冷たい牛乳
濃くて苦味の効いたコーヒーを
イケアで買った青い大きなグラスに
なみなみとそそぎこみ
たっぷりと波打つそれを
口ひげをびしょびしょにして
冷えたそれをグイとやる
ああ うまかったなぁ
まるでむかしの百姓が
二升の酒徳利からどくどくと
茶碗に満たしたひやを
こぼしながらやるときに
数百年後の同じ地平にいるようだ
一キロで買った氷袋から二つかみ
イケアで買った青い大きなグラスに
つめこみつめこみ
コカコーラをドクターペッパーをなみなみ
泡がおさまるのを二度三度待ってなみなみにし
そうっと口ひげに泡つけて
ガキガキに冷えたそれでのどを鳴らす
ああ うまかったなぁ
冷蔵庫のように冷えた部屋の冷蔵庫には
もう牛乳もコーラも氷も姿を消した
冷えた胃袋あたりのために
イケアで買った青い大きなグラスに
濃くて高くてうまいパックコーヒーを
なみなみと揺らせながら
電子レンジで二分あたため
机に置いておくうちに
すぐに冷めてしまう
それが冬だと
また思い出した夜
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 1209.9
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2022-10-24
コメント日時 2022-11-19
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:1209.9
2024/11/21 21時12分57秒現在
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今朝は南国に住む私の町も急に寒くなり、昨日まで美味しかったサイダーが中途半端に残っています。昨日まで活躍していたクーラーもやっと消しました。 暑い日も寒い日もイケアで買った青い大きなグラスが活躍しているところがいいと思います。 あんなに暑かった夏が嫌で嫌でたまらなかったのに、冬になると寒いのが嫌になってしまう。 でも、この作品の好きなところは、冷蔵庫から牛乳や氷やコーラが消えて、冬になっても、この詩の半分以上が、うまかったなぁ、と夏に飲んだ飲み物を懐かしく想っているところです。 この作品を読んでいるうちにこんなことを考えました。 昔仲の良かった同級生と疎遠になって、今の仲間がいる。それでも、あぁ、あの子達と過ごした日々はよかったなぁ、と私は今でも想えているだろうか。 そんなことを思い、今年は学生時代の同窓会の幹事を引き受けることにしました。懐かしい仲間と久しぶりに集まって美味しいお酒を飲みます。 とても素敵な作品ありがとうございます。
1作品自体のリズムは極めて穏やかなのですが、パワフルな生き生きとした喜びと過去への視点、そして何より大きなものへの愛のような感情を感じられ、胸がじんわりと暖かくなりました。
1つつみ さま 橙色 さま ながらく音沙汰なしで すみませんでした。 苦しい仕事にかまけて 感情のさざ波にも気がつけない 時間の制約の波に上に下に揺さぶられていた時間が ふっと凪いでいま イケアで買った青い大きなグラスに 白ワインをなみなみとそそいで その二杯目です。 いまわかったことは 私の人生、生活に もっとも寄り添い もっとも同じ時間を過ごし もっとも苦楽を共にした存在が 一個799円のこのグラスだったことを。 徹夜続きで椅子で寝起きしたあとに 無理やり覚醒させるために パックのコーヒーをなみなみ レンジで2分30秒で飲みごろにし 屋外に打ち合わせに出て炎天下戻った時には コーラ、サイダー、緑茶に紅茶 詰め込んだ氷塊で 噴き出す汗をおさえこみ 寝起きに血行の悪さからくる冬の寒気に 起きしなに大量の熱した緑茶を流し込む 間違いもなく言えることは 親でも妻でも子供でもなく 日々のいたらない生活のいちばんそばに いちばん目の前にあってくれたもの それが イケアで買った青い大きなグラスだったのかと たったいま 気がつきました ありがとうございます
0巨万の富でもなく 美しくもたおやかな血筋親族家族でもなく 礼讃と敬意の数珠つなぎの名誉やリスペクトでもなく ただの一個のグラスだけ手にしてる それを生きるための本質的な根源的な道具として道連れれば それでいいではないか それだけでも
0即興で返詩を川柳で。 グイと飲む 青いグラスで 夏冬も 友のよな 青きグラスで 乾杯し
1素朴な日常の所作や物の存在、人の気配に安らぎを感じました。健康なよさです。
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