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桜の樹
転んで妖精になったので七日間の愛のない逃 飛行へとしけこんだ。電話口の看護師さんの 声には多少なりとも愛があったし上司からの メッセージにだって愛はあったと思う。でも どれも 一人で逃げてよね って距離を 置かれた愛だった。あらゆる愛と名のつくも のは私には片想いであって。誰かがくれるも のとこちらから贈るものとはどこまでいって も交われない。一方通行の緩い上り坂を時速 十五キロくらいの速度でたらたら走りつづけ る初心者マークを外し損ねたままの薄汚れた 軽自動車に乗って。みたいな感じ。もう何を 忘れてきたかも思い出せないし、何に忘れら れたのかも思い出せないし。どこへ向かって いるかと聞かれたら「天辺ですかねえ」とし か言いようがなくて。復調はしているのに、 横になったまま縦になれずにいる。置いてけ ぼりの樹のウロの苔むす淵の仄暗さ。発酵し つつなみなみと召しませ特製ましら酒。この 山に猿はいるだろうか。そもそもここって山 なんだろうか。だとしたら低いよなあ。しん しんとくらいばかりで。なんにも、見渡せや しない。
桜の樹 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 630.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2022-12-31
コメント日時 2023-01-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ゼンメツさんが即興ゴルコンダ(仮)に言及されていてうれしかったので、最後のお題に詩を書いて、次のお題を出してみました。 お題は「かける」です。 投稿 2022/12/31(土)22:00:38〜 2023/01/07(土)22:00:37まで 投票 2023/01/07(土)22:00:38〜 2023/01/14(土)22:00:37まで 投稿、投票ともに、一週間へ変更になっています。 二十四時間はむずかしくても一週間あれば書ける! はず。 ぜひご参加ください〜 http://golconda.bbs.fc2.com
0良いですねえ。筆者様特有の抑揚とリズムがあり、悲しげで、「距離を置かれた愛」などの侘しさを描いているのに、それがくどくなくしつこくなく、鋭利な姿勢でスタイリッシュにもなっている。閉塞感がありつつもそこに滞っていない印象を受けました。
0こうだたけみさんって、すっごいお久しぶりで、あーこれ絶対に読まなきゃって思っていました。 私にとっては、こっちにおいでの人だっていう感じの認識はちょっとあるのですが、一人で逃げてよね、とか、フレーズのパワーがあると思いました。なんだろう、これを読んじゃうと、これを書いた人を好きになりたくなっちゃうみたいな感じでした。最後らへん、なんのはなし?って感じなのが、可愛いです。つまり、個人的には、この人めっちゃ強いなって思うものがあって、爽やかで可愛い すみません。
0いったいなんのために。
0stereotype2085さんコメントありがとうございます。今年もよろしくお願いします。 「悲しげ」や「侘しさ」がくどくないと言っていただけて光栄です。たぶんそういう感情がしょっちゅう湧いてくる割に、ホントはそんな悲しくも侘しくもないんだろうなこの語り手、って思います。筆者自身はどうなのかと言うと、うーん、どうなんでしょうね。笑
0いすきさんコメントありがとうございます。 ご無沙汰しております。今年もよろしくお願いします。 「こっちにおいでの人」と認識していただけているなんてうれしいです。しばらくアニメは作っていないのですが、また挑戦しようかなと思えてきました。ゆるゆるとがんばります。 可愛い、と二回も言っていただけて恐縮しております。中学生の時に「(UAみたいな)強くてかわいい人になりたい」と思っていたので、そんな人を描けていたならうれしいなあと思っています。
0田中宏輔さんコメントありがとうございます。 今年もよろしくお願いします。 「いったいなんのために。」はどの部分を指しておっしゃっているのかわからないので、的外れなお返事になったらごめんなさいね。 語り手が山の天辺を目指しているのは、そこに桜の樹があるだろうと思っているからです。愛は片想いだとわかっているのに走りつづけるのは、生きているからだと思います。 そして、これは作品外の話なのですが。即興ゴルコンダ(仮)という即興詩のサイトがありまして、「桜の樹」というお題が出されたまま誰も書き込まず半年以上止まっていました。とても好きなサイトなので、たまには人が来てほしいなあと思いまして。 たぶん、誰からも見向きもされない「桜の樹」は人里離れた山の中にひっそり立っているんじゃないかなと思ったので、独りよがりの片想いでもポンコツ軽自動車で会いに行った次第です。
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