俺の友達が詩を好きなのと、
彼が俺の詩を読まないのは別の話だ
彼は有名なあの人のツイートを待っている
俺が投稿する作品なんてどうだっていい
俺の友達が「言葉」を好きなのと、
彼が俺の言葉をスルーするのは別の話だ
最近ハマっている音楽の歌詞を並べられ
その度に悔しさに似た、なんというか・・・
かつて俺が音楽をやっていた頃を思い出す
特に就職活動しながら活動していた時期とか
ちょっとその前の時期とか
ライブ中ステージから彼の顔が見える
つまらなそうな顔だ
それでは一席(一石)
人情噺
皮肉にもアイディアはいくらでも思いつく
それを嘲笑う“立派”な世の理屈
ノーリスクノーリターンの自己満を記す
売れたいだけの馬鹿から気づく
そうもいかない俺は新卒採用を狙う
首を傾げている面接官
人事が退けた俺のエントリーシート
キレる前にお父さんのご機嫌取りしよう
どっちつかずの芸術家である時間が長すぎた
お前本当に道上威織の名が好きか?
承認欲求に頼る女は自分で自分を泣かす気だ
脳はクラブでの思い出を流す気だ
「大麻吸ってペコペコしてろよ」
「下戸は直せよ、じゃなきゃ売れねえぞ」
「オートチューンかけろ」
「MCするなよ」
「先輩のライブは盛り上げろよ」
書斎で一席 人情噺
社会不適合者の信条(心情)語り
肩書きベースの印象ばかり
オードリー若林さんヒントください
「こんなの詩じゃない」言われようと
これは魂すなわち諸刃 (MOROHA)の剣
特に机殴りつけ言葉を綴り
読めない、読まないその場の空気
バイト先の商品に八つ当たる
「分かる奴に分かる」の言い訳に縋る
物語にはどのみち結末がある
ハッピーとバッドが共に走る沿道(エンド)
地元の伝統 “普通”に迎合
人生の楽譜に闇のクレッシェンド
黒寄りレジェンド 腹を立てる先祖
家系の血に泥を混ぜたと説教
父は言う「返せ、精子を」
奴らは挙ってぶつけてくる精神論
沈黙を選ぶ俺に追い討ちをかけてくる
大騒ぎのダンスフロアとビート上の屁理屈
寒い(サムイ!)のに暑い(アツイ!)、暑いのに寒い
風邪をひいたようだがこんなもの
「気合いで治る」と彼等とあの世代が言っていたから
俺もこの“素晴らしい”発想で出世しよう
このままじゃただの滑稽噺
根性だけでやっていける馬鹿が笑い
俺の年齢が気に食わない奴等は
言葉尻捕まえて俺を揶揄い
散歩中立ち止まりスマートフォンを開き
指を走らせ、その言葉で他人の首を傾げさせ
それでも部屋ではペンを掴む
極太の血管がこめかみに浮かぶ
「文弾」の増えないコメント数と
採用面接結果通知の遅さを憂う
大好きな講義もバックレて不貞寝
精神はいつまでも不衛生
斜陽が突き刺す現実と対話
次の面接では演じるよ・・・
「はい!私はサークルのリーダーを務め・・・」
って馬鹿正直な俺に出来るわけない
皮肉にもアイディアは幾らでも思いつく
それを嘲笑う“立派”な世の理屈
3年前、海外留学中に知り合ってすぐにコネとカネの話で
俺の上に立ちたがっていたオッサンも
地元のバーで久々に会っては俺に
「誰も期待してない」と言ってやったり顔の大学のOBも
全く・・・
やけに晴れた日の朝、隣を歩くのは
まさかの推しの宮田愛萌
気づいた これは不貞寝で見てる夢だ
彼女が出てきた時点で悪夢だ
また色々思い出してきた
腹たって仕方ない
表現など辞めよう
詩の内容?攻めすぎじゃないかって?
どうせ誰も読んでいないから問題無い
潔く黙れば話は違った
曰く幸せになるための足し算だ
それを疑って地獄が始まった
俺は一体どこで間違った?
慰める女がいれば話は違った
曰く幸せになるための足し算だ
疑って地獄が始まった
なあ、俺は一体どこで間違った?
ふと若林さんの本を開き泣く
俺もまさにエクレア投げつけそうでした
なんだか言ってることすごい分かるなあ
共感できるってことは
あれ、もしかして、、
俺って若林さんなのかな!?
ってことは未来で絶対成功してるってことじゃん!
ああよかった!!
アホくさ・・・
不採用通知が音楽の後押し
音楽の不人気が就活の後押し
肩書きが沈黙と服従を後押し
消えそうな夢を突き刺す斜陽に
不採用通知が音楽の後押し
音楽の不人気が就活の後押し
肩書きが沈黙と服従を後押し
消えそうな、消えそうな夢を・・・
「元音楽アーティスト詩人の詩集発売!」
神保町の書店で道上威織の名前が光る
あの頃の歌詞すらもページを埋めてる
後ろめたさだって無理矢理連れてく
“キラキラ”見せかけた音楽家にはなれなかったが
信じている人たちと言葉は俺を離れなかった
これは現実に金縛られた俺の見ている夢
我挑む、故に我在り
ここまで絶望してもなお
全体主義の前に屈する個人の痛みよ
それだけは常に寄り添ってくれた
荒く、重く、勇ましく
一人一冊の感情文集
作者が一番わかるその重み
これが最後の作品になろうとも
我思い、記す、故に我在り
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 838.2
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-01-12
コメント日時 2023-01-13
#現代詩
#動画
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:838.2
2024/11/21 23時22分51秒現在
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これはいいですよ。やられたって感じです。一作目の投稿作品読んで一瞬引っ掻かれた感じはあったんです。でも所詮はテキストだけだったんで。作者さんには関係ない話ではあるのですが、旧世界のネット詩の空間が私は退屈になっていて。それはテキストがつまらない表現手段だとは言わない。いや、言いたくない。テキストガチ勢が目を背けたくなる僻んでしまう「スキルの段違い」な音楽作品が席巻すればいいのにという気持ち。詩人ってこれでしょ?というシノギの空気が味わいたいんですよね。 今までビーレビにはいくつかのリーディング系、音楽系の動画投稿がありましたが、私の個人的な判定ですが、このポエトリーラップナンバーワンです。実を言いますと、私は以前に反リーディングを主張する(まあ、反語表現でやったんですが)作品を投稿したことがありました。その際に観れる、聴けるだけのリーディングコンテンツをチェックしました。なんというか、これ平たく伝えたいので言いますが全部音楽に負けてたんです。そういう印象しかリーディングにはありませんでした。もっと言えば、リーディングをやるんだったらスキルをもっと磨いて音楽をやればいいのにと。今作を私はリーディングとも、テキスト作品ともキャッチしておらず、これは音楽であり、流通上のカテゴライズをすればポエトリーラップ。めっちゃ次回作が楽しみなので、参考になるかわかりませんが、私が好印象を持った動画の投稿作品を以下紹介させていただきます。(自分の作品も入れてますが...)やっぱどうせ動画であるならば、作者さんのこだわりの映像表現もみてみたいです。 https://www.breview.org/keijiban/?id=5219 https://www.breview.org/keijiban/?id=6488 https://www.breview.org/keijiban/?id=5671 https://www.breview.org/keijiban/?id=7603
1ラップは、mーfloとsaluが好きでした。molohaも聴いたことがあります。 なんというか、自己批判があると思いました。beatにのせて韻を踏むのは、すごい技術だと思いました。若林さんのところは、こうやって自己意識を批判して笑えるところ、ある種の相対化をされていると思って、絶対だと信じている自分はいけないと感じました。これからの詩作、ラップに期待して読み、聞かせていただきます。
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