ねえ、クリスティー
十五歳の夏の終わりに
新潟のあの海で君が流した
そのナミダを
小さな貝が食べました
ねえ、クリスティー
そのナミダは
消化されずに真珠となって残ります
海に眠る真珠をみつけだして
ネックレスをつくりましょう
あの夏の夜
八月六日の一九時に
僕たちはひとつ
大人の階段をのぼりました
ねえ、クリスティー
白いスーツを着て
君の隣に座っている
あの男はあなたの何を
知っているのでしょう
十五歳の君が好きだった
ロックバンドのへんてこな名前
君によくなついていた
朝岡さんちの犬の種類
新潟の海で交わした約束
全部知っているのでしょうか
ねえ、クリスティー
僕は白スーツの知らない君を知っているけど
白スーツは僕の知らない君を知っているわけで
じつはね、結婚式の招待状
コピーを一部とってあるんだ
そっちの方には欠席に丸印がついてる
本当は君の結婚式なんて行きたくなかったんだ
でも、大人になった君を見てみたくてさ
成人式にも来なかっただろう?
これは純粋なお祝いの言葉なんだけどさ
ねえ、クリスティー
「きれいになったね」
子羊のローストに使われた
ローズマリーがそんなことを考えさせる
ジューンブライド
作品データ
コメント数 : 1
P V 数 : 474.0
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作成日時 2023-11-22
コメント日時 2023-11-22
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時06分41秒現在
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クリスティーに語り掛ける調子。白スーツを着ている男。朝岡さんちの犬の種類など、詩語や詩行の示唆や暗示が詩を盛り上げていると思いました。
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