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女心が少しわかり、伝わった
僕は、音楽愛と言うのが苦手だ。 渋谷陽一は、音楽愛を語ったことは一度もないと思う。 渋谷陽一が語っているのは、常に渋谷陽一であり、ピーターバラカンが語っているのが、音楽愛です。 ピーターバラカンは自分のことを音楽評論家ではないと語る。それは彼が音楽を語る行為が、自己表現ではないと理解しているから。 誰だって、自分のことの方が大切だ。 音楽愛より、自分の方が大切だと正直に言ってくれる表現者を僕は好む。 入間しゅかさんの詩を読んでいると、この人は、詩より自分の方が大切だと正直に表しているように思える。その正直さに好感を持ちます。 独特の言葉遊び。語感に対する感受性。 サイケな詩世界。少し妄想が暴走気味である。 言及や追及を避け、描写が途切れ途切れなのは、なにかを隠しているのだろうか? そこに照れがある。 日常的な恋愛風景。 恋愛が日常の中に溶け込んでいるような自然さを感じます。凄くナチュラル。 不思議ちゃんなんだ。タレント性がある。 男性への媚と強かさがある。そこに知性を感じる。 文学の持っている深さや重みより、恋愛に傷つく女性のリアルが描写され、その描写が、過度な言及を避け、お洒落にまとめられている。そこに物足りなさがある。そこはもう少し期待したい。 自分を語るだけでは、まだ未熟。表現者は自己愛を超えなければならない。 全編に現れている、女性の瞬間的な男性への要求と期待。それは男性の永続的ななにかに対する期待とは違うものだ。 なにかを愛することには限界がある。それに対し、悪いなと言う罪の意識がある。そこに好感が持てる。 リアルな表現者だと思う。 そのリアルが吉と出るか、不吉と出るか? 異形の持つ面白味に期待だ。
女心が少しわかり、伝わった ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 775.9
お気に入り数: 0
投票数 : 1
作成日時 2023-11-08
コメント日時 2023-11-09
入間しゅかさんという詩人を、興味深く紹介してくれるお洒落で、明快な批評ですね! しゅかさんの世界に触れるのは初めてなので、しゅかさん、それと批評者の万太郎さん共に、今後作品を読んでみたくなりましたよ!
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