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町医者
あなたの背中にある傷を 夜の闇の中 星灯りを頼りに縫い合わせる こんばんは、知らない人 あなたが犯してきた罪を 救うことが出来るのは 私の他にもいると思いますよ 皮肉ですね あなたを生かし続けることが 神に倣うこと 千の言葉で咲かせた花の これは嘘です 傷口からあふれ出た夢に 鮮やかな朱 あなただって死んでいたかもしれないのだ 私に看取られて 人に永久の愛を詠うように 恍惚と月が光る 世界がどんなに醜かろうとも おとぎ話は続く この痛みはこの夜のもの 明くる朝には何もかもを忘れた あなたが笑っている どうか生きてください
町医者 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 461.7
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-01-14
コメント日時 2024-01-15
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
しがない一人の町医者の、さみしい夜の日常風景が浮かんでくる詩。 「この痛みはこの夜のもの」 この行にグッと来ました。 痛みや傷を抱えて医者の元に来る患者と、その傷に悲観的になる医者の内の痛みが、元はその夜から溶け出していて、彼らを覆っているようなイメージがひしひしと 心に来ます… また、詩全体が医学的なのではなく宗教的な雰囲気を持っているのも、小さな町の診療所だからなのかな、と思いつつ、身体や心だけでなく魂の救済所にまで昇華しているこの場所の記憶にまで、思いを馳せられるような奥ゆかさがあると思います。 良い詩を、ありがとうございます。
0雰囲気があると思いました。お伽噺と言うか、童謡と言うか、宗教的な願いが有るのかもしれません。昔自転車で転んだことが有りました。その時の自分の背中の傷を思います。この詩はそれを昇華しているようなそんな感じを受けました。
0皆様、素晴らしい批評を記述なされていらっしゃられますので、稍やさぐれた、部分的形態素解析を。 >私の他にもいると思いますよ 或る世代より下の方々の共通意識として顕著であるな、と思いつつ。 道具的存在としての自己の自覚を吐露していらっしゃると、考えました次第でございます。 高度に分業化された現‐近代社会に於いては、個人は代替可能な機械要素でしかないのだ、というニヒリズムを踏襲しつつ。 如何に其処から個我を先鋭化せしめて行くのか、という思想すらも、最早資本功利主義の負の側面に呑まれ。力を喪いつつあるのが今、なのかも知れません。 然し、平均的人間の大量生産に終始して居て佳いのか、等と疑問符も泛びつつ。 等等。 独りごとめいた、譫言に逸れて終いまして。允に失礼を致しました。 どうでも良い事を思い悩むのが、好きなのでございますよ。
1創作をしていると、自分が実際になれる筈のない性格の想像上の職種がたくさん出てくるのですが、 その中でも医者はちょっと珍しい部類に入ります。一番身近なんでしょうけど、もっとも手が届かないというか。 治すということがどんな仕事なのかって、哲学ですよね。この人に、実入りが全くないであろう所はロマンです。 有難うございます。
1背中の傷というのは、恐らく誰かに悪意をもってされた経験の比喩で、その怪我を治すのがまた同じ人である所に不思議さを感じるのではないかと思いました。自転車で転んで背中に、というのは、どうなるのかなぁ。それにもまた、意味や理由がありそうです。 有難うございます。
0自分の他に代わりはいくらでもいる、ということが、かえって邂逅した事実に思い入れを強くさせるのではないかと。 誰にでもできたとしても、この傷を縫ったのは自分だ、と。 死に際して泣くような純粋な心はもう持ち合わせていないであろう人が、なぜ人を助けるのかは、読者の方の数だけ答えがあるように思います。 作者は、町医者自身が今とても幸せで、生きていきたいと願っているからだと感じます。 有難うございます。
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