昨日はネズミを見て
今日はコオロギを見た
明日は竈を見ます
一気に二つくらい
歳を取ることがある
三つ以上の数を
数えられないから
本当はもっと歳を
取っているかもしれない
壊れたものよりも
壊れていくものが好きだ
投げ捨てられたものよりも
投げ捨てた瞬間が好きだ
未来なんてと言った時
壊れていく細胞がある
明日見た竈みたいに
投げ捨てられた言葉の
宙を舞う姿に見とれる
白と黒のパーカーを着た
保健室にまたがる
夢のような工房
いくつもの夜を
超えてきたはずだ
けれど 太陽は一つ
そして 私は二つにも三つにもなる!
なにより ものぐさで
役立たずだ
「お客さん、次はどちらへ?」と声がして
振り向くと
高原
海原
星空
のどれか一つを
選ばねばならない
何も選ばなかったから
どこからともなく
聞こえてくるララバイ
ああ
私は宙を舞う
壊れていく
投げ捨てられたもの
私が竈を見るように
誰かが私を見て言った
「雨が降るにはあまりにも暗すぎる!」
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 1662.7
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2023-01-14
コメント日時 2023-01-22
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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閲覧指数:1662.7
2024/11/21 19時39分01秒現在
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形容しがたいのですが、かなり巧いですね。独特の言語空間があらせになられて。 疾うに竈は、壊れてしまっていたのでしょうか。 結句も、素晴らしいです。
1いいね。若干既視感あります(引喩もあるのかな?)けどおもしろいです。なにかありそうな気配が匂い立っていて、読解するまでもなく傑作と初見一発で確信できます。一票。 * ところで日本神話の竈神(奥津日子、奥津比売、軻遇突智)は、琉球のヒヌカンやアイヌのアペフチと比べると、実に異様な点があります。奥津の名に示される通り、奥津城(墓、他界)と関聯づけられる点です。家人を生かすための厨を、食われるものの墓に見立てる、このでたらめで無責任な飛躍。まるで詩ですね。 琉球のヒヌカンやアイヌのアペフチは主婦の信仰対象ですので、その意義は家内安全に尽きましょう。神なる火をぞんざいには扱えない、神のおわします場を汚くはしておけないという意識が、火災や食中毒を具体的に予防していたと思われます。日本神話の竈神には、そうした生活実感が微塵もありません。それはこれらの神々が、生活感のない男性によって創作されたことを示唆するように思います。ますますあたかも詩ですね。 そのようなことを高作から感得しました。つまりおもしろかった。
1ありがとうございます。 素晴らしいと言ってもらえて嬉しいです。
0ありがとうございます。傑作と言ってもらえて嬉しいです。日本神話のお話興味深いです。
0ありがとうございます。荒地の詩人が好きなんですよ。どうも、言葉が古臭くなってしまいます。
0今日はこれ読んだから寝ようっていう納得感がありました。途中のとこがやたらテンポよくてあーこのまま死ぬんだな~っていう気持ちよさがある。投げ捨てた瞬間が好きだ、のあたりとか。室町さんに怒られそうだから、明日も読もうと思います。
1ありがとうございます。安眠のお供にしてくださいませ。 気が向いたらまた読んでもらえると喜びます。
0なぜか、後悔が浮き彫りになっているように感じたのだ。 作者の情緒がみだりに揺れることをせず、腐乱した魂を掬い上げたなら、それはきっと暖かいことです。さてもいとおしく舞うでしょう。
1ありがとうございます。後悔ばかりです。暖かくありたいものです。
0ありがとうございます。最後の一行は結構悩んだので、迷いが作品に現れたのかもしれません。
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