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『悲しみと苦しみを呪って』に寄せて
私はこちらの詩を拝読して、一人の人が自らの全てと真摯に、一つ一つ丹念に向き合い続けていく、地に足の着いた格好良さを感じ、憧れを抱きました。 「僕の好きな星」と博愛的な一行で始まり、その直後、「(さようなら)」と心の中で呟き、別れを決意する姿。 「踊りだす宇宙の深い闇」で「光を手に入れる人たち」に、「僕も加えて」、「地獄でも続きを」と、悲運を内包する行く末も見据えた羨望を吐露し、それすら、「地の底に空はないだろう」、「誰が責任を取れる」と断念する潔さ。 「光の星座」が「表し」た「物語と歴史」における「人の顔が美しい」のを認めつつ、「どうにも出来なかった物事の」「裏を考え」、それでも、「人に裏はあるか」と、人を信じようとする強さ。 「表」と「大違い」な「鏡」の「裏を見て」、「ただ佇み続ける」、「僕自身が核となった苦しみの終わりと」、「もう一度身の回りを取り囲むだろう苦しみの嵐」、そういう「モノたち」と「いつまでも」付き合っていかなければならない、「人の為に生きれなかった人の定め」を受け止め、「ありがとう」と感謝を伝える誠実さ。 「よかったTV」、「ネット」、「劇」、「本」、「残酷」だとしても「見えるようになった目で全てを見よう」と「覚悟」し、「ALSで死んでいったいとこの女の子の」「好きだった宝塚」を「初めて見」て、「あまりにも美しい」と感じられる懐の深さ。 そうして「悲しみの笑いを包む雲」の中で「一緒になった二人」、「幾多のつながり」は、「世界から隔絶して一緒になって」「まだ生きている」、「悲しくても」「地の果てと世界の中心を」「笑っている」と、「今日は自由な日だ」と宣言し「呪うことの自由を自らとすること」によって思おうとする逞しさ。 「一角獣」の「言う」「“善人ばかりのこの島に、”」「平和はまだ保たれている」のを願い、「分かったこと」、「愛を使うべきということ」を、「美しい踊り子」に、「太陽の下でこそ身体を得よ」と告げて実践し、終わらずに「続く「時」・・・」を進んでいく意志。 こちらの詩に一貫してあるのは、自らや世界に対する諦めとも、物怖じしない豪胆さとも違う、じっと耐え忍びながらも目を反らさず挑み続ける、静かだけど我武者羅な姿勢、そして、暴走して破滅へ向かわないよう用心し、懸命に繊細さを保ち続ける底力のような気がします。 『悲しみと苦しみを呪って』は、これ以上無いまでにそれを顕しているタイトルだと感じました。 詩中の言葉の素晴らしさをなるべく損なわないよう努め、不器用ながら引用して書かせて頂いたつもりです。 こちらの詩へ私ができる精一杯の愛を表明し、推薦文として投稿いたします。
『悲しみと苦しみを呪って』に寄せて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 896.5
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作成日時 2023-03-08
コメント日時 2023-03-08
拙作に推薦文を書いてくださり、ありがとうございます。我武者羅な姿勢、底力とこれ以上ないほど読み込んでくださり、また僕自身で気づいていないほどまで読み解いてくださりました。僕自身、自分の持っているものをただ使ったのですが、諦めずに表現したかいがありました。愛をいただき、もったいないことですが、ありがとうございます。このような悪パートを担う人がいてもいいかな、なんて思いました。悪人正機の、更生を誓った僕であります。
2黒髪さんは人間的に好感が持てる人なのでこうして推薦文を書いてくれる人がいるととても嬉しいな 黒髪さんはなんと言うか報われてほしいよ、世界がもっと黒髪さんを愛してほしい 彼には愛されるだけの心が確かにあるよ
1悲しみと苦しみに向き合い続け、憎しみと虚しさに変わってしまわないよう自らを呪う語り手の姿に憧れを抱きました。 愛をお伝えできて良かったです。 素晴らしい詩を読ませて頂き、有り難う御座いました。
2客観的な文芸批評をする能力が無いので、個人的に感動したことを作者の黒髪さんにお伝えしたく、批評文ではなく推薦文として投稿させて頂きました。 嬉しいと思って頂けて良かったです。
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