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若さが怖い
私は健康のこともあって、ふらりと散歩に出ることが多くなった。郊外の町内を一周。するとそのコースが、近く、高校の、陸上部の長距離か、中距離の練習コースになっているのか、前方から、それは全力疾走で、高校生が走ってくることがあり、そのとき、いつも「あっ!」と小さく、声を上げてしまう。それが、女子の高校生ならば、尚更、「あっ!」っとその声は大きくなっているかも知れない。 三十六歳になりました。昔の言い方でいえば壮年にあたるでしょうか。もう、おじさんの、いんや、精神的にはおじいさんだと思っている私に向けて、彼ら、彼女らは口々「こんにちは!」「こんにちは!」と声をかけて下さるが、なぜか、私は畏怖しており、ただ無言で、彼らの走行の邪魔にならないように、道のわきへ体をどけるだけだ。 さいきん、つぶさに彼ら彼女らの顔を見るけれども、「こんにちは」と言いつつ、その形相ったら非常に真剣で、その真剣さでもって、もっともっと私は畏怖のこころを持つのであった。 ああ、若さが怖い!真剣さが怖い! さて、この詩を読んだときに、そのついぞ「今年」そうして「今」にこだわるのだなぁ、と思ったものである。 そんな焦らないでもいいよ、なんて悠長なことを言って返せなかった、コメントできなかったのはきっと、このきっと若い書き手さんが多分、若く、そこに私が畏怖、怖れを抱いたからだろう。 いってしまえば、私も青春こそ、人生の花と思っていたし、若さには意義があると先の彼、彼女らのように真剣であったときがあった。だからこそ、その青春を先延ばししようとしてモラトリアムになったのだし、夢も見つづけた。しかしその夢もさめてしまえば人生の上っ面のさざなみだ。 そうして急に老け込んだ。臆病になった。そう思っている。 それでも新年となれば、期待に胸を膨らませる、艶っぽさも残っていたらばいいと願う。 大人になった今、慌てて全力疾走していても、まずは門が開かれていないことを知っている。門が開かれているのは、若者の特権である。 今日のことも 中途半端なのに 今 明日のこと 考えて どうしたいだろうか 確かに今日と明日はある。にしたって、過去も未来も、今にあるのは、今ばかりだ。 それにしたって、非常に無垢な詩を読んで、何か胸を打つものがあった。
若さが怖い ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 506.2
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作成日時 2023-11-17
コメント日時 2023-11-17