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【希望】ヤ_サイ 一株 【秘密厳守】⇒(001)
* おれが愛にきづいたとき、その愛がおれに語ったこと * どこか見憶えのあるような、 なだらかな空気のなか硝酸系の毒物を蒔く 愉しそうな子供たち、大丈夫もう終わりだから 地下鉄工事の終わらない夏休み 眠れない夜をいくつもいくつも数えた、 だけれど、それ、ぜんぶ終わるから。 だから緊急脱出ハッチにはふれないでおくれ わたしに預けられたはずのあかるい未来、そして来なかった未来、 ガラス戸のむこうでいまも存るかも知れない未来について考えるのはもうやめだ 計画はみんな中止、 愉しみはぜんぶ忘れろ 欲しいものは全滅だ、すべてを清める塩だ 成分表示を朗読するような人生を投げ棄てて祈る 破綻と快楽とを融合された手で、その毒をふりあげろ データ消滅まで時間は1時間を切ったんだから逃げたってむだだよ できればきみを保存したかったんだ、この地下を流れるだろう鉄路の壁に きみの人生だったすべてを、ありうるすべての可能性を、 階下から沸き上がるデスコティックな声援、突然のメール、 あなたにぴったしのご案件があります。高収入まちがいなしです。つづきは→ きみはまだわたしのことをおもっているのか、ほんとうにそうなのか いくつもむなしい夜をその痛苦とともに過ぎるしかないときに 毎秒ごと髄液のなかで神経伝達物質があるひとつの命令をくりだす あなたからあなたにとってもハッピーなお知らせです。 かくも深い迷いから醒めるからにはあなたの死が 絶対条件となりますので、ご容赦ください。 きみは素晴らしい、ただ素晴らしくて、 その意味するところがよくわかない 防毒マスクを外せというのか? この喧噪のなかで?──くたばれというのか? きみを愛するわたしは此所で消えてしまえばいうのか ならば告げよう──きみなんか、うんこ召し上がれですと! 胸の甲板を突き刺したいくつもの槍が、カシウスの槍が、 わたしにはきみの愛であったなどとは幻想しない 討論もなく、和解されるだけの世界なんざケツ喰らって死ね! わたしはもうやめた、──おれはこのままじゃ死なない! おれの全歴史と時間の考古学によって発掘される未来でいまと心中する! ああ、そうともおれはおまえを見限った、そして電気冷蔵庫に改造すらしたさ、 でもあれだっていまおもえばおれなりのやさしさだってもう気づいたっていいだろう! おれが軽薄だったことなんかいちどだってない、いつもほんきだったはずだ! それがこんなところから、まさか綻び始めるなんて、──いッ! つーッ、ぃてエなぁ!──こんなものが愛だったなんてな! これはおまえへの愛じゃない!──おれからおれへの愛! ゲートの通路上にだれかが立ってる、いや消えた、 消息不明、人体センサー反応なし、えっ? おまえばかだろ、おれは現象学の話なんてひとつもしてねえぞ! 待ってて、ゲートがもうひらくよ。 おい、ばかやめろ、──死ね、──殺す! 子供たちが進んでいくね、──もういくんだね。 勝手に進めるんじゃねえくそったれ、おまえ死んでろ なにいってんだ、おまえもおれだろ、おれのはずだろ? おまえのくそみたいな音楽趣味にずっとつきあってきたし、 映画も観たし、デートにもいったろ、いまさら「いやです」なんでいうなょ それでいままのところ、痔の痛みは治まってますよ、先生。 次の予約はいつでしたっけ?──え、もういいって? 「もういいです」ってなんだよ、おまえ! だ・か・ら、ダダイズムの時代は終わったんですよ、 いまから子供たちの迎いがあるのでついて来ないでくださいね。 どこか見憶えのあるような、 空気のなか硝酸系の毒物を蒔く 愉しそうな子供たち、 大丈夫もう終わりだから 地下鉄工事の終わらない夏休み 眠れない夜をいくつもいくつも数えた、 だけれど、それ、ぜんぶ終わるから、 だからおれを此所からだしておくれよ、もう、ぜんぶわるかったから、 ただきみと話がしてみたかっただけなんだ、おれって、
【希望】ヤ_サイ 一株 【秘密厳守】⇒(001) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 949.6
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-07-16
コメント日時 2023-07-18
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
中田満帆さんの普段の書き方は、私の知っている範囲でですが、テクニカルな部分に重きを置いてる。 でもそのテクニカルな修辞のせいで小奇麗にまとめすぎてるという感覚がしています。 最終行以外は劇団員のセリフみたいになっていて感情移入がしにくい。 最終行で急に感情移入させられて、それが他9割のセリフっぽさと、作者の温度に近いと感じるセリフとのバランスは良いと思ったので、全体的に計算して書かれているんでしょうね。
1滅多刺しにされる感覚が、僅かならぬユーモアと交りあって。頗る佳いと。 独白体=毒吐く体の記法と内容の相性も抜群。 突っ走っていただきたいと。
1これが中田さんのベストオブベストなんてことはないのだろうが、この作者の詩をまだ読み続けたいとおもえるものでした。最期の一行がまるで手をのばして願っているようで、印象的です。
1加筆・訂正しました。 https://mitzho84.hatenablog.com/entry/2023/07/18/113743
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