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24&20
1. 女は眠っていた。二度寝だった。女は起きた。朝が動き出した。 2. くしゃみをした。神様が飛び出した。青い浜辺から沖へ。皆、相応しいところにいなければならない。 3. 楽しみは希少だった。だから笑えるときには笑った。それは多くの場所で許されなかった。私は相応しいところにいるべきである。 4. 人魚の過失のように惨めに、しかし時は過ぎた。あたらしい朝が洗った、感覚を。 5. 秋は深まり、しかし太陽の力といったらば。私は私から考えを隠したので只、陽を受けて立っていた。 6. 朝の過失。パーラメント100S、ふしだらなキッチン、あなたの声だけが薄荷を含んだようにきれいで、通って。 7. ひとりとなり、髭を剃りたいと考えて、その為にこの家は建てられた。殺風景にして、夢のすべては記録紙の上、それは積み上げて置かれた。 8. 一日(ひとひ)という小さな旅、くりかえし。少しずつ失って、ときどき得る。得たものには痛みによる涙がともなっている。 9. 信じきることはできないから、ともかく心の地平に目印をつけた。私にしかわからない。私には共感の詩は書けない、ようだ。 10. 物を書きつつ忘れられたい。勝手、魂に触れるな、魂という大仰な語を使うな。 11. 変身は済んだ。本のたくわえがあった。何度でも変身できるだろうか、さいきん、目が痛み、つかれているのに。 12. 大袈裟か、謙虚過ぎるしかない。どちらも本当の力が無いのだ。じぶんのことでわかることは少ない。 13. 相性が良いというだけで、ふたりどこまでも歩き、サツマイモを貰った。あなたはもう充分だと言った。しかし開拓する余地がひろがっていることも見ていた。 14. 波。その語に魅力を感じ、じっさい波をみて静かになってしまった。世界より頭の中の方がきれいで、否、世界の中で頭の中だけに美はある。 15. 研究は、不吉なカラートーンで終わる。最後に歌が無ければ、句がなければ。 16. はじまりと終わりは知らなくていい。考えにいれなくていい。人生の為の人生にしてしまうのか。 17. 死を夢みる、これは贅沢である。 18. 常に見られていることが宗教の自覚だが、神も仏も人間のことに(ほんとうは)興味関心が薄い。薄いというよりも、高みにおられ、見えていない。 19. 罰は無かった、と安心するときはさびしい。 20. 朝の実感。学んだだけ馬鹿になる。自由になるからである。 21. 詩人の才能とは大したことでもないのに大したものだと思わせる欺瞞の才能である。 22. 詩人。じぶんに都合のいい表現を文献から汲み取り、都合が悪い部分を拒否するのは、大仰に言ってナチズムと同じ行為をしている。 23. 物を書きつつ、忘れられたい、という矛盾。そこには時代のある断絶を体験したいという欲望がある。 24. 詩に於いては無から有を生み出す方がよほどはやく、容易で、たのしいのに、一般的には無から有は生み出せないと、退屈な読書体験を強いる。これこそ詩人に於ける最大の欺瞞ではないか? インスパイヤ、引用詩の類もこの欺瞞を負うている。 & 1. 秋に聞く風のしらべは、私が動いているときに聞こえる。私は風だ。 2. あまりに同意(或いは共感)される詩を書くと恥ずかしい。此処に居てカナダエスキモーの詩(うた)を模していたのに。 3. こころ貧しい人間がいるかぎり、詩は存続するだろう。 4. 私は同意の詩を、もう書かないだろう。しかしこんな自負も冬に、温かさを求めるようにして忘れてしまうかも。 5. 怒りは無力さから解放してくれる。しかし怒りが正義の形をとっているとき、私はその場を去るべきだと願う。 6. 魂のことは書くな。それは大切なことだから。 7. 恣意的にペンを走らせなければ毎日詩を書くことはできない。恣意的─つまりは毎日詩を書くということは、遊びの範疇である。 8. 詩が遊びならば、否、詩は遊びにしかならないから、金銭に直結しないのである。 9. 詩が遊びであり、これだけ本があり、まだ出版したいというのは、冷静になる必要がある。 10. 詩が遊びであるから、〈そうではない詩〉を創出したいなら訓練すべきである。それは、毎日書くというところに回収される、皮肉にも。 11. 自称詩人、アマチュアリズム。侮蔑されて尚、魅力があるのはこれらである。なぜならば出鱈目でめちゃくちゃだから。コンテンポラリーではないか? 12. ハッとさせたりする詩は多いが、ぼうっとさせる詩は少ない。ぼうっとさせる方が「天上」に近い。 13. ・・・つまり退屈な、というのは称賛に価するかも知れない。 14. 作品に強烈な美しさがある場合、それは作者の病的な側面が出ている場合が多い。それでは手離しに称賛していいのか、どうか。読者も良心の呵責に耐える責任がある。 15, 嗜好品として詩を扱う。すると、嗜好品に必要なのは、「変わらなさ」だから、それがマンネリズムであっても私は称賛する。 16. 多読は害である。詩に於いては「一人の作者」を手中におさめるべきである。真似をして書いても同じにはならない。 17. リズム。意味よりリズムの方が重要である。そしてリズムの破綻はもっと重要である。 18. なかったことにする。あったのに、なかったことにするように振舞う。秋のダンス。唇から冷える冬をどこかのぞみつつ。 19. 自負、自戒しつつ保留しておく。昨日のノーが、今日のイエスになって。同意を前提としないならば、もっと自由でいられる。 20. 結局、なぜ言葉を書くのか?
24&20 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 954.4
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 29
作成日時 2022-09-29
コメント日時 2022-10-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 8 | 8 |
前衛性 | 6 | 6 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 29 | 29 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 3 | 3 |
可読性 | 2.5 | 2.5 |
エンタメ | 1.5 | 1.5 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 14.5 | 14.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ご高覧ありがとうございます。 今、眠剤を服しましたので(2022.10.01.21時) どれほど的確に物を申せるか、わかりませんが そうですね、後半の「20」のパートでは、何か読者や作家の 思考に一抹のひっかかり、を与えたいと考えて、センテンスを、「重く」して いった結果、魚は泳ぐことができなくなったということでしょう。 その汚点は、清く認めます。すみませんでした。 こころの罠、、、実は同じような詩形で、今書いているのですが どうも、この作品のようにはならないので、困ったものです。 どうも私は、魚が泳げない、ということの対に 魚を泳がせる詩を書ける、ということのようで 後半の「駄目」も必要悪なのかも知れません。 貴重な評ありがとうございました。 今後とも宜しくお願い致します。
0お読みくださり、お褒めのお言葉もありがとうございます。 以前に、このサイトの発起人のある方が 「詩は素麺のように弱々しい」ということを語ってらして じぶんなりに、読み応えというのは意識して、 まあ、あの、あたらしい詩形の実験だったので 意図もなにもなく、読み応えを意識して、の、前編、後編でした。 今は前編のテンポをいかに持続させるか、ということを念頭に また書いているのですが、なかなか難しい。 重ねて評、ありがとうございました。
1アイデアがいいですね。
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