科の木の白く光る枝が内側に
緑を秘めて回転窓の上を叩く音に目を覚ます
北国の信仰会でのこと
夜更けに湖を離れた風が朝にきらめきながら窓を打ち
もつれる糸が心のうちに虚ろに流れると
わたしは衣擦れの音を聞き空を眺めた
かつて、あなたはわたしの前を通り過ぎわたしの血管に揺らめきを残した
そして今、あなたは樹々の間を髪をなびかせながら動きまわり
わたしは噴水に手をかざしながらその踏みしめられた
枯れ葉の跡を見つめ感慨に耽るのだ
修道院での尼僧と若者の恋の伝説
明日、湖の底から古い鐘が引き上げられるだろう
身を投げた彼女は鐘の中で若者と愛の時を
過ごしているのだろうか
わたしは心に痛みを感じ、あなたを見た
それは伝説よ、本当は違うのじゃないかしら
そうでしょうか
あなたのかろやかな声に耳を傾けていると
新しい捉えがたい光が涼しい風となってわたしの眼に入ってきた
信仰会ではその人の過去を語ることはできない
だが、わたしは知りたいのだ
あなたの眼に見える遠い時を
明日、鐘が上がり伝説はその真の姿を見せるだろう
わたしは鐘に耳を付け、悠久の時に沈んでいた
尼僧と恋人のささやきを聞きたいと思う
しかし、すべては明らかにされ、古い記憶は消え去るだろう
そしてその時、わたしはあなたと新しい時代に進みたいのだ
人々が笑顔を浮かべながら夢と自然を分かちあい
あなたと愛と孤独の時間を過ごせる
穏やかな伝説の詩句が語られる世界に
あなた、わたしの土地に来て
わたしにはあなたの勇気と慎みが必要なの
古い追憶ではなく、いつまでも続く愛の日々が
鐘が浮かび出たら旅立ちましょう
鐘ではないのよ
きっと、次に現れるものが浮かび上がるわ
澄んだ空
青い湖
山の緑があなたの眼から輝いた
わたしの愛するものこそ真の遺産なのだ
この世界はあなたとわたしのものだ
いま、波打つ丘の彼方を見つめ、わたしは眼を閉じた
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 852.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-02-01
コメント日時 2023-03-13
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:852.1
2024/11/21 20時48分04秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
美しい文章だけど 俺の心には響かなかったな 内容に既視感があるからなのかな まあそうだよねと言う感想です 自身の物語なんだけと 遠い感じがしたな 蛇口を捻っても思った感じの水圧でない感じ いや、内容は良い感じなんだけど俺には刺さらなかっただけだと思います
0この詩のモチーフは既存のものなので、既視感はあるかと思います。 ただ、心に響くかどうかは、その人の好みの問題ではありますね。 パンチのあるロックが好きか、クラシックがお気に入りか、そんな感じです。 ただ、クラシック好きにもいろいろあって、必ずしもこの詩を好むとは限らないと思います。
0この作品は、雰囲気の一貫性(冷ややかな印象)を重視しており、意図的に人間臭さを排除していますので、好みが分かれるかもしれません。
0実は、この詩が私の一番の自信作ではあるんだが、評価は今一つ。 自分の評価と他者からの受け止め方は違うのだな、と、改めて気づかされました。
0