別枠表示
詰み
ほとんどがシャットダウンした脳の一部でパソコンの画面と向き合う。 「私はまるで寝静まった戦地で一人衛生兵としての職務を全うする兵士のようです。(ハクソーリッジ)」 「私はまるで敗戦濃厚の焼き尽くされた戦場で一人敵兵に向かって機関銃を撃ち込む兵士のようです。(ブラザーフッド)」 良いものが出てくる気配は全くない。 今私が何を打ち込んでいるのかすらもう曖昧でよく分からない。 出来損ないの文を書き終えるのが先か。 クソったれ司令官のクソったれ命令に従って、完全に瞼を落とすのが先か。 カラスの鳴き声で目が覚める。 デスクライトはまだ点いているが、完全に締め切ったカーテンの隙間からは透明な光が覗いている。 記憶が曖昧だ。 しかし私は恐らく戦っていた。 一人の衛生兵として、はたまた機関銃をぶっ放す一人のマシンガン兵として。 まあどちらにせよ孤独に散っていたのだろう。 中途半端な文字の羅列がそれを象徴している。 死に際をもがいた指の軌跡が脳裏をチラつく。 いや正確には死んではいない。 しかし、死んだも同然なのだよ。こんなもんじゃあ。 あゝまただ。あゝまただ。 そしてまた一日が始まっていくのだ。
詰み ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1026.9
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-03-20
コメント日時 2023-03-24
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「ハクソー・リッジ」のアンドリュー・ラッセル・ガーファンクルは、遠藤周作が書いた「沈黙」の映画化されたやつにも主役していたけど、マーティン・スコセッシが撮った「沈黙 -サイレンス」は小松菜奈がメッチャ良かった。あと、「ハクソー・リッジ」に出て来る無名の日本兵たちもシャブ打って狂った奴らみたいで猛烈に凄かった。「ブラザーフッド」は観ていないのだけど、「高地戦」は観ていて、「こいつら、自分たちが助かるためなら仲間も平気で殺すんや!」という衝撃を覚えた。 それはさておき、「クソったれ司令官のクソったれ命令に従って、完全に瞼を落とすのが先か」という箇所が目に留まった。「高地戦」だったら、司令官だろうが誰であろうが自分たちが助かるためなら平気で撃ち殺すであろうが。 >あゝまただ。あゝまただ。 >そしてまた一日が始まっていくのだ。 どうかはやく楽になってください。あなたの司令官を‥‥
0はじめまして。 戦争映画がお好きなようですね。 あのような極限状況では人間の本性が出て、人生観が変わるからでしょうか。 詩や文章を書くことへの切実な悩みや苦悩といったことを感じさせます。 中程に出てくる「クソったれ司令官のクソったれ命令」とは、体力の限界や睡魔のことでしょうか。面白い表現です。 全体的に何か悲壮感すら漂う詩ですが、最後の、 「あゝまただ。あゝまただ。 そしてまた一日が始まっていくのだ。」 というところに一条の光が射しているように感じます。自分はこれでいいのだと思ってしまったら、その人はそこで止まってしまいますから。 その前にある、 「完全に締め切ったカーテンの隙間からは透明な光が覗いている。」 という一文が、その光のことを表しているかのようです。
0特に私小説的な作風のものばかりが好みという訳ではないんですが、作者さんの作品においては 表現を行う人が、その表現を試行錯誤しながら熟成させていく過程すらオープンに余すところなく見せてくださる感じが、個人的に好きです。 私見ですけど、伏田侑太郎さんという表現者のスタイルが段々と確立されていってるのを感じます。 こちらの作品がお名前を明示した投稿なので、作者さんと作品自体を切り離さずに読んでしまっていると自覚した上での感想になったんですが 余計なことを言ってしまってたらすみません(-_-;)。
1コメントありがとうございます。 遠藤周作が書いた「沈黙」の映画化されたやつ、マーティン・スコセッシが撮った「沈黙 -サイレンス」、「高地戦」諸々観たことが無いはずなのでぜひ視聴したいと思います! この厄介な司令官を撃ち殺せたらいいのでしょうが、そうもいかないのが私の人生なようです。
0コメントありがとうございます。 「あのような極限状況では人間の本性が出て、人生観が変わるからでしょうか。」というコメントについてですが間違いないですね。(笑) 戦争映画に限らず、人間の心の動きの変化を読み取ったりするのが好きなんですよね。めちゃくちゃ複雑だけど、実際はめちゃシンプルみたいな。もちろん、その逆も然りです。 光についてですが、非を肯定するものとして、希望とかそんなかっこいいものじゃなくて、チープなものとして書いたつもりです。 だから、実際はこれでいいと思ってるんですよね。今は。けどだからこそ頑張ろうみたいな。 とにかく読んでいただきありがとうございます!
0m.tasakiとatsuchan69に対するコメントが逆でした。 誠に申し訳ありません。
0m.tasakiさんとatsuchan69さんでした。配慮が欠けていました。 誠に申し訳ありません。
0コメントありがとうございます。 余計なことなんてことは微塵もないです(笑) まだまだこれからです。 毎度見ていただきありがとうございます。
1いいですね。怒りの記録。
0こうでもしないとやってられません。
0