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なんでこんな事すら出来ないのだろう
ポチが私の頭を踏んでいく そうだ 私は今こそ 自分の不甲斐なさに 気づくべきなのだ 飼い犬に踏まれたくらいで 何を苛立つことが あろうか なあ!そうだろ、みんな! そう思ったのなら ポチについておいで! 私は顔を引きつらせながら 群衆とともに 偉大なるケダモノの後をついていった 「豚野郎、豚野郎、豚野郎、、、」 私の後ろの男はぶつぶつと呟いている 私はその男の手を握り その男の 軽油臭い手に 小銭を握らせた 男は目を丸くしていた 「いつのまにやらこんなに暗く寒いところまで来てしまっていた。このお金で暖かいお飲み物でもお買いなさい。」 私は呆然としている男にそう言った 男はわれてしまって みっともなくなってしまっているコンクリートのような顔をして 近くにあった自販機に行った 男は小銭を投入口に入れる しかし小銭は投入口に入らなかった 何度も 何度も 男は投入口に小銭を入れようとするのだが 入らない 私は気がついた 私が男に渡したのは 小銭ではなく 私の前歯だ 私は 突然 笑う事が出来なくなる 笑っているところを見られたら 俺は 女に見向きされなくなる 私は 男に理不尽な暴力をふるい 前歯を 取り戻した 前歯を 戻そうとする 落ちた 戻そうとする 落ちた 私は 落涙しながら 三日月の形をした 自分の歯を戻そうとした こんな私の頭を またポチは踏みにきてくれるのだろうか? 自販機の灯りは 私に理不尽に殴られた男を 冷たく照らす 自販機のお茶は 百三十円と気取っていた
なんでこんな事すら出来ないのだろう ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1541.4
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 5
作成日時 2022-12-28
コメント日時 2023-01-06
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 5 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
うまいですね。良いです。競争社会で人は助け合えるのか、値踏みしあうのか、生きていくことの世知辛さがお金が前歯と重なってたとえられていることで良く響いています。飼い犬に踏まれている、という理性というか洞察がいいです。
0コメントありがとうございます。 初めてこういった詞の投稿サイトに自分の詞を載せてみて初めてコメントをいただいたのでとても嬉しいです。 このサイトには他にも興味深い作品が多く投稿されているのでこれから読んでいくのが楽しみです。
1コメントありがとうございます。 こんな事を言うと場違いと言いますか、なんだか人に自分の作品を批評してもらうというのは面白いものですね。 今まで他人に自分の詞を見せるという事はなかったので。 またこれだ。と、思う詞を載せていこうと思っております。 よろしくお願いします。
0小気味良い詩だと思いました。リズミカルで、内容が本当に小気味良くて、 「みっともなくなってしまっているコンクリートのような顔をして」 こんな部分がユーモラスですし、自分の歯を取り戻そうとする「私」は「百三十円」のお茶とも本気で格闘するのではないかとさえ思いました。
0たしかにうまいと思うんだけど、こういうスタイルの作品はちょこちょこあって、なんかそれぞれ似てるんですよね。なので、また読みたいという気持ちにならないというか、この雰囲気の作品を何回か読んでしまうと、もういいか、となってしまう。だから、これってうまいというよりももっと別のものじゃないかと思うんです。ひねくれたコメントで恐縮です。
0コメントありがとうございます。 読み返してみると男たちはなかなかに振り回されているなあと、思いました。 誰かの「偉大」になるとは難しい事なのでは?と、そう思っております。
0コメントありがとうございます。 自分の殻を破りたい。 もっと言えば現代の詞というものの殻を破らなければ。 これは書くたびに、言葉を並べていくたびに切に思っています。 そうでなければ、詞というものにぶつかっていく意味はないのでは、と思う事が多々あります。 色のない日常を送っていますがこの詞を書くという事、情熱を燃やしその炎をじっと見つめる、という事で何かを見つけていきたいと思っています。
0コメントありがとうございます。 金を歯と見間違えた男は何かに囚われてしまい、盲目的になってしまったのではないかと思いました。 それと犬の解釈に関しては読み手の方が自由に解釈してもらう方が興味深いなと思いました。
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