俺は
今日も配達に行かなかった
今日もガリガリの力士たちは
俺の家の前で
虚ろな目をして突っ立っている
彼らに威圧感はなかった。
ガリガリだからじゃない。
押し出しそうにもない者たちよ。
カルシウムだ。
押し出しそうにもない者たちよ。
ピープル、ピープル
と、喧伝しながら
選挙カーが通り過ぎていく
たぶん
あれは大統領を乗せているに違いない
三丁目と四丁目のあいだには
今日も小銭が落ちている
君は貰えと言うけれど
俺は交番に届けた
君は
今夜もチャーハンを食べる
チャーハンが主食の国があるかのように食べる
それが君のやり方だ
そんな国があったとしても
驚かないように
俺は訓練を受けている
心配するな。
ガリガリの力士たちが空き地で泣いている
昨晩の町内相撲大会で
彼らは 皆殺し狸会の連中と相撲をした
結果、ボロ負けだった
(ちなみに皆殺し狸会は
さわやか闇社会運動部に敗れ、
36度目の優勝を逃した。)
泣く暇があったら
カルシウムだ。
押し出された者たちよ。
あと、鉄分と、もろもろのビタミンたちだ。
カルシウムたちよ。
俺は
全員、ビンタし
一緒に三丁目を走った
ついでに配達もやった
全員、泣き顔は汚かったが
最初から
泣き顔がきれいな人間などいない
と思った
三丁目と四丁目のあいだには
今日も魚が落ちている
君は貰っておけと言うけれど
でも、やっぱり俺、交番に届けるわ
作品データ
コメント数 : 6
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作成日時 2023-10-07
コメント日時 2023-10-17
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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2024/11/21 23時21分46秒現在
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最近、SF小説をよく読んでいるせいかそういう風に読みました。 なんだかいいのですよね。 こうしたイメージの断片に整合性を付加すると物語が転がり出しそうです。
0救われようのない街の中で、「俺」だけは正義というか、ギリギリ真っ当に生きてるような立ち位置だなぁと感じました。 しかし「俺」には正義はあれども愛情はないような、なんとなく頑固なというか、温かみは自分はあまり感じませんでした。 勝手に、「こいつはきっといい歳して女房家族に恵まれない頑固な魚売り」ではないかと想像しました。 「君」の方は、恐らくうまく世を渡ってそれなりに幸福に生きているのだろう、或いは人の目を盗んで悪に染まりつつ、裕福に暮らしているのだろうと想像しました。 それらに対するアンチテーゼみたいなものも感じました。
0こんにちは。 SFですか。 そういえばここしばらく SF小説、読んでいないですね。 最後に読んだのは円城塔氏の小説だったな。 タイトル、ど忘れしてしまうほどにだいぶ前だ。 たまには あまり読まないジャンルの本も読んでみないとなと思いました。 詩を読んでいただきありがとうございます。
1こんにちは。 「いい歳して女房家族に恵まれない頑固な魚売り」 たぶん、私の事を客観的に見れば その一言に尽きるな。 なかなか上手い事をおっしゃる。 一人で納得していました。 たしかに 作品に漂う空気に モテる要素というか キラキラしたもの (イケメン俳優の壁ドン的なものといいますか、アゴクイ的なものといいますか)がないですね。 必要なのかと聞かれれば 別になくてもいいのかなという気もしますが。 詩を読んでいただきありがとうございます。
1その、王道のエンターテイメント詩と読みましたけれど 俺って結局、どうやって生計立ててるのか不思議なんですよね。 その、君はチャーハンを食べているけれど 訓練を受けているから大丈夫 なるほど、訓練を受けているからか!と納得すればいいのでしょうか。面白い。
0こんにちは。 霞を食べて生きている、というほどに飄々している感じでもないですから、たしかに、なにで生活出来ているかはわかりません。 三丁目には、そんな人物たちでも生きていけるなにかがあるのかもしれません。 浮き世ではないかもしれません。 詩を読んでいただき、ありがとうございます。
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