君理論 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

君理論    

君は、 君は、どこにいる? 君は、どんな人? 君の、名前は? 君のことをなんにも知らない。それでも君を求めて、僕は時間の流れと一緒に歩んでるよ。おはようも、またあしたも、はじめましても、げんきでねも、どっかに消えちゃった。真っ白で無機質な人生の空間にぽつねんと浮いてひとりぼっち。君もきっとおんなじ。 胸のところに水が溜まって息が苦しいな。心臓の音が骨に染みると、あの日を思い出した。春の日の晩の灯りがよるに心地よい夢を喰わせたんだ。どことなく刺すような感覚の夢だけれど、痛くはなかったよ。 するとしばらくして夏がきて、潮風の味がした。君の汗に似ている。蝉の声はいつのまにか神様がツマミを回して消しちゃった。天の川と流星のいのちも知らないまま、ささやかに永遠を祈った。 いつの間にか秋が来て、コスモスの花畑を丘の上から見下ろすと、君がいる様な気がした。気がしただけだった。僕を嗤わないで。 冬になった。みんな誰かからのキスで一千年の眠りについちゃった。僕と君だけがほんとの音を知ってる。 この静かさを、みんなは知らない。僕らだけの世界になった。君はどこにいるの?一緒にご飯を食べよう。一緒に花を見よう。一緒に話をしよう。僕らの間に秘密はなしさ。 ずーっと生きるんだって。神様が言ってた。僕ら以外は皆いつか動かなくなっちゃうんだって。僕らはゼンマイをぐるぐる巻けば何度でも動けるから、不便だろうね。 ねぇ、どこにいるの?なんだか痛くなってきちゃった、五月蝿くなってきちゃった、嗤い声が頬っぺたを包んできた。 ひとりはいやだなあ。さみしいのはいやだなあ…… 早く見つけるね。君もきっと、そうだと思うから。


君理論 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 7
P V 数 : 977.0
お気に入り数: 1
投票数   : 2
ポイント数 : 32

作成日時 2023-02-20
コメント日時 2023-03-03
#現代詩
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性55
前衛性33
可読性55
エンタメ55
技巧55
音韻55
構成44
総合ポイント3232
 平均値  中央値 
叙情性55
前衛性33
可読性55
 エンタメ55
技巧55
音韻55
構成44
総合3232
閲覧指数:977.0
2025/04/10 10時34分45秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

君理論 コメントセクション

コメント数(7)
黒髪
作品へ
(2023-02-21)

非常に純粋な世界観を刺激されます。まず、音がいい。配置もきれい。二人のことを君と呼ぶ関係だけで出来上がった世界、それは恋人の中の恋人、理想。観念的ではありますがファンタジーと呼び切ってしまえるものでもない。自然が出てきて、特にコスモスの花畑と丘なんていうのはなかなか書けないよなあと思いました。今の時期を考えると、メーテルと哲郎なんかが真っ先に頭に浮かびます。現実の中で理想に祝福されたことがある人が書けるんじゃないかと。あるいは、理想を持ち続け、現実に対峙した人が書けるんじゃないかと。現実と理想の間の往還ですね。芸術家はかくあるべきかなんて思いました。悪意にこだわらない僕の世界が描かれていると思います。ほとんどの漫画や小説で扱われている物語によるような世界です。そのエッセンスというか。

0
橙色
橙色
作品へ
(2023-02-27)

すごく純粋で、混じり気のない美しい言葉と寂しさがしん、と冷たく貫かれている硬質で美しい詩だと感じます。描かれてるテーマやモチーフ自体には柔らかさがあるのにどこか鉱物のような、もっと言えば宝石のような印象を受けました。

0
つつみ
作品へ
(2023-02-27)

半年ほどまえから「君」と書いてある詩が苦手で、そこにきて、ストレートに「君理論」ときたので、もしかしたら、突き抜ける何かがあるのかもと期待して読みましたが、やはり苦手でした。

0
三浦果実
作品へ
(2023-02-28)

タイトルと投稿者名がかなりインパクトあって何度か開いて読んでは閉じるを繰り返していたんですが、やっぱ、タイトルとお名前のインパクトと作品自体の度合いが.....すみません、作品のインパクトが薄いという意味です。でもお名前がインパクトあるので次回作も読みます。

1
エイクピア
作品へ
(2023-03-01)

「僕らはゼンマイをぐるぐる巻けば何度でも動けるから、不便だろうね。」 ここから人間に開発された玩具か、AI付属のロボットかと思ったのですが、リアルさが人間以上に感じられるのが、心情の機微ですね。心情の機微にリアルが有ると思いました。

0
飴川論理
三浦果実さんへ
(2023-03-02)

めちゃくちゃ悔しいので頑張りますね

0
田中宏輔
田中宏輔
作品へ
(2023-03-03)

ひとりはいやだなあ。さみしいのはいやだなあ…… しょせん、ひとはひとりです。

0

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 1