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平和イデオロギー
ある日、僕が目覚めると、頭半分の脳が溶けていた。 ぼくは、なんちゃない。戦争で人が死ぬよりいいっぺやと思った。 次の日、銭湯に行った時、鏡の前で今度は、右半分の顔が消えていた。僕は、やばいと慌てふためいたが、一緒に銭湯に入ったおじいちゃんは、戦争で人が死ぬよりよっぽどマシだべ〜と言った。 夜、夢の中でお姫様の格好をして急坂をカボチャの馬車で転がり落ちる夢を見たが、そこでも小人たちが、戦争で人が死ぬよりよっぽどいいブー、と歌い踊った。 次の日、運動会の日に走ろうとすると、消えた右半分の顔が元に戻っていた。僕はやった〜と思ったが、左目の位置がヘソの右下の位置に変わっていた。騎馬戦で、僕の裸を見た人は驚いていたが、それでも戦争で人が死ぬよりよっぽどいいビ〜と笑った。 大人になり、ガッコの教師になった私は、ネクタイをして、ガッコに行く。子供のまま大人になった私は、ブーブー病が治らず、どこでもブーブー。生徒の前でもブーブー。 それでも小生のケツは、戦争で人が死ぬよりよっぽどいいボー、と私に訴えかけた。 同僚と結婚して子供も出来たが、その子供の額には、第三の目が出来ていて、ギョッとした。 僕は不気味に思ってその子を育てたが、或日、その子がハイハイをしながら、こう言った。 「戦争で人が死ぬよりよっぽどいいバァ〜」 おしまい。
平和イデオロギー ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 673.1
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-01-01
コメント日時 2024-01-11
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
- 平和とはなにか? 実はここにメッセージはひとつもない。 (万太郎)
怖い。
1戦争で人が死ぬよりよっぽどいいと言う発想、イデオロギー。比較対象がユーモラスだと思いました。頭の脳が溶けていたとか、ちょっとシュールなのですが、右半分の顔が消えて居たり、左目の位置がヘソの右下の位置に変わって居たり。何か説話と言うのか、教訓話が隠れているのかもしれません。
1引き込まれる詩でした。この詩の何が好きか、ワクワクしながら読み返すと、この「僕」だけは、戦争で人が死ぬよりマシと「思った」唯一の存在に気づきました。他の人は、言葉に出して意思表示しています。 また、序盤の連で、自分の身体の異変に慌てる「僕」ですが、徐々に騎馬戦の連のように他人にどう見られるかを意識していく……。自分の姿に慣れていったのかなと思うと、最終連で息子を見てギョッとする。 身体的特徴だけでなく、タイトルにもある「イデオロギー」までもが、遺伝していく。それは悪く言えば「平和」ボケのようなもので、そのスパイラルに疑問を持っている「僕」だけが、その思想を口にしない。 「おしまい。」は、諦観の意か。とてものんきに、突然死するように終わるのがやるせない。こんなに詩の「僕」に感情移入するとは思いませんでした。 良い詩をありがとうございます。
1>田中宏輔様 怖い。私もそう思います。僕は世界が怖い。ありとあらゆるものが怖い。 それでいて多くの人は私が怖い。 私の作品はそれを表すものです。
0>エイクピア様 映像的なものが浮かんだと言えばそれまでですが、バービーブーベーボーで揃える幼稚な発想を面白いと思ったんですよね。本当はそれでいいんですけど、メッセージとしては、僕が考えている平和とみんなが考えている平和の結果が違うのかな? と違和感を表したものです。 ありがとうございました。
0>熊倉ミハイ様 私は、死ぬことより歪むことを恐れて人は反撃し、闘うのではないかと思うのです。 それでいて生きている限り、その歪みは正される希望がある。それで勝ち目が見えない闘いはしない。 それが敗戦なのかも知れませんね。
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