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ソランジュ
とけいのカチカチという音の、カとチの隙間にしか存在することのできない、脆弱な狂気が僕を生かしている。 ところで光はチカチカと瞬くもので、同じくこのチとカの合間にしか存在できぬ、束の間の闇が僕を生かしている。 母と父が与えてくれたこの強大な背骨が、ひきつぶれそうな痛みから、重力から、僕を守ってくれている。 今にも奪い取られそうな心臓を両手で抱きしめるようなこの肋骨が。 現実の恐ろしさに蕩けてしまいそうな眼球を塞ぐように、瞼が。 生かされる、ということと、生きる、ということに、明確な違いがあると判断する、 どこかにある自我が。 わからないまま生きている、理由を手繰るようにあがいている、 といっても何も考えないままYouTubeのショート動画を見ている時間の方がはるかに長いのだと思う。 仕事は億劫だけど 必要がなければきっともう死んでいるんだろうな。 世界とは恐ろしい、正常とは残酷で、僕は今日もそういう詩を書きたいと思う 許されなかった狂気が、押し殺した殺意が、存在しないと思い込んだ異常が確かに、そこ、にあり、 それらすべては僕が世界に向けて発している一方で、 世界が僕に向かって突き付けているということを、 君と、話し合いたいと思っている、 君が僕を恨んでいるという話を聞きたいと思っている。 どうでもいいと 思っているって。 死んでほしいと思っているって。 見捨てたと言ってくれ、君が僕を見捨てたように、僕も君を見捨てたんだと教えてくれ。 何度も言葉を変えて、収斂と拡散を繰り返して、同じことを話そう。 世界は苦しい!息ができないくらいに! 死にたくなるくらいに! それでも事実して、世界は、僕を、生かしてくれている 僕も生きている、ひっそりと狂いながら生きている、選択し続けている。 君たちと一緒に。
ソランジュ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 692.4
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-04-30
コメント日時 2023-05-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。 生きることの苦しさを吐露したような詩ですね。 はじめは生きることの意味を見出だせないが故の空虚感や虚無感による苦しみかな、と思ったのですが、どうも違うようです。 己の内に在る異常や狂気を押し隠すことも、それから眼を背けることもできず、正常さとのギャップ、あるいは正常であることを求めてくる世界からの重圧に苦しんでいるように感じます。 そして、その世界の正常さが反転して、異常な残酷さとなって襲いかかってくることを表現しようとしているようです。 なかなかインパクトのある作品です。
0ソランジュ、は、Solangeで、その名のポップスターも要るようだけれども 諳んじ、る、ではないかと考えた。まあこれは主観に寄る。大体、僕は主観に過ぎます。 言葉で遊ぶのが大好きだけれど、冒頭にして、カタカナの「カ」が「力」に見え 「チ」は、血であったり、智であったりに連想して・・・ いいや、 やはり「君たちと一緒に。」と結ぶからには、このテキストは広く読まれて欲しいと願う。 寧ろ、あまりに私のフェテな部分で語るにそれは軽い解釈過ぎて 作者様の訴えたいことに失礼だろうから。
0カチカチのカとチの間。須臾の間よりももっと僅かな間なのかもしれません。生き辛さと言うのともちょっと違う。狂気を孕みつつも進まざるを得ないこの世。「同じこと」が意味して居る事や示唆して居る事を考えるとこの詩はグローバルな意味を持つのではないでしょうか。
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