戦争を始めるのはいつも男で
いつも卑怯なやつ
男は戦争が大好きだ
武器を持つのもいつも男で
いつも野蛮なやつ
使う前から大喜びだ
女はそんなことはしない
女は黙って傷つける
鋭く、深く、えぐる
傷口に唾を吐いて
にやりと笑う
男にはそんな真似など出来やしない
戦争だと大声で叫んで
わざわざ理由を述べてから
わざわざ離れた場所に行って
遠くから、ずどーん
相手が誰だかわからない
だけど、ずどーん
そのために
重たい武器を構える
重たいから少しよろける
でも平気なふりをする
女はそれを見逃さない
フン!と馬鹿にして
にやりと笑う
男は女を気にしてる
女は男が気にならないから
にやりと笑う
女は戦争が大嫌いで
にやりと笑うのが好き
男は戦争が大好きで
武器を持つのも好き
使わなくても好き
使うのはちょっと怖い
女は武器が大嫌い
触りたいとも思わないから
躊躇しない
いざとなったら奪い取る
奪い取ったらすかさず
ずどーん
知らない相手は殺さない
知っているのだけ
そしてその時ばかりは
にやりと笑わない
肩で息をする
唾を飲み込む
なぜなら
戦争が大嫌いだからだ
男のことは大好きなのに
男は戦争も好きだけど
同じくらいに女も好き
女も抱くと重たい
少しよろける
かなりよろける
よろけたところを見つかって
笑われる前に口を塞ぐ
もちろん唇で
その時はじめて
女はにやりと笑わない
笑えないのだ
あまりの出来事に
笑うかわりに目を閉じる
そして心で
にやりと笑う
戦争を始めるのはいつも男で
戦争を始めないのは女
戦争を終わらせるのは女を好きになった男で
戦争を終わらせないのは
そんな男を愛した女
男と女、女と男
男みたいな女、女みたいな男
どちらも野蛮な生き物で
どちらもお腹が空いている
おやつの時間はもうすぐだ
作品データ
コメント数 : 13
P V 数 : 1733.8
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 147
作成日時 2023-04-14
コメント日時 2023-04-27
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 21 | 21 |
前衛性 | 20 | 20 |
可読性 | 10 | 10 |
エンタメ | 25 | 25 |
技巧 | 41 | 41 |
音韻 | 10 | 10 |
構成 | 20 | 20 |
総合ポイント | 147 | 147 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 10.5 | 10.5 |
前衛性 | 10 | 10 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 12.5 | 12.5 |
技巧 | 20.5 | 20.5 |
音韻 | 5 | 5 |
構成 | 10 | 10 |
総合 | 73.5 | 73.5 |
閲覧指数:1733.8
2024/11/21 22時51分05秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
こんにちは。 匿名さんの詩なので、この詩を書かれたのが男性なのか女性なのかわかりませんが、少なくとも、男性のことはとても的確に書かれていると思います。(私はいまだに女性の心がよくわかっていませんので・・・) 特に最後の二連の表現が秀逸ですね。見事だと感じました。 ひとつ気になったのは、この詩を女性の方が読んだらどんな感想を持つかな、ということです。 どなたか女性の方、この詩を読んだ感想をコメントしていただけませんでしょうか。 それを読めば女性の心を、もう少しわかるかもしれませんので。 勝手なお願いをしてすみません。
0戦争の本質的な部分を突いているところもあるなと思いました。 >戦争を終わらせるのは女を好きになった男で >戦争を終わらせないのは >そんな男を愛した女 ここはなるほどなあと思いました。ここだけ抜き出しましたがその前の言い尽くされた感のある二行も大事ですね。 詩の中によく出てくる「にやりと」するところ、大義名分もにやりもある、にやりはリアルにもネットにもどこにでもありますから。 >おやつの時間はもうすぐだ 他国でこれだけたくさん戦争が起きているのに、戦争を知らない世代と言えるのかなと思ってしまいます。 あと女性は力が弱いなりに相手に打撃を与える術を日々考えているのでは無いかと思います。 弱者に皺寄せがいくというのも戦争の本質ですね。 余談ですが、筆者さんは男性のような気がしました。
0的確かどうかというのは甚だ疑問ではありますが、こういうのはたぶん男にしか書けないと思っています。女性が見たら怒るかもしれない。
0本質などは全く突いていないと思います。ただめっちゃくだらないことを書きたかった。アンチとも違う。遠い場所から手紙をただ書きたかった。それだけです。そして私はもちろん男です。
0こんなにジェンダーレスな時代にいきなり男はこうだ、女はこうだと言い切ってくるところに驚いたが、2つの全く違う色のようなものが、逆になったり、混ざりあってみたり、いや、やっぱりこういうところが違うんだよな、男と女は、的な、自分が無意識に感じている男女の違いを鋭くついていて、おもしろい。しかも、戦争と絡めるのもかなり勇気が要ることだと思うし、個人的には、作品に戦争という言葉が入っている時点で読む気にもなれないが、これは戦争のことを言っているのではないのかもしれない、なにかもっと他のことを言っているのではないかと思うと、心地よく読めた。
さすがよくわかってらっしゃる。男なんて生き物は黙って髭でも剃って顎をさすってればいいんですよ。
0確かに軽い、ですね。収まりが良すぎるというか、特に逃げたというわけじゃないんだけど、最終的にこれを玩具として存在させたかった、というか、最後はスイーツ出さないと舌の肥えたお客は帰ってくれないような気がしたので。私のスタンスを端的に表す部分としてこのような締めを選んでしまったです。 あ、全然関係ないですが「蛾兆ボルカ 」というお名前なんかツボでいいなあと前からずっと思ってました。
0やはり毒は注入し続けなければ僕たち痩せてしまうよ。ジェンダーレスだからこそはっきりさせなければいけない部分はあると思うし、戦争の時代だからこそ平和は疑ってかかるべきだと思っています。嫌なものはからかって遊んでやれ。そんで頭からペンキでもぶっかけてやれと思う。
1機雷が好きな人が嫌いです。以上。^ー^
0「あなたなんて大機雷!」 「掃海?」
0世界情勢のことは皆目わからない草の民であるが うちの家庭では戦争を起こすのが私であるとか妻であるとか決まっていない。 こんな小さな家庭で謎なのだから、世界で見たらもうカオスだろうが それが丁寧に箱に収まるように筆致される、できるというこの作者様が いちばん、謎だな。 まあ参考にはなったけれど、家の戦争なり、お祭りなりをどうにしかしないと。
0箱に収めるのは簡単です。戦争する代わりにその国の代表者を集めてスポーツで競わせるのです。走ったり飛んだり押し合ったり、そうだ、これをオリーンピィックと名付けることにしよう。家庭内の争いもすぐに解決。しっかり寝技で決めるべし。
1おはようございます。レス感謝です。おわっ。うまいですね。一本とられてしまいました。
1