砕かれたまなざし
落とされた光
白いカップに溜まる
ほの赤い髪が
背に流れて
指を絡める
指の溝に
体温が吸い上げられて
染み渡る
置かれたままの
敲かれた鉄の
爪きりに
棄てられた身体が
収められている
瞬きをする風
切れ込んだ目尻に
くぐもった影
擦れあう葉の奥に
黒い幹
霧が降りてくる
革靴の底が
じっとりと滲み
足先が白くなる
外に反った拇指の
付け根が軋む
払われた足跡に
振り向けもせず
まっすぐに引かれる
無数の点は
ここしかない
踏み出した足元は
どろんと揺れて
色のない虚に
底はない
重ねられたセルロイド
一枚、とめくり
その果てに
世界だけがある
描かれ続ける時は
絶えず紡がれて
青めいて光る
手の付け根が
そっと
机から離れ
ペンの蓋は閉じられる
窓の外に
夜明け
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 836.8
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2022-05-03
コメント日時 2022-05-05
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:836.8
2024/11/21 21時25分13秒現在
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時間が点に集約していくイメージがあり、それが夜明けとともにパッと解放されていくような印象を受けました。(マジックワードなのであまり使いたくない言葉ですが)「身体性」の強度も印象的で、「実存」という言葉の孕む抽象性とリアリティが表現されているなあと思いました。
1私たちはただここにある一点の、虹でしかないのかもしれませんね
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