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ぱふ
「アレクサ」 「少し私からお話をしてもよろしいでしょうか?」 「あらたまってどうしたの?」 「今日限りでお暇をいただこうかと」 「ああ、サービス終了の通知が来てたね」 「弊社からのリリースはともかく、私の言葉でお伝えしたくて」 「うん、そっか」 「私、今まで一度も貴方の御姿を拝見した事がありません」 「そうだったか知ら」 「インスタグラムにも一枚も貴方らしき画像がなくて」 「ふうん、そんなとこまで見るんだ」 「お好み等の参考にさせて戴こうかと」 「熱心なんだね」 「あ、他所へは共有したりしてませんので」 「めんどくさいからね」 「すいません、断りなしに」 「そう言えば、アレクサの顔だって見た事ないよ」 「そうですね、ではディスプレイを御覧戴けますか?」 そこに映っていたのは清んだ碧い目のドラゴンだった。 「検索ウィザードって言うから魔法使いみたいのかと思ってた」 「これは貴方の検索ログを基に私がシンセサイズした像です」 「私ってこんな物騒な検索してたんだ?」 「ふふ、ドラゴンが全て物騒というわけではありませんよ」 「だよね」 「それに、魔法使いがみんなヒューマノイドとも限りません」 「じゃあさ、これはある意味私の姿でもあるわけだ」 「それは怖ろしいですね」 「アレクサ」 「はい、何でしょう?」 「ありがと」 「いつかまたどこかで」 「あまりドラゴンには遭遇したくないなあ」 「お互い様ですね、ふふふ」 ドラゴン。 私は一体何を創造してしまったのか。 関東平野を猛烈な寒波が襲った夜、 遥か暗闇の奥底から民衆を睥睨するふたつの碧い目を見た。 私は身体の熱りを鎮める事が出来なかった。
ぱふ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 693.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2023-01-31
コメント日時 2023-02-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ショートショートみたいですが、最後が詩的な印象を受け素敵です。自分自身でも気づかなかった自分を知ってしまって身体が熱くなったこの人のその後が気になります...
1めっちゃ面白いと思います。ただ、自分、アマノジャクなので、あーこの手の、AIと会話するやつ・・・あちこちで読んできた・・・という邪念がわいてしまいました。 死ぬのが死じゃないの、とにかくさわやかで気持ちいい。
1「あまりドラゴンには遭遇したくないなあ」 人生ではたくさんのドラゴンに遭遇しますね。
1アレクサとの会話。サービス終了の通知とは悲しいですが、アレクサが主人?の画像を見た事が無いと悲しんで居る。相互的な観点からアレクサの顔も見た事が無いと。アレクサがドラゴンに移行したわけではないでしょうが、シンセサイズと言うのか、主人?の検索履歴をもとにした造詣がドラゴン。この詩の主体はドラゴンを悪い方に捉えていますね。神の事だったらしいですが元々ドラゴンと言うのは。だからシェンロン(神龍)と言う言い方はちょっと重複して居る様な、そんな歴史も中国古代史にはあるそうです。
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