃあ、毒空でもいいじゃねえか。雨に打たれた所がジワジワ、腐るところを見て遊べる」 Cちゃんは首を振った。 「生活に、いつの間にか罠が張られて、捕まるスリルを味わいたいの。その時は、世界全体が網目模様に割れる幻覚を頼んだりして、ね」 「ありきたりだ」 B君はため息をついた。 「じゃあ、海はどうかな」 A君が提案する。が、 「いや、あいつは駄目だ‼︎」 強く反対するB。強く、反対する。 「あいつは、Dを殺した! ただの白波だって嘘をついて、深海を打って、それで、依存症になって死んだんだ、Dは!」 Cちゃんがすぐに宥める。 「でも、また海に会えば、潮の流れからDの死体を吐き出すと思う。波打ち際で、また会えばいいじゃない」 「そんなことできるか! ああ! イライラしてきた! 海をぶん殴ってやる!」 A君も怒りを鎮めに入った。 「待て、待て、B。Dはそれこそ、空の家にもいるんじゃないか。空と連絡取って、今度個人的に会って来たらどうだ」 「それも、そうだな……」 ふと、痰が絡んできたので、落ち着いて咳をしたBの口から、何かが飛び出した。それは、一本の永久歯だった。黒い生クリームをしょっている、一本の永久歯だった。意識を失い、Bは倒れた。 「ああ……こいつも大変だな」 「ええ、そうみたい」 A君は、Bの身体を土に踏みにじませた。Cちゃんは、天から垂れてきた毒を絵の具のようにパレットに取って、彼を七色に彩った。 そんな少年の地上絵を、針金の羽根でガタガタ飛んでる、一匹の鳥が嘲笑し去った。


若者らの風 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 518.0
お気に入り数: 1
投票数   : 2
ポイント数 : 0

作成日時 2024-01-20
コメント日時 2024-01-20
#現代詩
項目全期間(2025/04/23現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:518.0
2025/04/23 09時02分04秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

若者らの風 コメントセクション

コメント数(4)
鷹枕可
作品へ
(2024-01-20)

児童劇の会話の様に明快でありながらも、深い隠喩の陥穽が張り巡らされており。 然し乍ら、嘲笑さえも「嘲笑」と明記することに拠って封じてしまう様な、幾重もの認識の上に成立なされた、傑作であると感じ入りました次第でございます。 何処と無く、恐れすらも懐きつつ。 復、誤読ではない事を切に願いつつ。

2
熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
鷹枕可さんへ
(2024-01-20)

コメント、ありがとうございます。 笑いから恐れへの感情の操作はねらっていたため、「嘲笑」の効果について反応を得られ、嬉しく思います。 勿体ないお言葉、ありがとうございます。これからも研鑽していきたいと思います。

1
黒髪
作品へ
(2024-01-20)

家族的な雰囲気が楽しいです。

1
熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
黒髪さんへ
(2024-01-20)

コメント、ありがとうございます。 自分にはない観点でした。 Aが長男、Cが長女、Bが末っ子でしょうか。それともA、Cは父と母……? 読む人によって、イメージが変わってきそうですね。ありがとうございます。

1

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 1