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シンク
丁度いい袋を探していたら町の果てまで来ていた 闇が濃すぎるのではなく、ぶ厚い堤防だった どこにも見えないのに心無い蛙の声が鳴り止まない あぜ道に隣合う新興宗教の施設か、老人ホームか、二本の白い円柱の狭間に 足を踏み入れたくなる 後ずさり 後ろ歩き 勝手に引っ張られているのだ 決して忘れない (11階なんかに住むからこうなる) よく考えるとここは恐ろしく狭い 壁の色に合わせてカーテンを白くしたのは失敗だった 電光性の視界を拡張し 背中に空いた二つの穴を見つめた 銀器の落下音を待っている 血管が縦に裂けてしまったが 「それも仕方ない」では済まされない 頭が出血の重さで垂れてくる 2枚の写真が壁の高いところに貼られている よく考えるとこの部屋は恐ろしく狭いうえに異様なほど天井が高い 曲がった首骨を釣り上げ 青く麻痺した指で箸を洗う ゆっくりとお湯に変わっていき 泡は垂直に流れていく 三角コーナーのネットが切れている そういえば、今日は国道の音が聞こえない あしたは都心まで出てみたらどうか 掛け布団のカバーを汚れやすい象牙色にしなければならない 「真横で蠢く重機をボートから眺めている2人」 「水面を破断する鉄板のクローズアップ」 よく考えると、ここは恐ろしく狭い上に異様なほど天井高く、白く立ち込める湯気の先に強烈な眠気があるならと思った ここまで飛んできた羽虫を 指の腹で押し返した
シンク ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 837.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-01-14
コメント日時 2018-01-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
よく考えると~三度繰り返されていますが、これ、要るかな? 隔絶の置かれたような状況から妄想に陥る。上下左右と目まぐるしい描写ですね。多重と交わる内声的な響き。 結局、内面の葛藤からこのような妄想に置かれた状況が様々に変化してみせるのだろうと思います。よく考えてみると、何故このような状況に陥ったのだろうと。そして場面はあたまの中で様々な状況を呼び起こす。瞬間に切り取られていく。思考の空間が時間を跳び越えていく。好きな部類の詩ですが、先に述べたようにいま少し文章を切り詰めてみては如何かな。というような感想を持ちました。
0コメントありがとうございます。 たしかに、よく考えると三回もいらないですね。書いたときは面白くなるかな〜と思ってんですが、よく考えるとそうでもないです。 必要な文章が足りてなくて、不必要な文章を入れてしまった感。 「そういうことじゃない」かもしれないですが、2回に絞ってもうちょい気を配れば面白かったかもですね。 あるいは反復させるにしても、ズレを明確にするとか。 次はもっと練ってみます。
0冒頭、「闇が濃すぎるのではなく、ぶ厚い堤防だった」この体感に惹かれました。カエルの声が幻聴のような耳鳴とも、心に響く心理的な圧とも取れ・・・なおかつ、還る、帰る、の声がざわざわと連呼している、その「闇」に押しつぶされそうになっているような感じがありました。 神殿の柱のような、白い円柱。そこに足を踏み入れれば、退屈だけれど安定していて、しかも規律で縛られているような、そんな生活が待っている、そこに飛び込んでいきたいような衝動に駆られつつ、自由を手放したくなくて、後ずさりしながら抵抗している、そんなイメージで読み始めて・・・ 急に11階が出て来る。ここから先は、室内の景でしょうか。 「背中に空いた二つの穴を見つめた」自分自身の背を、自分から遊離した意識が見つめているのか。 二つの穴は、他者の監視によって穿たれた穴か・・・ 「よく考えると~」と繰り返しながら伸びていくフレーズは、マザーグースの「これはハンスの建てた家」のような、 同じフレーズをリフレインしながら言葉が足されていく、どこまで続くのか怖くなるような唄の感じに似ていると思いました。 「白く立ち込める湯気の先に強烈な眠気がある」シンク、流し台。湯で食器(箸)を洗いながら、語り手が感じている切迫感や抑圧感が伝わって来る言葉の並びでありながら、意味や論理から離れているところが新鮮でした。 >「真横で蠢く重機をボートから眺めている2人」 「水面を破断する鉄板のクローズアップ」 ここは、シンクで食器を洗う情景を、比喩的に表現している、のか・・・気になる表現ですが、唐突な感もあります。 部屋、に封じ込められているような、語り手が感じている圧迫感や抑圧感が伝わってくるのですが、読者の側としては、シンクで何かを洗い流す、というイメージと部屋の内部のイメージとに、興味が分散してしまう。どちらに重点を置きたかったのか、そのあたりが気になりました。
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