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決壊
半分に割ったシュークリームのように頭の中から溶け出した自我は カスタードがプレートに漏れ出すように青空に漏れ出して自由気ままに漂う 目を閉じて菩提樹の陰で風が葉を擦れ合わす音を聞く一方で心は上空から青い球体を捉えている こんなに落ち着いた心でいられるのは母の子宮にいた時くらいかも なんて本当はそんな記憶は一切ないけど 一日24時間 一年365日 自転に公転 きっと地球は過去も今も私達をあやす揺り篭 一人孤独だと泣いていたあの頃はそれに気付かないで安っぽい個性とプライドで自分を守っていた きっと小さな植木鉢に自分を移して自身を守れているような錯覚を覚えていたのだ 自己を守ろうとすればするほどに自我に閉じ込められ窮屈な思いをするとは知らずに 少し外を歩けば他とは重なることのない葉の葉脈 転がる石なんかが個性がいかにこの世界に満ち溢れているものかを嫌というほど語っていて 急にそんな物に拘っていた自分が馬鹿らしく思えた それで金属バットで植木鉢を壊した 自己崩壊のあと決壊したダムのように流れ込んだ星の意思が パレットの上で混ざり合う絵具のように残っていた自意識と混ざり合う 次から次へ移ろう色に名前はつけない 新たになった目でこの世界を眺めればすべては仮初で実体がなく この肉体もすらも借り物でいつかは返す時が来る 土葬されれば土に還り 火葬されれば気体となって空に還る 私はもう二度と孤独を感じない 私の魂はちっぽけな自我を抜け出して この碧い球体の揺り篭の上でいつまでも居心地よく揺れているのだから
決壊 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 536.2
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-03-30
コメント日時 2023-03-30
項目 | 全期間(2024/11/24現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。 まず冒頭の流れ出したカスタードの比喩が、天地が逆転した感じで面白いですね。 この詩は仏教、特に禅の思想を元に書かれたものでしょうか。 菩提樹や自我の表徴である植木鉢を壊す記述。 その後、星々の意思が流れ込んで残っていた自意識と混ざり合い、次から次へ移ろう色に名前をつけない、全ては仮初で実体はない等、仏教の悟りを表しているような印象を受けました。 私もちっぽけな自我を抜け出して、心の平安を得てみたいです。
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