頭の中で思い描く景色は
もしかしたら誰かの見た昨日の街並み
果てしない物語を垣間見ながら
また夜が明ける
頑なだった思考は解けていく
それはなだらかな丘の上
建てられたひとつの墓標
夢の中での出来事を全て覚えていないように
私達はこの世界を生きている
百年経ったら忘れるでしょう
大樹はそう言って
その葉を揺らしている
頑丈に造られたビルディングの寿命もいつか来るから
何もかもが徒労に終わる気がして
人々さえも色褪せて見える
そんな時
想像する
バサリと黒いカラスが生ゴミを漁る
肉の破片や野菜の屑が街に散乱する
食べなければ生きていけない
その切実さを
私達は…
息をする
歩く
椅子に座る
お茶を飲む
寛ぐ
眠る
当たり前のことを出来てしまう不自由さ
危ういアイデンティティ
模倣され尽くされた情報
過度に監視された環境
行き場のない気力の停滞
あどけない幼な子のように
眠ってしまいたい
そう思うけれど
此処とは違う場所では生きてはいけない
そんな気がして
頭を抱える晴天の午後
ふと、自らを省みる
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 569.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-11-01
コメント日時 2023-11-02
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:569.7
2024/11/21 23時23分21秒現在
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あどけない幼な子のように 眠ってしまいたい ほんとにね。
0この詩を読んで、仏教の諸行無常や諸法無我という言葉を思い浮かべました。 そんな無情で虚構の世界の中で、カラスは生ゴミを漁って必死に生きている。その瞬間の中に生の本質が宿っているけれど、我々人間は今それを忘れかけている、そんなふうに感じました。 ひとつひとつの表現が美しいですね。 「頭の中で思い描く景色は もしかしたら誰かの見た昨日の街並み」 「夢の中での出来事を全て覚えていないように 私達はこの世界を生きている」 「当たり前のことを出来てしまう不自由さ」 これらの表現が、現代社会に生きる人間の心の不安定さや生きる実感のなさを巧みに表していると思います。
0こんばんは。 本当に眠っている時だけは 安心してます。 コメント嬉しいです。ありがとうございました。
0こんばんは。 いつも、感想ありがとうございます。 コメントいただいた通りで概ね合っていると思います。 現代社会に生きる人々の心の不安定さを書きました。それから、現実感の無さなども。 コメント嬉しかったです。ありがとうございました。
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