no title. - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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no title.    

   ささやかなさびしみで充ちてしまうことの、鶴はいちめん枯葉のような夜へ首をのばす。秘密のテキスト、読まれることは惜しい、として、あなたは今どこにいるのか。つっかえつつ、嗄れつつ、伝えきったと思ったさき、何を記述すればいいのか。私は知っている、あなたはいないということ。それは正しくあなたたち、だということ。  しかし情報が多すぎるということが、かつて僕のテキストに苦しみを与えた、なら。私たちはやはり僕とあなたへ帰るべきだ、あたたかい雨をあびつつ。ほら、そっと目をやればふっている、古い野球帽をかぶったあいつをぬらす雨がふる。いいえ、もう一人の僕が首をふる。いいや、そんなものはいない、いる、いない、わからなくなるだろう、それは当前、僕らはわからない。四月、語感からして苦しい気層の底で、僕らは打ちあげられた魚。何によって?それは問わない。ただただ、ささやかなさびしみで充ちてしまうことの、かんたんにすこし歯ぎしりしつつ行ききして僕は断定する、ただ苦しいと。僕を中性化しよう、つまりぼやかそうと、野暮、企てる、わたし、という主語を選択しなおす、かおをそっくりとりかえる。厚いマスクをそっととるように(もともと生きいきと書き、語れるほど、元気なかお、でなかったが)  もういい、もういい、わかった、苦しいんだろう、ただそれだけさ、暇なんだよ。暇なんじゃないよ、麻痺しているんだよ、或る朝すべてがかわっていたらいいなぁ、と考えたことはないだろ?暇なんじゃないよ、麻痺しているんだよ、残念でした。馬鹿な。地形図を書く者が嫌うものは雨だ、水だ、流動だ、変化だ、私たちはほんとうにそのことを認識できていたのか、移ろう、うつろう、席をうつろう、このバスがほんとうはどこ行きなのか知る必要がある。天国行きか、中国行きか、落胆するかもしれないけれど、このバスの運転手はあなたの意志なんだ。うそだろ?私は私を呪っているのに。それはいい、行き先は意志がつよいから天国に行けるわけじゃない、大体フィーリング、こころ貧しいから天国なんてものが必要さ。  笹、笹、ささやかなさびしみで充ちてしまうことの、道々に見つける水脈、しずく、しずくする、しずかになって支払い忘れの電気料金票のようにひらひらとしたそれは、旗、はためいているそこは畑、火に田んぼ、プラスティックの切れ端、容赦なき光、怒りにまでならない力のような緩い光線たち、またはこう言い換えてもいいでしょう、溜息しかない郊外と。妨害もそこらにあるその道々にタンポポの黄を見つければ励まされ、そして鶴はもういなくとも最低でも私は幻視します、しなくとも、見た、とここに記述します。会話はありません。私たちはとても疲れてしまった。そしていちめん枯葉のような夜がまたやってくるまで、もう時間は残されていません。痛みの大きな錯覚に、みんな、みんな、夢をみているのです。それでいいのです、そうしなければ、狡くなります、最低でもあなたはいなくなり、だから私が消えうせる。このテキストは蜂蜜で包まれて終わりたい、と願っています、なにせ一体何を言っているのかわからない、そして現実に問題は山積、三隻のボートが出ます、川のひかり、山の実り、きらきら光った中を行く(もういいよう)、では帰ります、青脈管の中へです。トボトボ、ボトボト、涙を流し、はてしなく、はてしなく、生きてゆく。


no title. ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 10
P V 数 : 1114.7
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 108

作成日時 2023-04-03
コメント日時 2023-04-26
#現代詩
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性2525
前衛性33
可読性55
エンタメ1010
技巧1515
音韻2020
構成3030
総合ポイント108108
 平均値  中央値 
叙情性2525
前衛性33
可読性55
 エンタメ1010
技巧1515
音韻2020
構成3030
総合108108
閲覧指数:1114.7
2025/04/10 10時45分49秒現在
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    作品に書かれた推薦文

no title. コメントセクション

コメント数(10)
つつみ
作品へ
(2023-04-03)

平仮名と漢字のバランス 丁寧語とそうでないところ 誰かに伝えているような 自問しているような 言葉並びが 私にはとても 心地よく感じました

抒情:25 前衛:3 可読:5 エンタメ:10 技巧:15 音韻:20 構成:30  
1
A・O・I
作品へ
(2023-04-04)

まるで消え去るほど無意識の呟きのような言葉を確認するように文字に落としていくと見えてくるものがあり、それが自分自身の骨組みであることが明記されなんともこちょばゆいものです。格好つけたとこで結局すべての根底には自分自身の葛藤のかたちが残っています。ただ積み上げることしかできないとしても、あゆんできた道はそこにあるのです。たしかにここに繋いでいる、いま、生きて います。

1
田中宏輔
田中宏輔
作品へ
(2023-04-04)

音楽的です。

1
エイクピア
作品へ
(2023-04-05)

静脈管の中へですの中原中也ではないですが、少しのディスオーダーがこの詩を書かせたのかもしれません。恋人が死んだのか、詩人仲間が死んだのかと想像をたくましくしてしまうのですが、ちょっと途切れ気味の表現の表出に絶望感が現れているのかもしれません。「錯覚」と言う壁。夢とも言い得るのかもしれない。川のひかりや山の実り、光った中を行く。限界が早いのかもしれないし、限界が大きいのかもしれませんが、「はてしなく、はてしなく」にわずかながらでも希望の燭光が有るのかもしれないと思いました。

1
田中恭平 new
田中恭平 new
つつみさんへ
(2023-04-08)

つつみ様 お読みくださりありがとうございました。 しかも、丁寧に作品を分析それぞれ点数評価までして下さって 嬉しい限りです。 だからこの作品は、抒情、音韻、構成に寄った作品だと。 確かにそのとおりですね。 で、基本的なフォーマットにそった作品で、読みづらく、エンタメでは うむ、確かにそうですね。いいですね、これ、僕も使おう(笑)。 そうですね、伝える対象が人だったり、自分自身に、だったり それは、没入して書いているので、あとから客観的にみて 曖昧だなと思います。 納得したくて書いているというのもあります。 ともかく、その、心地よさを感じていただいたことは嬉しいです。 ありがとうございました。

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田中恭平 new
田中恭平 new
A・O・Iさんへ
(2023-04-08)

文中にありますが、これは秘密のテキスト、なんすよね。 もう詩人以外、鑑賞していただきたい対象はない、なかったんですね 客観的に読み直してそう思います。 お読みくださり、ありがとう。

1
田中恭平 new
田中恭平 new
田中宏輔さんへ
(2023-04-08)

お読みくださり、ありがとうございました。 どれだけリズミックに書いても、身体の齟齬か、日本語のそのためか 不器用にズレますね。そこも楽しんで書きました。 念頭にあったのは、ピアノ、というより、アコースティック・ギターです。 その手軽な。 手軽というと、やはり僕の場合、Word一枚でちょうどよいのかも知れません。 そのフォーマット、フォーム、型を大切にしたいと思います。 ありがとうございました。

0
田中恭平 new
田中恭平 new
エイクピアさんへ
(2023-04-08)

ちょっと私生活、近辺で不幸がありましたね。 僕は、浄土真宗なんですけど、個人的に無信仰になりました。 現世利益がまるかし、嘘っこだからです。 精神的安定の信仰もいいと思いますが・・・と何を書いているんだ。 それでも生きていきます!ありがとっ!

0
ryinx
作品へ
(2023-04-26)

言葉がとてもリズミカルで、かつ情感を湛えているように感じます。  音、、声に出した時の感覚、うまく表現する事が難しいけれど、 とても感覚的な側面で静かな情感を覚えます。

1
田中恭平 new
田中恭平 new
ryinxさんへ
(2023-04-26)

僕は眠り薬が必要な人なので ぼうっとした頭で失礼ですけれども これねぇ、受けなかった・・・ わりとテキストとしてその作為性抜きにしてなぜか書けたんだけれど。 バロウズって人が「言語は外部からのウィルスだ」 って言っていて 僕にとって詩は、内面でそのウィルスを培養つまり遊んで 紙に書いたものでしかないんです。 それを主張しても、凄く個人的な詩の概念で 説得力ゼロで でもなんとなく 伝わらないかな、とか考えて書いていますね。 ありがとう。おやすみなさい。

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