九月の鼓動は少し優しい
庭に植えられた金木犀が微笑み
傍らでアヒルが一匹佇んでいる
アヒルの名前はルノー
老夫婦の家で暮らしている
二人はとても優しい
毎日庭をぐるぐるしている
おなじ暮らし
ルノーは時折ぼんやりしてしまう
それでも季節は巡る
夏の日差しが遠ざかって
風が爽やかに頬擦りしてくる
ルノーは空を仰ぎ
雲よりもっと遠くを見つめている
と
お
く もっと
と
お
く 白く
翼は小さくてそんなに飛べないけれど
そのつぶらな瞳に空色を映している
庭の垣根はルノーには高すぎる
不思議そうに小首をかしげて
ルノーは思う
この垣根の向こうはどうなっているのかな?
でもルノーは夜、垣根の外で鳴く獣の遠吠えを聞いたことがある
そしてそれはとても獰猛なオオカミという生き物だということも
だからルノーは黒い瞳で遠くを眺めるのが日課だ
明日は何が見えるかな?
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 948.2
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-10-20
コメント日時 2023-11-02
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 22時47分53秒現在
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童話みたいな感じの詩ですね。こんな感を詩を読むと何だかホッとします。 アヒルの視点からの描いた 「と お く もっと と お く 白く」 というところがアクセントになっていていいですね。特に「白く」を入れたところが上手いと思います。 この垣根を飛び越えられないアヒル、何となく平和な日本に暮らしている我々を表しているような、そんな気もしました。
0こんにちは。 いつもコメントいただけている気がして、嬉しいです。 ホッとするのいいですよね。でも、オオカミは怖そうで私もこの詩を書いた時に日本で暮らしている私達はアヒルかもと同じことを思いました。 その他のコメントも嬉しかったです。 最近、忙しかったり、季節の変わり目で体調が悪かったりしています。お身体に気をつけてお過ごし下さい。 ありがとうございました。
0これを読んでいると、なぜかとても心が落ち着きます。 それでもこのささやかな居場所がゼッタイに安心というわけでもなく、垣根の外には獰猛なオオカミもいる。 それでもルノーはまだ今のところは狼にも老夫婦にも食べられずに生きていて、遠くを眺めている。 ――明日は何が見えるかな? きっと、ルノーの恋人かもしれないとボクは思いました。
0こんにちは。 心が落ち着くという感想なんだか嬉しいです。今日見た夢が怖かったので、尚更ですw ルノーが元気にしていて、私もほっこりしています。 ルノーに恋人が居るなら、それだけで幸せな気分になりますね。 コメントありがとうございました。嬉しかったです。
0明日は何が見えるかな? ほんとにね。
0おはようございます。 明日は何が見えるか、分からないですよね。 コメント嬉しいです。ありがとうございました。
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